【Excel版】エンディングノート(終活ノート)

「お墓はいらない」なら知っておくべき!供養の方法と墓じまい

お墓に添えられた花

この記事を書いた人
臼井 貴紀 Usui Kiki
臼井 貴紀 Usui Kiki

Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んだり、1日訪問看護ステーションに密着するなど、徹底的な現場主義タイプ。日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。 ▼保有資格 終活カウンセラー FP エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座修了

この記事のサマリ
  • 「お墓はいらない」と考える人が増えている
  • 「お墓を作らない」場合の選択肢は6つ
  • お墓が既にある場合は「墓じまい」が必要

お葬式やお墓についてのアンケート調査(40歳以上男女対象)によると、「お墓を託せる人はいますか?」という問いに対し、約30%の人が「いない」と回答しました。

理由は少子高齢化の影響で後継者がいないという現実的な問題から、お墓はいらないと考えている人も増えているようです。

しかし、いざお墓を作らないと決めたときに、一体何をすればよいのかはご存じないという方も多いのではないでしょうか。

この記事ではお墓がいらないと考える人が知っておくべき墓じまいの手順や、供養の方法まで詳しく説明していきます。ぜひ参考にしてみてください。

お墓はいらないと思った時に何をすればいい?

墓地に並ぶお墓

お墓を買うとなると、土地や墓石の種類をどうするか…など考えること・やる事がたくさんあるように思えます。

そこで、いっそのことお墓を作らないという選択をしてみたらどうでしょう。

面倒ごとから一気に開放されて、考えるべき事が一つ減るでしょうか?

残念ながら、お墓を作らないという選択をしても考えておくべきことはあります。

ただ、それらは準備さえしておけばお墓を作る時に立ちはだかる問題より簡単に解決できるので、選ぶ人が増えているという訳です。

お墓を建てないという選択をしたとき、考えておくべきことは大きく4つです。

  1. 既に持っているお墓の撤去
  2. お墓以外の納骨先
  3. 仏壇を作るかどうかの検討
  4. お墓を作らない場合のリスクを確認

最低限この4つを押さえておけば、お墓や供養の方法に関して残された遺族が迷うことはありません。

お墓はいらないと思ったらやるべきこと

ノートを手に考える女性

お墓がある場合は墓じまいする

既にお墓を持っている場合は、撤去するための手続きが必要です。
墓じまいは下記のような手順で行います。

①遺骨の受け取り

まずお墓のある寺院や霊園に提出し、遺骨を受け取ります。
その際、別のお墓に引っ越す場合は改葬許可証が必要となりますが、散骨や手元供養を目的とした場合はその限りではありません。

②石材店に墓石の撤去を依頼する

お墓のあった寺院・霊園と提携している石材店があればそちらに従います。
ない場合は自分で石材店を探し、見積もりを依頼しましょう。

③魂抜きする

お墓には魂が宿っているとされ、撤去する時には僧侶による魂抜きという作業が必要です。
魂抜きが完了したら、僧侶にお布施を渡します。

④墓石の撤去

墓石を撤去し更地にした後、土地の権利を返却します。
土地は購入ではなくお墓を建てる権利を借りているだけなので、お金が戻って来ることはありません。

墓じまいせずにお墓を放っておいた場合
墓地の管理料未払いは三年の猶予を設けていますが、期間を過ぎても支払いがない場合は撤去の対象となります。
対象になってから更に一年連絡がなければ強制的に墓石は処分され、遺骨は合祀されます。
合祀されてから気付いても遺骨を引き取る事は出来ません。

家族とじっくり話し合いを

お墓は遺された家族のために存在します。家族が「ここに行けば故人に会える」と拠り所にし、悲しい気持ちを和らげる為の大切な場所になりうるのです。

勝手に墓じまいをしたりお墓を建てないと決めたことで、親族とトラブルになるケースもあります。

自分は死んだらそれまでだからと考えてしまいますが、親族の供養に対する意向を汲むことも大切です。行動に移す前に意見をすり合わせておきましょう。

お墓を作らない場合、遺骨はどうすればいい?

