- エンディングノートの書き方がわかれば着手しやすくなる
- 年齢・家庭環境・就業状況などケースごとに優先項目は違う
- エンディングノートに法的効力・強制力はない
- エンディングノートを読む人に配慮した書き方が重要
終活という言葉もすっかり世の中に定着し、終活のひとつとしてエンディングノートを書いている人も増えてきました。
自分もエンディングノートを書こうと思いながら、つい面倒で延び延びになってはいないでしょうか。
エンディングノートに書く項目の優先順位を絞り込み、それぞれの項目の具体的な書き方がわかれば書きやすくなります。
今回はエンディングノートの書き方をケース別にご紹介し、それぞれの状況ごとに何を優先させるかについて解説します。
エンディングノートは人により書き方が違う
エンディングノートを書くのが面倒な理由のひとつは、書くべき内容があまりにも多いために何から手を付ければ良いのかわからなくなるという点です。
それぞれの家庭環境や生活スタイルの違いにより、優先すべき内容が変わります。
以下の記事ではエンディングノートの優先事項を、書く人の目的別にまとめています。エンディングノートをどこから書けば良いか悩んでいる人は、この記事とあわせて参考にしてください。
必ず書く内容
どのような状況の人であってもエンディングノートに必ず書かなくてはいけない項目が存在します。
例えば、書く人の氏名は明記しておかなければいけません。氏名を書いておかなければ、いったい誰のエンディングノートなのか第三者には判別できません。
施設に入居していた人や家族・親族以外の人と共同生活を送っていた人の場合、残されたエンディングノートが誰の物なのかわからないというのは十分あり得ることです。
以下の記事を参考にして、エンディングノートに必ず書かなければいけない基本情報を押さえておきましょう。
状況が変わったら書き直しが必要
エンディングノートは一度書いたら終了…ではありません。
家庭環境や財産状況、生活スタイルが変わればエンディングノートに書く内容も変化します。
一度で終わらないのは面倒ですが、逆に「書き直し前提だからこそ気軽に書ける」とも考えられます。
一年の最初に新しいスケジュール帳を下ろすように、定期的にエンディングノートも見直して更新するのが理想的な書き方です。日付も忘れず記入しておきましょう。
パソコンやスマホアプリで作成すると便利
エンディングノートは定期的な書き直しが理想ではあるものの、変更しない箇所までいちいち書き移すのは大変です。
しかし、パソコンやスマートフォンのアプリを使ってデジタルデータとして保存しておけば、変更部分を修正するだけですむので便利です。
なおパソコンやスマートフォンで作成したエンディングノートは、いざというときに第三者が発見できるように印刷したり、データの保存場所を信頼できる人に教えておくようにしましょう。
ケース別エンディングノートの書き方
ここからは具体的にエンディングノートをどのように書いていくか、想定される記述者のケースごとに書き方の説明をしていきます。
以下のケース別書き方では記述者の状況にあわせた重要項目を中心にご紹介していきますが、他のケースにおいても項目に該当する人がいるかもしれません。
自分とは違うケースであっても一通り確認し、自分に必要な項目の書き方が含まれていないかチェックしましょう。
ケース1:55歳・既婚(子供と同居)・現役
会社勤めをしている現役世代が既婚者で子供もいる場合、家計収入の重要な担い手になっていることが多いです。
近年では夫婦共働きの世帯も多く、夫婦どちらかの収入が途絶えると家計に大きな影響を与えます。
特に子供がまだ学生の人は、家族が生活費や学費の心配をしないですむように財産情報を明確にしておきましょう。
なお保険金請求をスムーズに執り行うためには、契約している保険の種類だけでなく証券の保管場所や連絡先も書いておくことをおすすめします。
ケース2:55歳・独身(子供なし)・現役
上のケースと同じ55歳の現役世代でも、独身でひとり暮らしの人はエンディングノートに記載する項目の優先順位が異なってきます。
同居家族がいれば親族関係も共通ですし、勤務している会社や親しい友人関係もある程度は把握していますが、単身世帯に住む人はそうはいきません。
