GoldenYears 編集部が作成したオリジナルのExcel版エンディングノートを入手していただいた方向けの、書き方見本のページです。
エンディングノートの書くべき内容の多さに圧倒される場合は、以下の記事で目的別に優先して書くべき事項をご紹介しております。もし、どの項目から書くべきかわからないという場合は以下の記事からお読みください。
今回は、エンディングノートに記載する「医療・介護の希望」の書き方を説明します。
このシートでは、自身の健康状態が著しく悪化したとき、介護が必要になったとき、終末期を迎えたときに、どのような方針で医療技術や周辺の協力を仰いでいくのかについて記載をします。
◆ 介護の希望
介護とは身体や精神が健全でない状態にある人が不自由になったときに補助をしてもらうことです。
介護と聞くと年老いたときのイメージをしがちですが、若くても助けが必要になった場合、介護が必要です。老衰もしくは何かしらの不慮の事故で自分の身体が思うように動かなくなった場合に、どうするかを決めておきましょう。
お願いしたいひと
まず決めるべきは、誰に介護をお願いしたいかです。
ざっくり分けると、
- 家族や身内
- それ以外
の2つに分けられます。
身近な人にこそ介護をお願いしたいと考えるか、身近な人に介護をお願いしたくないか、あまり気にならないか、自分の希望を記載しておきましょう(具体的に特定の人にお願いしたい場合は、個人名を記載しても構いません)。
身内に頼みたい場合であっても、身内の方が日中働いている場合は、物理的に介護が難しい場合もあります。
その場合、専門職の方に依頼をすることになります。
介護認定がおりた場合、介護保険を活用して専門職の方に依頼した場合でも1割負担となる場合もあります。
他人に身体を触れられることを望まない場合は、厚生労働省が行なっている介護休業制度を活用し、介護休業給付をもらうこともできます。制度自体の認知がない人もいるので、必要な場合は家族や身近な人に伝えておきましょう。
介護の場所
主に想定される場所としては
- 病院
- 施設
- お家
の3つが挙げられます。
日本では現在、病院で最期を迎える人が多いですが、今後はお家でのお看取りが増えてくると言われています。
高度な医療技術を使う場合は、病院という選択肢しかありませんが、そうではない場合、どこで介護をしたいかを考えてみましょう。
介護の資金
介護には資金がかかってきます。
人によるサポート、必要な介護器具など、介護保険で費用負担があるものもありますが、実費負担が必要なものもあります。介護資金に充てられる費用はあるのか、預金ではまかなえない場合は保険などで対応できるのかを確認しておきましょう。
これを機に保険の見直しを行なってもいいかもしれません。
介護者への支払い
介護をしてくれた人に対する報酬について、記入しましょう。
介護保険の費用については、ケアマネージャーさんが行なってくれますが、それ以外の場合、どのように支払いをするのかについて、希望を記載しておきましょう。
身内であれば、相続によって報酬を支払うこともできます。身内でない場合でも、相続税が上がりますが、遺贈という形で資産を渡すこともできます。
財産管理人
もし仮に、自分が植物状態や認知症になってしまった場合、生活に必要なお金の管理をする別の人が必要になります。
記入事例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 信頼する身内の人に頼みたい
- 頼める身内がいないので専門の士業さんにお願いしたい
血のつなかった家族じゃない場合でも、家庭裁判所に申し出を行えば、財産管理を行うことができるようになります。
参考
成年後見人制度とは?利用するメリット・デメリット相続弁護士ナビ
◆ 終末期の希望
次に、終末期についての希望を記載します。終末期とは、人が最期を迎える直前の期間のことを指します。
告知の希望
日本では、余命が近い場合、まずご家族にその旨が伝えられることが多くあります。
その場合、自分に伝えて欲しいかどうか、その希望を書いておきましょう。
単純に「してほしい」「しないでほしい」といった希望だけでなく、「○○な場合、しないで欲しい」などの条件をつけておくのも大事です。
余命が短い場合、何か優先してすべきことがあるかもしれません。
ただ、あまりに余命が短いと気持ちの整理ができなくなってしまうかもしれません。その時の状況にならないとわからない部分ではあると思いますが、現時点での希望を書いておきましょう。
また、なぜそう思ったかを書いておくことで、判断の材料になることがあります。
治療の方針
終末期における治療の方針は大きく分けて2つです。
- 最後まで治癒を目指し治療を続けたい
- 治癒が見込めない状態になったら緩和ケアに移行したい
終末期になると、身体の衰退に伴い、治療を続けること自体が困難になることもしばしば。
そんな中で治療を続けるか続けないかの判断を迫られることがあります。残される家族が後悔しないように、治療について希望する方針を書いておきましょう。
こちらも、なぜそう思ったかを書いておくことをオススメします。
除痛の方針
痛みについての方針を書いておきましょう。
極端な話にはなってしまいますが、
- 通常の除痛治療で効果が出にくくなったら意識が朦朧としてもよいので強い薬剤で除痛してほしい
- できるだけ最後まで意識がある状態でいたい
今の自分だったら、どちらの方が意志として強いでしょうか?
当たり前ですが、その時の状況に依存するところは多くございますので、今のお気持ちとその理由を書いておきましょう。
場所の方針
こちらも介護と同じで、主に想定される場所としては
- 病院
- 施設
- お家
の3つが挙げられます。
高度な医療機器を使う場合は、介護同様病院という選択肢しかありませんが、その他の場合は、施設でもお家でもターミナルケア (終末期のケア)を受けられるようになっています。
施設については、痛みなく最期を迎えるための施設もあります。
最後に
自分の命に関するテーマで、少し難しかったかもしれません。
人生のタイミングによっても回答が変わってくるすごく難しいテーマになります。自分の意思をきちんと伝えておかないと、大切な命の判断がつきにくく、遺された人が苦しむケースもあります。
こまめに見直し、自分の意思を家族に伝えて生きましょう。
次は「葬儀・埋葬の希望」についての記入方法をご説明します。