- 終活を20代で始めても早すぎることはない
- 20代から終活するとメリットがある(万一の備え・ライフプランの設計・親の終活)
- 20代の終活では20代特有のすることと注意点がある
「終活」は、すでに人生の終わり間近に差しかかった高齢者が行うものだと思っている方がいます。
しかし、それは間違いです。終活はどんな年齢の方が行っても良く、実際に20代から終活を始めている方がいます。
今回は20代から始める終活について解説します。20代の方がする終活は、60代や70代が行う終活とは何が違うかを知りましょう。
20代の終活は早すぎない
終活とは今をよりよく生きるための活動です。
20代の若者はまだ自分の死期については想像がつかないことが多いですが、いつなんどき自分が亡くなるかは、誰にもわかりません。
まだ20代のうちに若くして亡くなってしまうかもしれない可能性を考えると、20代から終活を始めても決して早すぎることはありません。
20~30代の約6割は終活に関心がある
中古車売買のガリバーが運営する中古車査定アプリ「Gulliver AUTO」が2020年に行った終活に関するアンケートでは、20代・30代の63%が「終活に関心がある」と回答していたとの結果が出ました。
2009年のユーキャン新語・流行語大賞に「終活」の言葉がノミネートされてから、すでに10年以上経っています。
いま20代の若者は子供の頃から終活という言葉に慣れ親しんでいるため、40代や50代の中年層よりも、むしろ終活は身近な存在だと言えるのです。
20代から終活するメリット
20代の若いうちから終活を始めた方が良い理由は3つあります。
ここからは、20代から終活を始めるメリットを説明します。
万一に備えられて安心
上記でも申しあげたとおり、人はいつ亡くなるか誰にもわかりません。
若くても突然の病気にかかったり、不幸な事故などで急死する方もいます。
誰しも、家族に見られたくないものを多少は持っているものでしょう。特に20代の若かりし頃には、第三者に見つけられたらそれこそ「死ぬほど恥ずかしい」といった、いわゆる黒歴史のひとつふたつはあるものです。
終活で万が一のときの対策をしておくことで、いざというときに遺品などを適切に処分してもらえる可能性が高まります。
ライフプランを考えるきっかけになる
終活とは、自分の人生と命にあらためて向き合う活動でもあります。
20代は学校を卒業し、社会で働き始める年齢です。親元を離れた方はもちろん、実家で暮らし続ける方でも精神的には親から自立していきます。
終活の中で自分の人生と向き合うことで、これから自分がどう生きていくべきかを検討し、今後のライフプランを考えるきっかけになります。
親に終活の提案がしやすい
20代の多くは、まだ親も40代から50代くらいの年齢です。
上記でご紹介したGulliver AUTOのアンケート結果では、20代や30代よりも40代の方が終活への関心が低かったとの結果も出ており、いま20代の方の親世代は、むしろ終活に対して消極的だと考えられます。
親に対しての終活の提案は、親が亡くなることを期待しているのかとも捉えられる可能性もあり、慎重にことを進めなければいけません。また、終活を勧めても「もっと高齢になってから」と後のばしにされるケースもあり得ます。
まだ20代の自分が終活をはじめることで、親世代に「一緒にやろう」と提案がしやすくなります。
20代の終活ですること
それでは、20代の方がする終活では、どのようなことを主にしていけば良いのでしょうか。
終活ですることは基本的にどの年代でも同じですが、60代や70代の方が終活ですることと、まだ20代の方が終活ですることには、若干の違いがあります。
ここからは20代の終活ですること・優先してやりたいことを説明します。
終活ノートの準備
20代の方にまずやって頂きたい終活は、終活ノート(エンディングノート)の作成です。
学生時代には子供の交友関係をある程度は把握していた両親も、20代以降になると親しい友人や恋人などの存在を親が知らない場合がほとんどです。
葬儀に呼んでもらいたい方の連絡先など、親にぜひ伝えておきたい事項を書き記しておきましょう。
20代の若者が書く終活ノート(エンディングノート)については以下の記事で詳しく解説しています。
また当サイトからは、20代の若者に馴染み深いデジタル版のエンディングノートを安価にダウンロードできます。
終活の一環として「やりたいことリスト」を書いておくと、日々の生活の中で人生においてやっておきたいことが意識でき、充実した日々を送ることができます。
デジタル情報の整理