自分に万が一のことが起こったときに連絡すべき相手をエンディングノートに書いておく必要があります。
ケース3:65歳・既婚(子供は独立)・定年
会社を定年退職し、そろそろ自分の死期についても頭に浮かんでくる65歳の人は、相続対策も考え始める時期です。
自宅などの不動産を所有している人は、相続財産も比較的高額になりがちです。
登記情報や想定時価など、遺産協議に必要となる事項をしっかり書き残しておきましょう。
また配偶者がいる場合には、遺された配偶者が今後どこに住むかもあわせて考えておかなければいけません。
2020年4月からは配偶者居住権の制度もスタートし、配偶者が自宅に住み続けても生活費に困らないような対策が可能となっています。
エンディングノートに配偶者居住権について書き添えておくと遺産分割協議の際の参考になります。
画像引用:法務省|配偶者の居住権を長期的に保護するための方策(配偶者居住権)
ケース4:65歳・独身(子供なし)・定年
定年まで悠々自適の独身貴族を貫いてきた人は、結婚して配偶者・子供を養ってきた人よりも経済的に余裕がある可能性があります。
趣味のグッズやコレクション等、資産価値のある品物を所有している人も多いでしょう。
価値がわからない人に誤って処分されないように、ある程度以上の高額な品物についてはエンディングノートに書いておくことをおすすめします。
なお貴重なコレクション等を誰かに遺贈したいときには、遺言書でその旨を明らかにしておかなければいけません。
遺贈については以下の記事も参考にしてください。
ケース5:75歳・老後
既婚・未婚に関わらず、75歳にもなると医療・介護の必要性や人生の終焉を真剣に考えなければいけない頃です。
子供がいる人も多くは独立し、配偶者に先立たれるなどして単身世帯になっている人も多いでしょう。
自分が病気や認知症になったとき、介護や看護の必要が生じたときにどのようにして欲しいか、生前の処遇についてもエンディングノートに書き記しておくことができます。
さらにエンディングノートのしめくくりとして、未来の自分の葬儀や埋葬場所についてもあらかじめ遺族に指示するのが望ましいやり方です。
元気なうちに自分の最終的な在り方まで定めておきましょう。
特別なケース:マイナス遺産の保有者
エンディングノートの書き方の最後は、年代や家庭環境の区別なく関係してくるマイナスの遺産についての事項です。
個人的な借金のある人だけでなく、住宅ローンやカーローンなど遺産相続にも影響してくる借入金については、漏れなく詳細をエンディングノートに書き残しておきましょう。
エンディングノートの書き方で注意すること
満足いく最期のために書き記しておくエンディングノートも、それが遺族や関係者の迷惑になってはいけません。
エンディングノートを書く際には以下の2点に注意しましょう。
閲覧者への強制力はない
エンディングノートに書いた希望がすべて叶うとは限りません。
エンディングノートはあくまでも自分の希望を明確にしておくためのものですので、エンディングノートを読んだ人がその希望を実行するかどうかは閲覧者にゆだねられており、強制力はありません。
またエンディングノートには法的な拘束力がないため、遺言書がない限りは法定相続以外の相続はできません。
相続財産の行方について希望がある場合には、法的に有効な遺言書を作成しておく必要があります。
閲覧者の心情に配慮が必要
エンディングノートを書いているうちに、これまでの人生を思い起こしてつい感情的になってしまう人がいます。
家族や関係者に対して感謝の気持ちを伝えるのは結構ですが、逆に不仲だった人に対する恨み言のようなものを書いてしまうと、相手だけでなく第三者にも不快な印象を与えてしまいます。
エンディングノートを書く際には冷静さを保ち、閲覧する人、関係する人への配慮をおこたらないように心がけましょう。
まとめ
今回はエンディングノートの書き方をケース別にご紹介しました。
エンディングノートは自分のためにも、また家族や関係者のためにもなります。
エンディングノートを終活のお供にして、備えあれば憂いなしの気持ちでイキイキとした毎日を過ごしましょう。