【Excel版】エンディングノート(終活ノート)

40歳以上は介護保険の支払いが義務!支払~受給まで徹底解説

解説

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杉田 Sugita
杉田 Sugita
ライター

IT企業に勤務しながら、ライターとしても活躍中。実父の認知症発症と義母の看取り経験から、介護と終活の重要性に気付き、GoldenYears、その他メディアにて啓蒙活動を行い、幅広い読者に終活の知識を提供している。中小企業の経理や社会保険事務全般に習熟しているため、保険や年金などの分野を得意とする。1969年生まれ。 ▼保有資格 認知症サポーター 終活カウンセラー2級

この記事のサマリ
  • 介護保険制度は2000年からはじまり2006年に改正された制度
  • 年齢によって第1号被保険者と第2号被保険者に分けられている
  • 原則1割負担で介護サービスが受けられる制度

40歳になったばかりの会社員の方が給与明細を確認したら、これまで無い項目を見つけるかもしれません。

「社会保険(含 介護保険)」

以前は「社会保険」だったのに、いつの間に名前が変わったのでしょう?

そういえば、前よりも健康保険料の控除金額が増しているような…。「介護保険」との名前も、最近よく耳にするような気がします。

介護保険とは何でしょう?

誰が誰の介護をするための費用が控除されているのでしょうか?

今回は、一般にはなかなかわかりづらい介護保険制度について、詳しくご説明していきます。

介護保険制度とは?

解説する女性

介護保険制度は、2000年4月からはじまった制度です。

実施しているのは市町村などの地方自治体です。健康保険加入者から集められた保険料と公費を財源とし、自治体主体で介護保険事業を運営しています。

健康保険が「皆保険制度」により国民全員が加入しているように、

介護に関しても日本国民が全加入し、社会全体で高齢者・障がい者を介護しようとする仕組みです。

参考 介護保険制度の概要厚生労働省

介護保険制度の成り立ち

橋の上の三世代

2018年の厚生労働省「簡易生命表」によれば、現在の国内平均寿命は

女性が87.26歳

男性が81.09歳です。

いずれも過去最高齢を更新し、今後ますます高齢化が進むことが予想されています。また、少子化・核家族化にともない、家族だけで高齢者を介護するのは困難な状況になってきました。

そこで設けられた社会福祉制度が「介護保険」です。

介護が必要な人が安心して介護サービスを受けられるよう、費用の助成をしています。

介護保険制度の開始当初は「介護サービス」だけが受給対象でしたが、2006年の制度改正により「介護予防サービス」も受給対象となりました。

介護保険制度の対象者

AとB

介護保険は、満40歳以上の人が全員加入を義務付けられています。その中で、40~64歳と65歳以上の2種類に区分けされています。

それぞれの違いを確認しましょう。

第1号被保険者

第1号被保険者は、65歳以上の方が対象です。

保険料の支払い義務も、介護サービスを受ける権利も有しています。

第2号被保険者

第2号被保険者は、40~64歳の方が対象です。介護保険料の支払い義務はありますが、基本的には介護サービスの受給資格はありません。

例外として、以下の指定疾病により介護認定を受けた場合は受給対象となります。

  • 末期がん
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 後縦靱帯骨化症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 初老期における認知症
  • 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 脊柱管狭窄症
  • 早老症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  • 脳血管疾患
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 慢性閉塞性肺疾患
  • 変形性関節症(両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う)

介護保険料の金額

お金イメージ

介護保険料は月あたりいくら支払う必要があるのでしょうか。それは、加入している健康保険組合により異なります。

一例として、協会けんぽに加入している第2号被保険者は、給与の1.73%が保険料となります。国民健康保険の加入者は、所得割と均等割・平等割・資産割の4つを自治体が計算して保険料を決定します。

65歳以上の第1号被保険者は、国民健康保険の加入者と同様です。

介護保険料の納付方法

介護保険料は、基本的には健康保険料と一緒に納付します。

会社員の人は給料支払時に介護保険料の半額が控除され、残り半分を会社側が負担して、各健康保険組合に納付を行います。国民年金加入者は会社負担がありませんので、全額を各自治体に納付します。

65歳以上の第1号被保険者は、原則として年金から天引きして自治体が徴収します。

ただし、国民年金の任意加入をしている70歳未満の第1号被保険者は、国民年金の納付時に保険料の支払いを行います。

介護保険料を滞納するとどうなる?

後悔する男

第2号被保険者であれば介護保険料は健康保険料と一緒の納付ですから、滞納することはほぼありませんね。しかし65歳以上の第1号被保険者で、無年金の人は注意が必要です。

