【Excel版】エンディングノート(終活ノート)

高齢者の要介護状態を回避するには筋トレが必須|簡単にできる筋トレ4種

ダンベルとタオル

この記事を書いた人
杉田 Sugita
杉田 Sugita
ライター

IT企業に勤務しながら、ライターとしても活躍中。実父の認知症発症と義母の看取り経験から、介護と終活の重要性に気付き、GoldenYears、その他メディアにて啓蒙活動を行い、幅広い読者に終活の知識を提供している。中小企業の経理や社会保険事務全般に習熟しているため、保険や年金などの分野を得意とする。1969年生まれ。 ▼保有資格 認知症サポーター 終活カウンセラー2級

この記事のサマリ
  • 高齢者は運動不足で筋力が衰える
  • 筋トレをすると高齢者にさまざまな健康上の良い効果が生まれる
  • 高齢者は特に下半身の筋トレがおすすめ
  • 無理なく楽しく筋トレをはじめよう

高齢になった方の中には、今さら筋トレなどの運動をしても役に立たないと既にあきらめている方もいます。

しかし、まだあきらめてはいけません。高齢になっても筋力は鍛えられます。

むしろ高齢になってからの方が、筋トレの必要性は増すと言えるのです。

今回は高齢者にとって筋トレが必要な理由を説明しながら、高齢者に特におすすめの筋トレ方法を紹介します。

高齢者の筋力ダウンは運動不足が原因

車椅子に座って外を眺めるシニアの女性

多くの高齢者が「年をとって筋力が衰えた」と実感しているようです。

その原因は、加齢により筋肉量が少なくなったからではありません。人間の肉体を構成する脳細胞や髪の本数などは加齢とともに減少しますが、筋肉を構成する筋繊維の数は減少しません。

高齢になり筋力が衰えたと感じる本当の理由は、ただ単に筋肉を使う機会が減ったからです。

高齢になると運動不足になりやすく、筋肉は使わずにいると筋繊維が細くなってしまうため、筋力が衰えたように感じるのです。

タオルを首にかける男性 高齢者の運動不足は要介護状態の原因に|健康上のリスクと解消方法

逆に考えれば、高齢者でも筋トレなどで筋繊維を太くする努力をしていけば、いくつであっても筋力を取り戻せる可能性があります。

筋トレによる高齢者への健康効果

高齢者にとって筋力の維持は非常に重要です。

筋トレによって筋力をアップさせると、高齢者には以下のような健康に良い効果が生まれます。

転倒しにくくなる

厚生労働省の「国民生活基礎調査(令和元年)」によると、高齢者の介護が必要となった主な原因の13%は「骨折・転倒」との結果が出ています。

高齢者の介護が必要となった主な原因

画像引用:消費者庁|毎日が#転倒予防の日~できることから転倒予防の取り組みを行いましょう~

転倒の主な原因は、つまづきやよろめきによる同一平面上の転倒です。筋力ダウンで足腰が弱っているために、なんでもない床や地面でもつまづきやすくなり、転倒してしまうのです。

筋トレで足腰の筋肉を鍛えることにより、転倒を避けられ、将来的な介護を回避しやすくなります。

ロコモ・フレイルが防げる

転倒しなかったとしても、筋力ダウンは高齢者の健康を阻害する要因となります。

筋力が衰えるとロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)になりやすくなります。
ロコモとは筋力の低下や関節・脊椎の病気、骨粗しょう症などにより運動器の機能が衰えて要介護や寝たきりになる状態です。

また高齢者の体力が衰えて虚弱になった状態をフレイルと呼びます。フレイルは要介護状態の一歩手前とされています。

フレイルの過程

画像引用:東京都医師会|フレイル予防

ロコモもフレイルも、筋トレによって回避しやすくなる健康状態です。要介護状態を少しでも遅らせるためには、筋トレによる筋力アップは必須です。

代謝が高まる

筋トレで筋繊維を太くすると、身体全体の基礎代謝が高まります。

基礎代謝の低い身体は脂肪を溜めこみやすくなるため、生活習慣病などの要因になります。

筋肉をしっかりと太く・強くして基礎代謝を高めれば、生活習慣病が予防できるだけでなく、血管や内臓にも良い影響を与えて健康的な身体になれます。

腰痛・関節痛が出にくくなる

年をとると腰痛や膝痛、股関節痛などの関節痛に悩む方が増えてきます。

リウマチや変形性関節症など加齢による骨の老化が原因の関節痛は避けることが難しいですが、筋トレにより関節回りの筋肉を鍛えれば、骨や軟骨にかかる負担が軽減します。

ただし腰痛や関節痛がある状態での筋トレは危険です。すでに痛みが出ている方は、痛みが治まり、医師に確認してから筋トレを開始してください。

嚥下機能が維持できる

上記までは身体全体の筋トレの効果を紹介してきましたが、高齢者の場合には喉の筋力アップも重要です。

高齢者にとって怖い病気のひとつが誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)です。嚥下(えんげ)機能が低下したために食べ物や飲み物を誤嚥して起きる誤嚥性肺炎は、高齢者に多い死因のひとつです。

