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耳が遠い高齢者が補聴器以外でできる対策|耳に優しい生活と便利グッズ7選

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数田 陽子 Kazuta Yoko
数田 陽子 Kazuta Yoko

医療衛生用品メーカーでMDと営業、その後、ECサイト運営企業でヘルス&ビューティケアカテゴリを統括。自らが団塊ジュニア世代であることから終活に関する知識を深め、終活講師としてセミナーを主催。超高齢化に危機感を持ち、自らの生活を含めた親世代を支えるために、終活に関する知識を研鑽。おひとりさま、おふたりさまの終活分野に強く、化粧品や健康食品の開発経験から、健康面も重視し、トータルに考えたアドバイスが得意。 ▼保有資格 終活カウンセラー Happy Ending Planner 認知症サポーター 2級ファイナンシャル・プランニング技能士

この記事のサマリ
  • 耳が遠い方の8割以上は補聴器を装用していない
  • 難聴を予防し進行を遅らせる生活習慣を紹介
  • 耳が遠い高齢者に役立つ便利グッズを7つ紹介

耳が遠い場合、補聴器を使うことで聴覚を改善できるという選択がありますが、多くの理由から補聴器を使わずに生活している方も多くいます。

高齢になると耳の聞こえが悪くなることは一般的ですが、補聴器を使いたくない高齢者にとって、どのような対策があるでしょうか?

この記事では、補聴器以外でできる高齢者の難聴を改善する方法や便利なアイテムを紹介します。

高齢になると耳が遠くなる

高齢者のおよそ半数以上は耳が遠くなっていると言われています。

年を取ると耳が遠くなる原因の多くは加齢性難聴という耳の衰えですが、加齢性難聴以外にも耳が遠くなる原因は考えられます。

原因によっては治療も可能ですので、耳が遠いと感じられたときには早めに耳鼻咽喉科を受診し、正確な診断を受けてもらいましょう。

加齢性難聴の説明や、それ以外に耳が遠くなる原因については以下の記事で詳しく解説しています。

耳の聞こえが悪くなってる高齢女性 耳が遠い高齢者はなぜ多いのか|加齢性難聴その他の原因と起こり得るリスク

耳が遠い高齢者には補聴器の装用がおすすめ

耳鼻咽喉科を受診した結果、聴力の回復が見込まれない高齢者に対する最善の対策は、補聴器の使用です。

高齢に伴う難聴は病気ではなく、生理的な変化であるため、治療よりも聞こえを補助する補聴器が最適と考えられます。

補聴器を使用することを専門医から勧められた場合、できるだけ早く装着することがおすすめです。

補聴器は適応期間が必要であり、慣れるまでに時間がかかります。そのため、早めに始めることで、聴力の改善に寄与する可能性が高まります。

補聴器の購入費用は自治体助成が受けられる

補聴器は安いものでも3万円程度、機能の優れた補聴器であれば50万円以上するなど高額です。

補聴器を検討するときに、値段の高さがネックとなりあきらめてしまう方も多いでしょう。

耳が遠い高齢者が適切な補聴器によって聴力が改善できるよう、多くの自治体では助成金制度を設けています。

参考 高齢者補聴器購入費助成渋谷区

費用面で補聴器の購入を悩んでいる高齢者やそのご家族は、お住まいの自治体で同様の助成金制度がないか問い合わせてみることをおすすめします。

耳が遠い方のうち補聴器装用者は15%

耳の遠さを改善するためには補聴器が最適ではありますが、日本補聴器工業会の調べによれば2022年時点で実際に補聴器を装用している方は難聴者の15%しかいません。

参考 APAC Trak JapanTrak 2022 調査報告一般社団法人 日本補聴器工業会

難聴でも補聴器を付けない原因は前述の費用的な問題もありますが「補聴器を付けるのは面倒」との考えによるものや、年配の方の中には「年寄りじみて恥ずかしい」と心理的な抵抗があるとも考えられます。

