- ケアマネージャーはケアプランを作成する介護の専門職
- 医療・介護・福祉とそれぞれ得意分野がある
- 3つの探し方と、4つの選び方をご紹介
- ポイントを押さえた選び方により良いケアマネに出会える可能性が高まる
ケアマネージャーは、在宅介護中の高齢者および介護を行う家族の頼れるパートナーです。
しかし、よく名前は聞くものの、実際のケアマネさんの働きについてはよくわかっていない人も多いでしょう。
具体的にはケアマネージャーは、いったい何をしてくれるのでしょうか?
また、ケアマネさんに依頼した後は長いお付き合いになることが見込まれます。
家庭の事情もすべて明かす必要があるため、信頼できる良いケアマネさんにお願いしたいですね。
実は良いケアマネージャーの選び方には、ちょっとしたコツがあるんです。
今回は、在宅介護生活を支援するケアマネージャーについてと、良いケアマネージャーの選び方をご説明します。
ケアマネージャーとは何か
ケアマネージャーは、介護保険法により定められた介護の専門職です。
正式名称を「介護支援専門員」といいます。
ケアマネージャーを名乗るには自治体の公的資格が必要なため、誰でもケアマネージャーになれる訳ではありません。
ケアマネージャー資格の取得試験を受けるためにも、以下の経験が必要です。
- 医療分野の国家資格等(医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・歯科衛生士・栄養士・管理栄養士)に基づく業務経験5年以上
- 介護分野の国家資格等(理学療法士・作業療法士・視能訓練士・義肢装具士・言語聴覚士・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師)に基づく業務経験5年以上
- 福祉分野の国家資格等(社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士)に基づく業務経験5年以上
- 生活相談員 ・支援相談員・相談支援専門員・主任相談支援員いずれかの業務経験5年以上
上記どれかの経験があり、試験に合格した人だけがケアマネージャーになれます。
ケアプランを作成してくれる
介護支援専門員(ケアマネージャー)は、何を支援してくれるのでしょうか。
厚生労働省が提供する介護サービスや、各自治体が提供する介護サービスを利用するためには、「ケアプラン(介護サービス計画書)」の作成が必要です。
ケアマネージャーは、そのケアプランを作ってくれます。
ケアプランは利用者自身で作成することも可能ですが、さまざまな介護サービスの全てを把握するのは大変です。
介護保険の支給限度額の範囲内で上手にサービスを組み合わせるには、豊富な知識とマネジメント力が必要になるでしょう。
また、ケアマネージャーはケアプランを作成するだけでなく、役所や介護サービス事業者との調整を図ってくれます。
各所への連絡も行ってくれるため、介護者の時間的・労力的な負担が大きく軽減できます。
ケアマネージャーに依頼できるのはどんな人?
ケアマネージャーに依頼できる人は、介護保険の要介護認定で「要介護1~5」と認定された人だけです。
要支援1~2もしくは自立(非該当)と認定された人は、ケアマネージャーに依頼できません。なお、要支援もしくは自立認定された人には、ケアプランではなく「介護予防ケアプラン」を、地域包括支援センターが窓口となって作成してくれます。
ケアマネージャーに報酬を支払う必要はある?
ケアマネージャーへの報酬は、介護保険から支払われます。
介護保険の被保険者が納付した介護保険料と税金の半分ずつで賄われていますから、介護サービスの利用者がお金を支払う必要はありません。
ケアマネージャーと契約する方法は?
ケアマネージャーは個人として仕事を請け負っているのではなく、一般的には居宅介護支援事業所に所属しています。
そのため、ケアマネージャーとの契約は所属の居宅介護支援事業所との契約となります。
居宅介護支援事業所の企業規模は幅広く、実質ケアマネージャー1名の事業所から、たくさんのケアマネージャーが所属している大規模事業所まであります。
ケアマネージャーの探し方
ケアマネージャーについて理解したところで、いよいよ今度は「良いケアマネージャーの選び方」をお教えしていきましょう。
しかし、選ぶ前にはまずケアマネージャーさんを探さなければなりませんね。
そこで、選び方を指南する前に「ケアマネージャーの探し方」をご説明します。
ケアマネージャーの探し方には、大きく分けて3つの方法があります。
役所の福祉窓口や包括で探す
区役所等の福祉課・高齢者福祉課、もしくは介護保険課などの窓口には、登録済の居宅介護支援事業所のリストが用意されています。
また、地域包括支援センターにも同じリストがあります。
管轄内の居宅介護支援事業所リストから1件ずつ電話して、電話で相談しながら良い事業所を探すのも一案です。
自分自身で対応の良し悪しを確認できるために確実ではありますが、時間がかかり大変な作業です。
かかりつけ医師に紹介してもらう
持病があって通院している人は、その病院やかかりつけ医と連携している事業所を紹介してもらうのがベストです。
通っている病院と日頃やりとりのあるケアマネージャーなら、今後の治療プランとケアプランの連動もしやすいでしょう。