高齢者は喉の筋肉も鍛えて嚥下機能を維持しましょう。

誤嚥性肺炎については以下の記事で詳しく解説しています。

箸置きと箸 誤嚥性肺炎を防止する3つのアプローチ|誤嚥の原因となる嚥下障害とは

高齢者の筋トレは下半身強化を中心に

ストレッチする2人の女性

喉の筋肉は例外として、高齢者に特に行って欲しい筋トレは下半身強化の筋トレです。

もちろん全身の筋肉を鍛えた方がより健康にはなれますが、高齢者の転倒防止の観点では、足腰の筋力アップは上半身よりも優先的に行うべきだと考えられます。

また下半身は上半身に比べて、臀筋やハムストリングスなど太い筋肉が多いため効率的に基礎代謝が高められる点もメリットです。

高齢者はまずは下半身の強化を行い、余裕ができたら上半身の筋トレもプラスすることをおすすめします。

高齢者におすすめの筋トレ

ここからは高齢者でもチャレンジしやすく、効率的に下半身の筋肉を強化できるおすすめの筋トレ方法を4つ紹介します。

スクワット

スクワットは太ももやお尻だけでなく、腰回りや背中の筋肉も同時に鍛えられる下半身強化の筋トレの代表格です。

《スクワットの方法》
1.肩幅に足を開く
2.背筋を伸ばしたままゆっくり腰を下ろす
3.お尻が膝の高さまできたら元に戻る

スクワットのやりかた

画像引用:スポーツ庁|自粛生活で「速く歩けなくなった」27.7%~高齢者は家族や地域が支える

ふらつきやすい高齢者は机につかまりながらスクワットするなど、バランスをくずさないように注意しましょう。

ランジ

つかまり立ちをせずストレッチができる方は、さらに足腰が鍛えられるランジにも挑戦してみましょう。

ランジはバランス力が上がり、高齢者の転倒防止に役立ちます。

《ランジの方法》
1.腰に手を当てまっすぐ立つ
2.片足を大きく前に踏み出し腰を落とす
3.元に戻り反対側も同じように行う

ランジのやりかた

画像引用:自主トレばんく|ランジ

カーフレイズ

カーフレイズはふくらはぎが鍛えられる筋トレです。歩行時の蹴る力を高め、高齢者のつまづき防止になります。

《カーフレイズの方法》
1.手すりや壁に手をついて立つ
2.かかとを上げてつま先立ちをする
3.かかとをゆっくりおろして、地面につく寸前で止める

カーフレイズのやりかた

画像引用:みき訪問看護ステーション太鼓判ブログ|介護予防体操⑦踵上げ・カーフレイズ

トゥレイズ

トゥレイズは椅子に座ったままできる、脛の筋肉を鍛えられる筋トレです。

かかとを上げ下げするだけなのでキツくなく、それでいて転倒防止の効果は絶大と、高齢者にとって必須とも言える筋トレのひとつです。

食事をしながら、テレビを観ながら1分ほどトゥレイズを行う習慣を身につけていきましょう。

《トゥレイズの方法》
1.椅子に座って膝を直角にする
2.かかとをつけたままつま先をゆっくり上げ下げする

トゥレイズのやりかた

画像引用:ランニングジョギングスタイル|ランニング力アップに効果的な筋肉はどこをどう鍛える?

筋トレの効果を高めるポイント

pointと書かれた緑のタイル

筋トレは、やみくもにやるだけでは思うように効果が得られず、かえって逆効果になる可能性があります。

これから筋トレを始める高齢者は、以下3つのポイントを理解しておきましょう。

週2~3回を目安に行う

筋トレは筋繊維に負荷をかけて、ダメージを与える行為です。

ダメージを受けた筋繊維は回復するときに、再び同じ負荷がかかっても大丈夫なように強い筋肉に作り替えられます。この現象を超回復と言います。

筋トレを毎日すると、ダメージを受けた筋繊維が作り替えられるまでの時間が足りないため、いつまでたっても強い筋肉が作られないままとなります。

筋トレは週2~3回を目安とし、筋肉が再び作られるまでの時間をとってあげましょう。

タンパク質を積極的に摂る

筋トレでダメージを受けた筋肉を再び作るためには、筋肉の元となる材料が必要です。

筋肉は主にタンパク質によって作られます。筋トレの後は肉や魚、大豆製品などのタンパク質を積極的に摂取しましょう。

なお筋トレ後の身体にタンパク質を補給しないと、身体を維持するためのエネルギー源として筋肉が使われてしまうため、いくら筋トレをしてもかえって筋肉量が減ってしまうので注意してください。

しっかり休む

筋トレをした後の超回復には、タンパク質の摂取とともに休息も必要な要素です。

身体をしっかり休ませないと、筋肉の修復と合成がスムーズにできなくなります。筋トレと休息はセットとして考えてください。

まとめ

河原のランニングをする高齢者男性

今回は高齢者の筋トレについて解説しました。

高齢者の筋トレは、無理なく楽しく続けることが長続きのコツです。

毎日のちょっとしたスキマ時間を使って、楽しみながら筋力アップをはかりましょう。


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