供養されている遺骨

お墓がない場合、遺骨はどうするかという問題が新たに発生しますが、お墓に入らなくても遺骨を管理・供養してもらう方法は色々あります
価格帯や供養のスタイルを見て希望に沿ったものを探してみて下さい。

①永代供養

価格︰数万~300万円程度

自分の宗派があればその本山や寺院にある合祀墓へ遺骨を入れ、供養してもらう方法です。
最初に一式料金を支払うと維持費がいらないプランもあり人気です。郵パックに限り遺骨の郵送が出来る手軽さも人気の理由です。

②本山納骨

価格︰2~10万円程度

永代供養と似ていますが、こちらは自分の宗派の本山に他の遺骨と共に納骨され弔われます。費用が安く、年間の管理費などもかかりません。また、お墓に入るためには基本的に戒名が必要ですが、本山納骨であれば不要です。

③散骨

価格︰代行業者に委託する場合は5万円程度、自分で船をチャーターする場合は25~35万円程度

遺骨をパウダー状になるまで砕き、海や空中に撒く方法です。勝手に散骨をするのは違法なので、大抵は粉骨から散骨まで民間業者に委託します。維持管理もなく安価なので、経済的理由を抱える人や後に何も残さずすっきりしたい人に人気です。

④樹木葬

価格︰10~100万円程度

石で出来たお墓の代わりに樹木を墓標とする埋葬方法です。埋葬方法によっては安価で、遺族が参拝する事も出来るため選ぶ人が増えてきました。
ただし30年ほどで永代供養に移されてしまう事もありますので、契約内容をよく確認しましょう。
また樹木葬といってもやり方は様々で、樹の下に遺骨を埋めてくれる所もあれば、周りに散骨するだけの所もありますので気を付けてください。

⑤手元供養

価格︰遺骨を加工する場合は1~30万円程度

遺骨を遺族が手元に置いて管理する供養の方法です。骨壷をそのまま保管する方法もありますが、アクセサリーやダイヤモンドに加工する事も出来ます。また、骨壺を手元に置いておく場合は分骨証明書を取得しておきましょう。
将来「やっぱりお墓に入れたい」と思った時に証明書がないと受け入れて貰えません。

⑥ゼロ葬

価格︰なし(火葬費用のみ)

ゼロ葬とは、火葬場に遺骨を預け持ち帰らないという方法です。残された遺骨は自治体が処分します。
手間も費用もかからないシンプルな方法ですが、遺族が納得できずに後悔を残してしまうケースもあります。
また、火葬する地区によっては受け付けていません。

お墓はいらないけれど仏壇は作る?

仏壇に手を合わせる人

お墓と合わせて考えて起きたいのが、お仏壇の存在。

最近ではお墓同様に仏壇も不要という人が増えています

時代の変遷に伴って、お仏壇に手を合わせるという文化自体が薄まってきています。

必要有無はご家族と話し合って、無理のない範囲でできることを実施しましょう。欲しくても大きくて置けないという場合は、コンパクトな仏壇を購入することもできます。

仏壇 仏壇の正しい処分方法と確認すべき4つのポイントをご解説 仏壇のこんな捨て方に注意!正しい処分方法と4つの確認ポイント

お墓がないことのデメリット

頭を抱えて困っている女性

価格も抑えられ、継承者も不要な「お墓を作らない」という選択。良い事づくめに見えますが、デメリットももちろんあります。

それは、後になってお墓を作ろうとしても難しいという事です。

前の章で触れたように、骨壺を手元に置いておく以外の方法では粉骨または合祀されてしまいます。
そのため、後になって特定の誰かの遺骨を取り出すことは出来ないのです。

じっくり考えて悔いの残らない選択を

ジャンプしている家族

近年はニーズに沿ったサービスが充実しており、お墓がなくても供養や遺骨の行き先に困ることはありません。

選択肢が増え、家族の行く末や価値観に合わせた方法を取ることが可能な時代になったのです。しかし、それは同時に家族間のトラブルを発生させる引き金にもなっています。

どんな方法を取るにせよ「自分や家族が真に希望することは何なのか?」を考え、後悔のない選択をすることが大切です。


ending-note
GoldenYearsでは、充実したセカンドライフを送るためのサポートを行っております。

終活カウンセラーやエンドオブライフケアなど専門知識を持ったプロフェッショナルチームへの相談が可能です。少しでもわからないことがあれば、ご気軽に以下お問い合わせフォームよりご連絡ください(無料)。

▶︎お問い合わせフォームへ