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要介護1とは|できることとできないこと・他との違い・介護保険サービス

要介護度12345の積み木とハート

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杉田 Sugita
杉田 Sugita
ライター

IT企業に勤務しながら、ライターとしても活躍中。実父の認知症発症と義母の看取り経験から、介護と終活の重要性に気付き、GoldenYears、その他メディアにて啓蒙活動を行い、幅広い読者に終活の知識を提供している。中小企業の経理や社会保険事務全般に習熟しているため、保険や年金などの分野を得意とする。1969年生まれ。 ▼保有資格 認知症サポーター 終活カウンセラー2級

この記事のサマリ
  • 要介護1は生活の一部に支援が必要な状態
  • 要介護1の要介護認定基準時間は1日あたり32分以上50分未満
  • 要介護1は月額167,650円までの費用が介護保険でまかなえる
  • できるだけ自分でやってもらうことが要介護1の人のためになる

介護認定で用いられる「要介護」状態は1~5のレベルに分類されます。

「要介護1」とは、具体的にはどんなことができなくなり、どんな介護が受けられるようになるのでしょうか。

今回は「要介護1」について、状態や他との違い・受けられる介護保険サービスを説明しながら、家族が要介護1に認定された方がすべきことについて解説します。

要介護1とはどういう状態か

杖をつく高齢者

要介護1とは要介護の認定レベル1~5の中で、もっとも介護の必要性が低い状態です。

食事や排泄などの日常生活はおおむね問題なく行えますが、運動能力や認知機能が低下しつつあるため、一部介助が必要になります。

一般的に要介護1に認定された方は、以下のような状態である場合が多いです。

食事 自分でできる
排泄 自分でできる(手すり等は必要)
入浴 自分でできる・または一部介助
歩行・立ち上がり 一部介助
身づくろい ほぼ自分でできる
掃除・洗濯 ある程度できる
調理 1人では難しい
買い物・金銭管理 1人では難しい

要介護1の原因1位は「認知症」

厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」によると、要介護1になった原因は認知症が第1位の29.8%でした。第2位は脳血管疾患(脳卒中)14.5%、第3位は高齢による衰弱13.7%です。

現在の要介護度別にみた介護が必要となった主な原因(上位3位)

画像引用:厚生労働省|2019年国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況

認知症により要介護1になった方は運動能力には大きな衰えはありませんが、認知機能の低下で日常生活に支障をきたすことが多くなっているために要介護1に認定されています。

認知症については以下の記事で詳しく解説しています。

認知症のイメージ 認知症とは何かを知っていますか|認知症について基本からきちんと解説

同居の家族は「必要なときに手を貸す」が6割

2019年に要介護1の高齢者等を介護していた同居の介護者は、生活すべてのシーンで介護をするわけではなく「必要なときに手をかす程度」と答えた人がほぼ6割(61.2%)でした。

要介護度別にみた同居の主な介護者の介護時間の構成割合

画像引用:厚生労働省|2019年国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況

ただし要介護1でも「ほとんど終日」と答えた方が11.3%いますので、回答者が介護をどう捉えているかによって、介護している時間の認識が異なると考えられます。

要介護1と他との違い

要介護1と心身の状態がほぼ同じでも、要介護2ではなく「要支援2」と認定されるケースがあります。

要介護1と要支援2との違いは、介護予防の理解ができるか、および今後6ヶ月以内に介護の手間が増える可能性があるかどうかです。

認定時点の状態は同じでも、その後に運動能力や認知機能の維持が出来ない可能性がある方は要介護1となります。

要支援2と要介護1の振り分け基準

画像引用:厚生労働省|要介護認定 介護認定審査会委員テキスト2009改訂版

要介護1の認定基準時間

壁掛け時計を見つめる猫

厚生労働省が定める要介護1の要介護認定基準時間は、1日あたり32分以上50分未満です。

これは1日のうちに、対象者の介護にかかる時間が32分~50分程度かかるだろうと推測した推定時間です。

要介護度をはかる要介護認定では、介護における手間や肉体的負担・精神的負担ではなく「時間」をものさしにして介護度を決めています。

要介護認定について詳しくは以下の記事をご覧ください。

要介護要支援認定申請書 要介護認定とは|仕組みと申込・実施方法、基準時間をわかりやすく解説

日本で要介護1に認定されている人の数

大勢の人のシルエット

2023年1月時点で、日本で要介護1に認定されて介護保険サービスを受けている方の数は1,239.7千人です。

うち1,083千人は自宅や家族の家で生活しながら居宅サービスを受け、275千人はグループホームなどの地域密着型サービス、48.4千人は介護施設に入所して施設サービスを受けています。

