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相続法改正のポイントをチェック!約40年ぶりの法改正で何が変わった?

本とメガネ

この記事を書いた人
杉田 Sugita
杉田 Sugita
ライター

IT企業に勤務しながら、ライターとしても活躍中。実父の認知症発症と義母の看取り経験から、介護と終活の重要性に気付き、GoldenYears、その他メディアにて啓蒙活動を行い、幅広い読者に終活の知識を提供している。中小企業の経理や社会保険事務全般に習熟しているため、保険や年金などの分野を得意とする。1969年生まれ。 ▼保有資格 認知症サポーター 終活カウンセラー2級

この記事のサマリ
  • 2019年からは相続に関する法律が大きく変わる
  • 時流に合わせた相続法改正により、配偶者や介護者の貢献を評価
  • 相続法改正を実際に役立てるためには専門家のアドバイスも活用

今年2019年から、相続に関する法律が大きく様がわりすることをご存じでしょうか?

民法(相続法)は1980年に定められて以降、これまで大きな見直しはされませんでした。

時代の変化にともない、従来の相続法では対応しきれなくなった事柄を変更すべく、約40年ぶりの大改正が行われたのです!

相続は、いつかは誰でも直面します。もうここから先は、ひとごとだと考えていられません。

新しい相続法を理解して、一歩先行く相続対策をはじめましょう!

相続法はいつ改正されたの?

窓辺のカモミール

「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」(相続法)の改正が成立したのは、2018年7月です。

同時に、「法務局における遺言書の保管等に関する法律」も成立しました。

相続税に関しては2015年にも、課税強化となる税制改正が行われて話題になりましたね。

国税庁|相続税及び贈与税の税制改正のあらまし(平成27年1月1日施行)

今回の相続法改正は、2015年の税制改正を受けて、現代の時流に合う法制度にする目的で行われています。

施行時期はいつから?

一部の相続法改正は、もうはじまっています。

最初に施行された「自筆証書遺言の方式緩和」は2019年1月です。

その後2019年7月には「特別寄与制度」「遺留分制度の見直し」「預貯金の払戻し制度」「特定受益の持ち戻し免除の推定」が制定されました。

今後は2020年4月に「配偶者居住権の創設」、2020年7月に「自筆証書遺言の保管制度の創設」が施行される予定です。

経過措置はあるの?

民法においては、基本的に経過措置は設けられません。

施行日前に発生した相続については旧・相続法が適用され、施行後に発生した相続については新・相続法が適用されます。

改正前に書かれた遺言は有効?

遺言書は、書かれた日付によって適用される相続法が違います。

例えば2019年12月末日に書かれた遺言書だと、以下それぞれの施行時期により、パソコンで一部作成しても良いけれど、法務局に預けることができないのが分かります。

  • 自筆証書遺言の方式緩和:2019年1月施行
  • 自筆証書遺言の保管制度:2020年7月施行

完全に相続法改正が完了するまでは、遺言書作成のタイミングもよく考える必要がありますね。

相続法はどう改正されたの?

パソコンの前でほほえむ女性

それではいよいよ、ここからは相続法がどのように改正されたのか確認していきましょう。

今回は、特に多くの人に関係してくる重要な改正点と、それ以外にも知っておきたい改正点に分けてご説明します。

重要なポイントをチェック!

まずは、必ず押さえておきたい重要なポイントを3つ解説します。

▼配偶者居住権の創設(改正民法1028条)

配偶者が自宅の所有権を失っても、そのまま自宅に住み続けられる制度です。

自宅の価値を「所有権」と「配偶者居住権」に分けることにより、遺産分割時の評価額を下げることができ、配偶者が預貯金等の取り分を増やすことができます。

また、配偶者にはそれ以外にも、遺産分割後6ヶ月間の引越し猶予を定めた「配偶者短期居住権」が認められるようになりました。

▼特別寄与制度の創設(改正民法1050条)

相続人以外の人間でも、介護や看護などの労務を提供した親族であれば「特別寄与料」の請求が認められるようになりました。

これにより、介護を担っていた長男の妻などの貢献が報いられるようになります。

▼特定受益の持ち戻し免除の推定(改正民法903条)

婚姻期間が20年以上の夫婦が配偶者に対して自宅を贈与した場合に限り、自宅の評価額は生前贈与(特定受益)にカウントしなくても良いとする優遇措置です。

これにより、配偶者の相続取り分が多くなります。

その他の改正もチェック!

いろいろな方向の道路標識

上記でご説明した以外にも、2018年の相続法改正では多くの変更点があります。

ここでは概要だけ軽くチェックして、それぞれ自分に必要だと思われる改正があったら、その内容を詳しく調べていきましょう。

預貯金の払戻し制度 遺産分割前でも一部の預金が引き出せるようになった
自筆証書遺言の方式緩和 遺言書が一部パソコンで作成できるようになった
自筆証書遺言の保管制度 遺言書が法務局で保管できるようになった
遺留分制度の見直し 生前贈与の算定期間が10年に定められた
権利取得の対抗要件の見直し 相続財産の登記・登録が必須となった

上記のうち「相続財産の登記・登録が必須」というのは、法律上の罰則があるのではなく、第三者の債権主張に対抗できなくなるという意味です。

これまでは不動産を相続した際に、面倒な名義変更手続きを怠っていた人もいました。ですが、これからは自分を守るためにも、書面上の手続きは必ず行なう必要がありますね。

まとめ

やり手弁護士

今回は、約40年ぶりに行われた相続法の大改正について解説しました。

ざっと概要を読んだだけでは、難しくてなかなか頭には入らないですよね。

この相続法改正を実際の相続に役立てるためには、もっともっと知識を得る必要があります。

自分ひとりで学ぶのが大変だと感じたら、専門家のレクチャーやアドバイスを積極的に利用しましょう。

新しい相続法は、今の時代を生きる私たちに合わせた制度です。しっかり活用して、かしこい相続対策をはじめましょう。


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