【Excel版】エンディングノート(終活ノート)

要介護3とは|一気に増える家族のストレスに対処できる介護サービスなど

要介護3の認定通知書を見る老人の人形

この記事を書いた人
杉田 Sugita
ライター

IT企業に勤務しながら、ライターとしても活躍中。実父の認知症発症と義母の看取り経験から、介護と終活の重要性に気付き、GoldenYears、その他メディアにて啓蒙活動を行い、幅広い読者に終活の知識を提供している。中小企業の経理や社会保険事務全般に習熟しているため、保険や年金などの分野を得意とする。1969年生まれ。 ▼保有資格 認知症サポーター 終活カウンセラー2級

この記事のサマリ
  • 要介護3は生活する上で常に介護が必要な状態
  • 要介護3の要介護認定基準時間は1日あたり70分以上90分未満
  • 要介護3は月額270,480円までの費用が介護保険でまかなえる
  • 要介護3になると家族の負担が一気に増えるため介護ストレスに注意

「要介護3」とは要介護認定の5段階評価のうち、ちょうど真ん中のレベルです。

具体的には要介護3と認定された方は、どのくらい介護が必要な状態なのでしょうか。

また、家族が要介護3だと認定されたときにはどうしたら良いのでしょうか。

今回は「要介護3」について、認定基準や受けられる介護サービスなどを解説します。

要介護3とはどういう状態か

車いすに乗る老人の人形

要介護認定において「要介護3」は、生活する上で常に介護が必要な状態を指します。

ある程度は自立した生活が可能だった要介護1・要介護2の状態に比べ、着替えや入浴、排せつなどのときに第三者の手助けが必要となり、身体的な機能も衰えてひとりでの歩行も難しくなります。

また、要介護3に認定された方は認知症の進行も進んでいることが多いです。肉体的な衰えはあまり見られなくても、認知機能の低下により要介護3に認定された方は、徘徊や奇声、問題行動にも周囲が悩まされる可能性があります。

身体的な衰えが原因で要介護3に認定された方は、日常生活では以下のような介護を必要としています。

食事 介助が必要
排泄 介助が必要・またはおむつ使用
入浴 介助が必要
歩行・立ち上がり 自力では立てない(寝たきりではない)
身づくろい 介助が必要
掃除・洗濯 できない
調理 できない
買い物・金銭管理 できない

要介護3の原因1位は「認知症」

2019年に厚生労働省が調査した、要介護度別にみた介護が必要となった主な原因は、要介護3の方は認知症でした。


参考
2019年国民生活基礎調査の概況厚生労働省

要介護3の方の中には、認知症が進んでから初めて要介護認定を受け、いきなり要介護3に認定された方もいれば、要介護3よりも低い要介護度だった方が認知症の進行により要介護3に変更された方もいます。

現在の要介護度別にみた介護が必要となった主な原因(上位3位)

画像引用:厚生労働省|2019年国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況

同居家族の約63%は2~3時間以上の介護

上記「要介護3になった原因」と同じ厚生労働省の調査によると、要介護3を介護していた同居家族は、1日のうち介護に要する時間が「ほとんど終日」32.5%、「半日程度」17.6%、「2~3時間程度」が13.1%、合計63.2%が2~3時間以上の介護をしていました。

要介護1の同居家族の6割が「必要なときに手を貸す程度」だった割合に比べて、要介護3の方がいる家族の負担は非常に増えていることがわかります。

要介護度別にみた同居の主な介護者の介護時間の構成割合

画像引用:厚生労働省|2019年国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況

要介護3と他との大きな違い

チェックマークをつけるイラスト

要介護3以上の方と、他の要介護度である要介護1・要介護2を比べると、もっとも大きな違いは要介護3以上になると介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)に入所申し込みができる点です。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)とは、社会福祉法人や地方自治体が運営している公共の介護施設です。一般的に「特養」の略称で呼ばれています。

特養は民間の介護施設に比べて入所費用が安く、看取りまで行ってくれるため入所したい人が大勢います。そのため要介護度が高い入所希望者が優先され、原則として要介護3以上でないと入所申し込みができません。

特養は待機者が多いため、要介護3以上になったからといって申し込み後すぐに入所できるとは限りませんが、将来的に特養入所を希望する場合にはできるだけ早く申し込みをした方がおすすめです。

特養については以下の記事で詳しく解説しています。

要介護3の認定基準時間

要介護認定における要介護3の「要介護認定基準時間」は、1日あたり70分以上90分未満です。

要介護認定基準時間とは、介護が必要になった方が「どのくらいの時間介護をしてもらわなければ生活できないか」をあらわしたものです。

要介護認定では対象者の心身の状態や介助の方法を聞き取り調査した上で、他の要介護者の状態と比較して介護にかかる時間を算定しています。

要介護認定基準時間の算定例

画像引用:三木市|要介護認定の概要について

要介護認定については以下の記事で詳しく解説しています。

日本で要介護3に認定されている人の数

カラフルな人々のシルエット

2023年1月の厚生労働省統計では、介護サービス受給者のうち要介護3の人数は894.8千人との結果が出ています。

自宅等で生活をして居宅サービスを受けている方がもっとも多いですが、施設入所の人数は236.6千人に増えています。この数値は要介護2の82.1千人に比べて倍以上です。