地域密着型サービスの中には在宅介護を支援する訪問介護・通所介護も含まれるため、要介護1の人のほとんどは自宅や親族宅で生活していることがわかります。

要介護1で受けられる介護サービス

介護士と緑の中を散歩する高齢男性

要介護1に認定された人が受けられる介護保険サービスは以下の3つに分類できます。

  • 居宅サービス
  • 地域密着型サービス
  • 施設サービス

以下からはそれぞれのサービスの説明をします。

参考 公表されている介護サービスについて厚生労働省 介護サービス情報公表システム

居宅サービス

ひとり暮らし、または家族と一緒に自宅で生活する要介護1の方は、以下の介護サービスを受けられます。

  • 訪問介護(ホームヘルプ)
  • 訪問入浴
  • 通所介護(デイサービス)
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリ
  • 通所リハビリ
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)
  • 短期入所療養介護

施設サービス

民間が運営する老人ホームではなく、公営の介護施設に入所したい要介護1の方が入所できる介護施設は以下のとおりです。

入所には要介護度以外にも利用条件があります。

  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院

地域密着型サービス

地域密着型サービスとは、介護が必要になっても住み慣れた地域で生活し続けられるように、地域住民のみに提供される介護サービスです。

在宅介護・施設介護の両方の介護サービスがあります。

  • 地域密着型通所介護
  • 療養通所介護
  • 認知症対応型通所介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護

要介護1の費用

介護にかかるお金イメージ

要介護1の場合、月あたりで認められている介護保険の支給限度額は167,650円です。

実際には支給限度額は金額ではなく、介護保険の単位で決められています。受ける介護サービスの種類により単位は異なります。

参考 介護給付費単位数等サービスコード表WAM-NET

《介護サービスごとの単位の例》

20分未満の身体介護(訪問介護・日中帯) 167単位
20分未満の身体介護(訪問介護・夜間早朝) 209単位
20分以上45分未満の生活援助(訪問介護・日中帯) 183単位
20分以上45分未満の生活援助(訪問介護・夜間早朝) 229単位
1回あたりの通所介護利用(6時間以上7時間未満・要介護1の場合) 581単位
1日あたりのユニット型介護福祉施設サービス費 652単位

要介護1は16,765単位が認められているため、1単位あたり10円をかけた月額167,650円の原則1割負担である16,765円が介護サービス事業者に支払う費用となります。

なお介護サービスを支給限度額以上に利用したときには、超過分は全額自己負担です。

家族が要介護1に認定されたら

親の介護に悩む子供の人形

親などの家族が要介護1と認定されたら、できるだけ本人に自立した生活を続けていってもらうために、家族はどんなことができるでしょうか。

ここからは要介護1と認定された人の家族が検討すべきことについて説明します。

自宅に住み続けたい方

要介護1の状態であれば、まだひとり暮らしは可能です。ひとり暮らし高齢者のリスクを充分に理解した上で、必要に応じたサポートを受けながら自立した生活が営めるよう応援しましょう。

高齢者 リスク ひとり暮らしの高齢者に潜むリスク|安心して暮らすための4つの対策とは

認知機能が低下しつつある要介護1のひとり暮らしでは、調理や買い物は事故につながる可能性があるため避けた方が無難です。ネットスーパーの利用や見守りサービスがついている宅食サービスなどもご検討ください。

青背景の中の買い物カート 高齢者が買い物に困る5つの理由|買い物難民化した高齢者を救う対策とは

家族と一緒に住む要介護1の方は、家の中を自由に動き回れるように手すりの設置やバリアフリー化などのリフォームしておくことが望ましいです。介護を目的としたリフォームには介護保険が適用できます。

弁当 高齢者向け宅食サービスの4つのメリットと選び方・おすすめランキング

施設に入所したい方

自宅での生活が難しいときには、介護施設への入所もご検討ください。

要介護1は要介護の中では一番介護レベルが低いので、介護施設の中では比較的自由度が高いサービス付高齢者向け住宅(サ高住)や住宅型有料老人ホームなどがおすすめです。

サ高住と住宅型有料老人ホームとの違い、また、他の施設との違いは以下の記事にまとめています。

老夫婦と家 あなたにぴったりの老人ホームはどこ?老人ホーム9種類を一挙ご紹介!

要介護1は「周りが手伝いすぎない」が大切

supportの文字といろいろな顔をしたこけし人形

最後に、家族や身近な方が要介護1になった場合の注意点を申し上げます。

要介護1とは生活する上で介護が必要な状態ではありますが、まだまだ自分でいろいろなことができる状態でもあります。

リハビリや生活習慣の見直しにより、介護を必要としない「要支援」の状態に改善も見込められます。

要介護だから手助けしなければと考え、親切心から生活のすべてを支援してしまうと、かえって活動意欲が低下して要介護度が進んでしまうかもしれません。

自分でできることはできるだけ自分でやってもらい、相手の活動の機会を奪わないようにしましょう。

まとめ

今回は「要介護1」について解説しました。

要介護1に関する理解を深め、自分や家族が要介護1になったときに何ができるか、今から模索していきましょう。


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