また、かつての補聴器は雑音がしたり、周りのすべての音が同じように聞こえて不快感があるとの欠点も指摘されていました。

現在発売されている補聴器の多くはノイズキャンセリング機能が搭載されているなど改良されていますが、今でも以前の補聴器の印象がぬぐえない方がいるようです。

補聴器以外でできる聞こえの対策(生活習慣編)

耳が遠い方には補聴器の装用をおすすめしますが、どうしても補聴器を付けたくない方は補聴器以外で少しでも聴力を改善する対策をとってみましょう。

加齢性難聴は老化現象なので進行を止めることは難しいですが、できるだけ進行を遅らせる対策、また加齢性難聴以外の難聴を予防する対策は存在します。

以下からは補聴器以外でできる対策を紹介します。

  • 耳に優しい生活
  • 生活習慣病の予防
  • ビタミンB12の摂取
  • 適度な運動
  • 禁煙・節酒
  • ストレス発散

耳に優しい生活

耳を少しでも休ませるために、耳に優しい生活を心がけましょう。

大きな音は内耳細胞を傷つける恐れがあります。大音量で音楽を聴いたりテレビの音量を大きくしない、また、騒音が発生している場所に近づかないなどの対策ができます。

騒音のある場所から離れられない人は、耳栓を使用して音を遮断するなども有効です。

生活習慣病の予防

糖尿病や高血圧、動脈硬化などの生活習慣病は、耳への血流が悪くなり加齢性難聴が悪化する原因になります。

規則正しい生活を送り生活習慣病を予防または治療することで、耳が聞こえなくなるリスクを予防できます。

ビタミンB12の摂取

ビタミンB12の摂取により、傷ついた末梢神経の修復が期待できます。耳から脳への伝達回路を正常に保ち、難聴が予防できる可能性があります。

《ビタミンB12を多く含む食材》
・シジミ
・あさり
・レバー
・海藻類

ビタミンB12に限らずビタミン類には血流を良くする効果がありますので、ビタミン類を多く含む食べものを積極的に食べることによって耳の血流が改善できます。

ですが健康的な生活を送るためには、ビタミンだけにこだわっていてはいけません。栄養バランスがとれた食事をしつつ、ビタミン類をプラスしていくように心がけてください。

適度な運動

適度な運動は血流の改善や生活習慣病の予防に効果的です。難聴予防にも一定の効果が期待できます。

高齢者が適度な運動を行うと、聞こえの対策以外にもさまざまな利点があります。高齢者の方でもできる人気の体操については以下の記事で紹介しています。

ヨガをする高齢女性 高齢者が体操する効果とは|座ってできる・立ってできる人気の体操9種類

禁煙・節酒

喫煙や過度な飲酒は耳が遠くなる原因になります。

健康のためにも禁煙にチャレンジし、アルコール摂取は控えめにしましょう。

ストレス発散

耳が遠くなる原因が、疲労やストレスによって発症する病気の影響である可能性もあります。

《耳の遠さを引き起こす可能性がある病気》
・突発性難聴
・メニエール病
・低音障害型低音性難聴

疲労やストレスをそのままにせず、休息や気晴らしをして心身の状態を健康に保っておくことが難聴を避ける対策になります。

補聴器以外でできる聞こえの対策(便利グッズ編)

上記までは難聴予防、または進行を遅らせる対策を紹介してきましたが、加齢性難聴は老化現象なので完全に食い止めることはできません。

上記の対策をとっても聴力が改善せず、それでも補聴器をつけたくない高齢者とそのご家族は、補聴器以外の便利グッズを使用して高齢者の生活を安全で快適に保つ工夫をしましょう。

以下からは耳が遠い高齢者に役立つ便利グッズを7つ紹介します。

  1. ケアびー(かんたんコミュニケーションツール)
  2. スマートウォッチ
  3. 集音機
  4. 骨伝導ヘッドフォン
  5. 屋内信号装置
  6. 簡易筆談器
  7. TVの字幕放送

1.ケアびー(かんたんコミュニケーションツール)