要介護度が低いときには可能だったひとり暮らしが、要介護3以上になると難しいことが統計からも推測できます。

要介護3で受けられる介護サービス

介護サービス名が書かれたいくつもの付せん

要介護3になると、介護保険を使って以下の介護サービスが受けられるようになります。


参考
公表されている介護サービスについて厚生労働省 介護サービス情報公表システム

在宅介護で受けられる介護サービス

ホームヘルパーの訪問介護やデイサービス・ショートステイの利用など在宅介護で受けられる介護サービスは、他の要介護度との違いはありません。

以下リストのうち、一部は受けられる地域が限定されている介護サービスがあるためご注意ください。

  • 訪問介護(ホームヘルプ)
  • 訪問入浴
  • 通所介護(デイサービス)
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリ
  • 通所リハビリ
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 短期入所療養介護
  • 地域密着型通所介護
  • 療養通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

施設で受けられる介護サービス

上記でも説明したとおり、要介護3以上になると介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)への入所が可能になります。また、施設がある地域にもともと住んでいた人だけが入所できる地域密着型特養も同様です。

  • 介護老人福祉施設(特養)
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特養)

福祉用具レンタル

車椅子や補助杖などの福祉用具のレンタルは、要支援の状態や要介護1・要介護2でも介護保険の適用が一部できるものがあります。

しかし要介護3以上の在宅介護は、要介護が低いときよりもさらに福祉用具の重要性が増します。どのような福祉用具がレンタル可能なのかを確認しておきましょう。

  • 特殊寝台(介護ベッド)
  • 床ずれ防止用具
  • 体位変換器
  • 手すり
  • スロープ
  • 車椅子
  • 歩行器
  • 歩行補助杖
  • 移動用リフト
  • 徘徊感知機器

福祉用具貸与の品目

画像引用:厚生労働省|どんなサービスがあるの? – 福祉用具貸与

なお上の画像にある自動排泄処理装置のみ、介護保険の適用は要介護4以上となります。

要介護3の費用

茶色い財布のアップ

要介護3に認定された方は、月額270,480円までの介護サービス費用が原則1割負担で受けられます。

介護サービスのそれぞれの費用は、介護保険で「単位」として定められています。介護サービスを提供する事業者は提供したサービスに応じた単位に10円を乗じた額の9割を自治体に請求し、残り1割を要介護者に請求します。

介護サービスごとの単位は以下を参考にしてください。

《介護サービスごとの単位の例》

30分以上1時間未満の生活援助(訪問介護・日中帯) 396単位
訪問入浴(看護職員1人及び介護職員2人)/td> 1,260単位
1回あたりの通所介護利用(6時間以上7時間未満・要介護3の場合) 792単位
1日あたりの介護保険施設サービス費(従来型個室・要介護3の場合) 821単位
1日あたりの介護福祉施設サービス費(従来型個室・要介護3の場合) 712単位


参考
介護給付費単位数等サービスコード表WAM-NET

家族が要介護3に認定されたら

車いすを押す女性

要介護3は要介護1~5の中でちょうど真ん中の要介護度ですが、要介護3の状態は介護の負担がかなり大きくなることが予想されるため、家族にとっては大きな節目とも言えます。

家族が要介護3の認定を受けた場合、どのような心がまえが必要となり、どんな対処をしていけば良いのでしょうか。

ここからは要介護3に認定された方の家族が対処すべき点を説明していきます。

自宅に住み続けたい人

「要介護3とはどういう状態か」の項でも説明したとおり、要介護3では認知機能が大きく衰えていることが推測されます。

認知症高齢者が徘徊した結果の事故やトラブル、線路への立ち入りをして運休・電車遅延の賠償請求を受けるなど、徘徊による危険性は十分に考えられます。

以下の記事を参考にして、見守りカメラの設置やGPS端末の装着などの徘徊防止策を講じましょう。

また、要介護2から要介護3に区分変更した方は、移行前よりも一気に介護シーンが増える可能性があるため、ケアプランの見直しが必須です。

介護保険内でできるだけ効率よく介護できるよう、ケアマネージャーとじっくり相談しながらケアプランを再検討しましょう。

施設に入所したい人

要介護1や要介護2ではなんとかできていたひとり暮らしも、要介護3になるとほぼ不可能になります。

要介護3になると特養に入所申し込みできる点については上記で説明しましたが、特養は待機者が多いため、早期の入所はなかなかできません。

そのようなときに併せて検討したい施設が介護老人保健施設(老健)です。老健は入所可能期間が原則3ヶ月以内との制限がありますが、特養の待機期間や民間介護施設の検討中に安心して生活できる居場所になり得ます。

老健について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

要介護3は家族の介護ストレスに注意

老人と子供の暗いイメージ

要介護3の方を介護する家族の負担は大きなものになると考えられます。

在宅介護の場合には身体介助による肉体的負担や、24時間目が離せない状態になることで精神的な負担が増えます。

家族が施設に入所していても、費用が安価な特養にはなかなか入れずに民間の介護施設を利用した場合には、経済的な負担も大きくなるでしょう。

介護の負担が大きくなりすぎて、家族がつぶれてしまう事態は絶対に避けなければいけません。自治体の支援制度や周囲の助けを借りつつ、介護ストレスの軽減を図りましょう。

介護ストレスの対処法については以下の記事で詳しく解説しています。家族が要介護3になって介護ストレスに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

まとめ

今回は「要介護3」について解説しました。

要介護3になった方は、誰かの助けを借りないと生活ができなくなります。要介護3になっても安心して生活できるよう、要介護3に関する正しい理解を深めましょう。