高齢者に比べて、20代の方はパソコンやスマートフォンがずっと身近な存在です。
SNSや各種のネットサービスへの登録数も多く、パソコンやスマートフォンの中にも多くのデータが保存されています。
自分の死後にデジタル情報が悪用されないためにも、万が一自分がアクセスできなくなったときにどうするかをきちんと指示しておかなければいけません。
断捨離
断捨離とは、自分の身の回りにあるモノを少なくすることで、自らの執着心をなくしていこうとするヨガの一種です。
若いうちから断捨離を身につけ、自分の身の回りをスリム化する習慣を身につけることは、これからの長い人生において決して損にはなりません。
臓器提供の意思表示
国立社会保障・人口問題研究所の調べによれば、2022年に亡くなった日本人の死因で「不慮の事故」の割合は、20歳~24歳が第2位、25歳~29歳では第3位です。
40代以降の方の場合、不慮の事故による死亡はいずれの年代でもトップ3には入りません。つまり20代の若者は中年層・高齢者に比べて事故死の割合が高いと考えられます。
参考
人口統計資料集(2022)国立社会保障・人口問題研究所
悪性新生物(がん)などにより亡くなった方を除き、若くして事故で亡くなった方の遺族は臓器提供を求められるケースがあります。自分が臓器提供を望むか望まないかをあらかじめ明示しておけば、家族が判断に困る心配がありません。
臓器提供の意思は健康保険証や運転免許証、マイナンバーカードなどに記載して意思表示ができます。提供の意思がある方もない方も、自分の希望を書き記しておきましょう。
なお上記の統計では、20代の死亡でもっとも多かった死因は「自殺」です。
自殺は決して許されるものではありません。自殺を最終目的に終活をしようとする方は、どうかここで思いとどまってください。
20代の終活準備に役立つ本・映画
世の中には、終活を題材とした多くの本や映画があります。
まだ20代で終活の必要性についてピンときていない方や、終活に興味があっても具体的にはどう始めれば良いかわからない方には、終活を題材とした本や映画をチェックしてみることをおすすめします。
終活についてより理解が深まり、自身が終活する準備にも役立てられます。
20代が終活する際の注意点
最後に、20代の若者が終活するときには特に気をつけたい注意点を3点挙げました。
20代特有の注意点を頭の片すみで意識しながら終活を始めましょう。
セキュリティを意識すること
終活ノート(エンディングノート)には、銀行口座の番号やSNSのIDなど、重要な個人情報がたくさん書きこまれます。
個人情報が流出しないよう、終活ノートの保管場所には充分に配慮しましょう。またパスワードなどは終活ノートに記載せず、別の紙に書き記しておくなどの対処が必要です。
特にデジタル情報に関しては、うっかり情報が流出するとその後に大きな影響を与えます。常にセキュリティを意識しておきましょう。
契約は慎重に行うこと
終活の手段の中には、葬儀や墓の手配などがあります。
しかし20代の終活では、さすがに葬儀や埋葬場所の決定は気が早すぎます。20代の多くは親が存命しているため、葬儀や墓所についても最終的には親が決定することになるからです。
自分で葬儀会社や墓所と契約しても無意味になる可能性が高いため、契約を伴う終活は慎重に行ってください。
また生命保険の契約についても、結婚や独立などライフステージの変化で必要な保険が変わる可能性があります。契約して安心、ではなく、定期的な契約見直しを行いましょう。
自分ひとりで何もかも決めない
前項での説明のとおり、まだ20代で万が一の事態になったら、延命措置や臓器提供などは親が最終的な判断をくだすケースが多いです。
終活ノートに自分の希望が書いてあっても、それが親の意向に反する場合には希望がはねのけられる可能性があります。
そのため終末期や死後の希望については、あらかじめ親に自分の希望を伝えておくことをおすすめします。
話した時点では親の意向に反する内容だったとしても、どうして自分がそれを希望するのかをきちんと説明することにより、納得してもらえる可能性が高くなります。また親の意向を知ることで、自分自身の希望が本当にそれで良いかを改めて考えるきっかけにもなるでしょう。
20代の終活は自分一人で何もかも取り決めず、親と相談しながらひとつずつ進めておく段階的な終活がベターです。
自分の終活を相談することで、家族全員で終活に取り組めるようになるとベストですね。
まとめ
今回は20代の終活について解説しました。
20代からの終活は、決して早すぎはしません。
万が一に備えてあらかじめ終活をしながら、これからの長い人生を有意義に過ごしていきましょう。