ただし、医療に特化したケアマネージャーを特に求めていない場合は、そのメリットもあまり活かせません。
口コミや専門家のおすすめを聞いてみる
個人的には、この方法が一番おすすめです。
何のかんの言っても、口コミネットワークの力は馬鹿になりません。
パンフレットではわからないリアルな評判が聞けるでしょう。
また、在宅介護等の介護サービス全般に詳しい情報通や専門家の意見も良い方法です。
地域で人気の高いケアマネージャーも知っていることが多いです。
ケアマネージャーの選び方
いくつかの候補をピックアップしたら、今度は絞り込みです。
最適なケアマネージャーを選ぶために、選び方のポイントを4つお伝えしましょう。
以下4つのポイントを面談時にチェックして、納得できるケアマネさんを選んでください。
出身はどの分野か
前述したように、ケアマネージャー試験を受験するには医療・介護・福祉いずれかの分野での業務経験が必要です。
つまり、それぞれのケアマネさんごとに持っている国家資格や、得意分野が違うということですね。
自分の求める内容とケアマネさんの得意分野が合致している方が、適切なケアプランが立てやすいでしょう。
癌や心臓病、糖尿病などの病気を患っている人でしたら、医療分野に特化したケアマネージャーを選ぶことをおすすめします。
また、収入や資産が少ない人の場合は、福祉出身のケアマネさんの方がいろいろと相談しやすいかもしれません。
介護保険の知識があり、納得できるケアプランを立てられるか
ケアマネージャーが介護の知識を持っているのは当然なのですが、正直言って、レベルが低い人も中には見受けられます。
作成するケアプランについてもケアマネさんごとに好みのパターンがありますから、「他の人には良くても自分にはイマイチ…」ということもあるかもしれません。
納得できるケアプランをきちんと提示してくれるかどうか、想定されるプランをあらかじめ確認しましょう。
またプライバシー保護や守秘義務についても、面談時にしっかり説明してくれるケアマネさんは信頼がおけます。
フットワークが軽いか
介護ステージは、いつどんな風に変化して行くかわかりません。
認知症が進行する可能性もありますし、ちょっとした風邪や転倒から、高齢者の健康状態が悪化してしまう可能性は常にあります。
状況の変化にすぐ対応できるように、フットワークの軽いケアマネさんを選びましょう。
電話がつながりやすいかどうかも重要なポイントです。急ぎで連絡しなければならない時でも、すぐ話ができる相手であれば安心ですね。
人柄が良いか
これは、何よりも何よりも重要なポイントです!
長い介護生活の間には、介護者が精神的につらくなる時もあるでしょう。
そんな時でも、親身になって話を聞いてくれる相手がいるだけで心が軽くなるものです。
介護サービスを受ける利用者本人だけでなく、介護をする家族に対しても親切な対応をしてくれるケアマネさんを選びましょう。
ケアマネージャーとの上手な付き合い方
上記の選び方を参考にしながら良いケアマネさんにめぐりあえたときのために、その後の良いお付き合い方法も学んでおきましょう。
大事なのは、ちょうど良いバランス感覚でのお付き合いです。
「言わなくてもわかってくれるはず」では、ケアマネさんには利用者や家族がどんなことを求めているかは伝わりません。
いま困っていることや希望はきちんとお伝えし、ケアマネさんとのコミュニケーションを図りましょう。
また、契約したケアマネさんには、利用者や家族の秘密に属する情報であっても、それが介護に関係してくるものであれば恥ずかしがらずに開示しましょう。
ケアマネージャーには守秘義務がありますから、プライバシーも守ってくれます。
とはいえ、ケアマネさんに頼りきりの状態であっても、これまた問題です。
いつでも電話に出てくれるからと言って、365日24時間休みなく電話し続けては、ケアマネさんの身が持ちません。
「専門家にまかせれば安心」とばかりに、介護に関するすべてを丸投げし、過剰に高い要求をするのは不適切です。
ケアマネさんを無料カウンセラー扱いしたり、果てはお手伝いさん代わりに使おうとしている利用者も見かけますので、注意が必要ですね。
ケアマネージャーを変更したくなったら
上手な選び方をして良い印象のケアマネさんと契約しても、実際に契約してしばらくすると「こんなはずじゃなかった」と思うこともあります。
どうしても今のケアマネージャーと合わないと感じたら、ケアマネ変更をするのも一案です。
所属するケアマネージャーが複数いる居宅介護支援事業所でしたら、事業所に相談して他のケアマネさんに変更してもらいましょう。
また、別の居宅介護支援事業所と契約し直しても良いです。
ケアマネージャーの変更を希望する際には、理由をあいまいにせず、どうして変更したいのか率直にお話するようにしましょう。
具体的な困りごとを伝えることで、問題点が改善される可能性もあります。
まとめ
ケアマネージャーの良し悪しによって、在宅介護のやりさすさは大きく左右されます。
今回ご説明した上手な選び方を活用して、相性の良いケアマネさんと契約しましょう。
自分で判断がつけられない人は、ケアマネ業界に詳しい専門家の助けを借りることも一案です。
冷静な第三者の目線から、具体的なケアマネージャーの選び方も教えてもらえるでしょう。