2018年の国民保険納付率は68.1%でしたから、30%以上の人は無年金になる可能性があります。

無年金の人は年金からの天引きができないため、つい滞納してしまうことがあるのです。介護保険料の納付をしないと、どうなってしまうのでしょうか。

滞納期間にもよりますが、基本的には介護保険制度が使えず、サービス料金が全額自己負担になります。さらに自治体によっては、財産差し押さえなどの措置を受けます。

低収入や無収入の人は減免措置もありますので、放ったらかしにせずに自治体窓口に相談しましょう。

介護保険制度を利用するメリット

外国人の三世代

上記の説明のとおり、介護保険には加入義務と支払義務があります。

ですが、義務だけではありません。被保険者に対して大きなメリットがあるからこそ、介護保険制度には意味があるのです。

被介護者にとっても、介護する親族にとっても嬉しいメリットを確認しましょう。

自己負担額はたったの1割

介護保険制度を利用する最大のメリットは、介護サービス料金の負担減です。

在宅介護・施設入居のどちらも、介護保険制度を利用すれば、サービス費用を介護保険が原則9割負担してくれるのです。つまり、自己負担はたったの1割となりますね。

被保険者の前年度所得が高い場合には、1割負担ではなく2~3割負担となる可能性もありますが、それでも介護費用が大きく節約できます。

その他サービスや自治体独自の優遇サービスもあり

それ以外にも、さまざまな優遇サービスがあります。

例えば、介護をしやすい住宅にリフォームするための「在宅設備改修給付」。バリアフリー化や介護浴槽の設置工事費用が、原則9割返還されます。

リフォーム リフォームに介護保険が適用できるってホント?適用条件や注意点を解説!

また、現物支給や給付券の発行により福祉用具購入助成がされる場合も。自治体によっては、それ以外にも独自の優遇サービスを提供しているところもあります。

訪問理容やタクシー利用券の交付、はり・きゅう・あんま施術の費用負担などは、各自治体が介護認定を受けた高齢者に対して提供している優遇サービスの一例です。

介護保険制度の利用方法

介護サービス申請書類

それでは、実際に被保険者が介護サービスを受けることになった場合の流れを確認しましょう。

介護サービスを利用するためには、所定の手続きが必要です。自動的に介護保険制度が使えるわけではないので、介護が必要な事態になったらすぐに申請をしましょう。

利用には要介護認定を受ける必要がある

介護サービスを受けるためには、介護を必要していることの認定が必要です。

要介護認定は、各自治体の地域包括支援センターが主体となって行われます。聞き取り調査や主治医の意見書などを元に、介護認定審査会が審査を行い、対象者の要介護度を決定します。

認定基準は対象者の身体レベル・認知レベルに加え、各人の生活環境も考慮されます。

ひとり世帯など、日常生活を支援できる人がいなければ度数が上がる傾向にあります。

審査の結果、要介護度合いに応じて要支援1~2、要介護1~5に分類し、認定証が発行されます。

要支援1 日常生活にはほとんど支障はないが一部介護を必要とする人
要支援2 歩行や立ち上がりが困難など、要支援1より身体機能においてやや障がいが見られる人
要介護1 要支援2に比べて運動能力や認知能力に障がいがあり部分的に介護が必要な人
要介護2 運動能力、理解力において日常生活にやや支障が出ている人。食事も排せつなど、身の回りのことも介護が必要な人
要介護3 日常生活に支障が出ている人。介護なしでは食事や排せつなど身の回りのことができない、また立ったり歩いたりすることができない人
要介護4 要介護3よりもさらに動作能力が低下。日常生活全般に介護が必要な人
要介護5 介護なしでは1人で生活していくことができない、食事、排せつはもちろん、着替えや寝返りなどにも介護が必要。意思伝達能力も極めて低く、コミュニケーションが困難な人

介護サービスの申請方法

要介護認定がされたら、地域包括支援センターの担当者がケアプランを作成し、介護度に応じて受けられるサービスを相談します。

要介護1~5と認定された人に対しては、地域で活動しているケアマネージャーが紹介されます。できれば複数の方と面談して、相性の良いケアマネを選びましょう。

その後の介護サービス利用については、担当ケアマネが手続き等の仲立ちをしてくれます。

必要なのは介護保険被保険者証と認定証

介護保険制度により介護サービスを利用するためには、以下2点が必要です。

  • 介護保険被保険者証
  • 要介護(要支援)認定証

介護保険被保険者証は、被保険者が65歳の誕生日を迎えた後に各自治体から郵送されます。要介護(要支援)認定証は、要介護認定がされた後に地域包括支援センターから発行される書類です。

この書類が要介護度の証明となり、1ヶ月で受けられる介護サービスの上限金額がわかります。

いずれも大変重要な書類なので、要介護状態の被保険者本人の管理が難しい場合には、頼れる親族に管理を委任することをおすすめします。

シロツメクサ 65歳になったら知るべきこと|介護保険被保険者証って一体なに?

民間の「介護保険」と間違えないように注意

注意点

介護保険制度がわかりづらいのは、民間企業が「介護保険」のサービス名で商品を販売しているせいでもあります。

公的な介護保険制度と、民間の介護保険サービスは、まったく違います。

公的な介護保険制度が費用を一部負担するのに対し、民間の介護保険サービスは、介護が必要になった時点で一定額の保険金支払をするものです。

民間の介護保険にも良い点はあり、サービスや保険商品自体が悪いものではありません。

ですが、公的な介護保険制度と民間サービスを混同してしまうと、充分に準備してきた筈なのに片手落ち、との結果にもなりかねません。

間違えないように、充分注意しましょう。

まとめ

植物を持つシニア女性

今回は、社会福祉制度のひとつである介護保険制度についてまとめました。

介護保険制度については知るべき内容が多く、また年々状況が変化しているため、非常にわかりづらいのが特徴です。

独学ですべて学ぶのは大変なため、詳しい専門家に相談することをおすすめします。

知るべきポイントや最新情報も提供してくれる介護の専門家なら、安心して自分や家族の介護問題も相談できるでしょう。


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