ケアびーは親元から離れて暮らしている家族が、高齢者世帯に設置したタブレットで自由にオンライン通話などができるコミュニケーションツールです。

スマートフォンやパソコンは、高齢者が操作方法をわからず使いこなせない可能性があります。

ケアびーは自動でビデオ通話がつながるので、高齢者自身が操作する必要がなく、必要に応じてサポーターが遠隔操作でフォローしてくれます。

また耳が遠い高齢者にとってありがたい機能は、ケアびーが独自に特許を取得した字幕機能です。この字幕機能を使えば、ビデオ通話でお顔を見て会話をしながら、伝えたいことは文字で表示することができます。

そのため、これまで音声通話だけだと伝えられなかったことが、ケアびーであれば文字と表情で伝えることができるので、意志の疎通が図れます。

参考 機能説明かんたんコミュニケーションツール「ケアびー」

2.スマートウォッチ

スマートウォッチは聴覚障碍者の方の多くが利用している便利グッズです。

スマートフォンと連動させて電話やメールの着信を光や振動で知らせてくれ、インターフォンと連携できるタイプのスマートウォッチであれば自宅内で来客があることも確認できます。

さらにスマートウォッチに搭載されているGPS機能・健康管理機能・緊急通報機能は、高齢者の安全と健康を守るためにも役立ちます。

3.集音機

集音機は周囲の音をマイクで集めて、耳に届ける機器のことです。形状はイヤホン型や補聴器と同じような形のもの、首掛けタイプなどいろいろあります。

補聴器は医療機器なので専門医の診断が必要ですが、集音機は音響機器なため手軽に購入できます。また、補聴器に比べて費用も比較的安価です。

4.骨伝導ヘッドフォン

集音機の一種である骨伝導ヘッドフォンは、最近では聴覚障害者の人も多く使用されているようです。

頭蓋骨を通して脳に直接音を届けるので、鼓膜や内耳にダメージがあっても音が取り込めます。

ただし骨伝導ヘッドフォンは伝音性難聴の人には効果が期待できますが、感音性難聴である加齢性難聴には効果が薄いとされています。骨伝導ヘッドフォンの購入を検討中の人は、自分の耳が遠い原因と難聴の種類を専門医に確認してからにしてください。

5.屋内信号装置

屋内信号装置は来客や電話、火災発生、赤ちゃんの泣き声などをフラッシュ光と音、または振動でお知らせする装置です。

耳が遠い人が来客や火災に気付けるだけでなく、耳が遠い人にトラブルが発生したときにSOSを発信できる発信器と連動できるタイプもあります。

6.簡易筆談器

簡易筆談器は磁気ボードや感圧式液晶画面に文字が書ける、筆談用の便利グッズです。

マグネット式専用ペンを使用するタイプと、指や爪で直接文字が書けるタイプがあります。

ワンタッチで消去でき繰り返し使用できるため、紙ノートを使った筆談より手軽にコミュニケーションが図れます。

7.TVの字幕放送

TVの字幕放送は便利グッズではありませんが、耳が遠い高齢者のTV視聴に役立つ機能なため一緒に紹介します。

地上デジタル放送に対応するほとんどのTVでは、リモコンの字幕ボタンを押すだけで画面に字幕が表示できます。

字幕対応しているTV番組は、新聞やテレビ番組情報誌などに掲載されている番組表の「字」マークが付いています。字幕の表示には事前登録や手続きは必要ありません。

字幕により放送内容がわかればTVの音量を極端にまで上げる必要がなくなるため、他の家族と一緒のTV視聴が可能になります。

まとめ

今回は難聴を予防・改善する対策と、耳が遠い高齢者に役立つ便利グッズを紹介しました。

耳が遠いと生活に支障をきたし、さまざまなトラブルが起こる可能性があります。そのために家族やまわりの方とのコミュニケーションが取れなくなってしまうと、さらに孤立化し、重症化してしまうことも考えられます。

適切な補聴器の使用や、補聴器以外でもできる対策や便利グッズを駆使してできるだけ改善を図りましょう。


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