- シニアは新型コロナウイルス感染症の要リスク対象者(若年層でも注意が必要)
- 新型コロナウイルス感染症対策には正しい手洗いと正しい情報収集が不可欠
- シニア層は新型コロナウィルスだけでなくフレイルにも注意が必要
今、世界中で猛威を奮っている新型コロナウイルス感染症については、年齢や性別・立場に関係なく全ての人が関心を寄せています。
インターネット上でもたくさんの情報が飛び交っていますが、中には不確実な情報や世間を騒がせるためのデマ情報も存在しています。「正しく怖がる」ためには、正確かつ最新の情報を得なければいけません。
また、シニア層は若年層とは違い、シニアならではの気を付けるべきポイントがあります。
今回は、新型コロナウイルス感染症について、2020年4月現在でシニアが知っておくべき情報をご紹介します。
新型コロナウイルス感染症とは
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、動物由来の新型コロナウイルスSARS-CoV-2を原因とする感染症です。SARS-CoV-2が何の動物を宿主としたウイルスなのかは、2020年4月時点ではまだ判明していません。
もともとコロナウィルスは風邪ウイルスの1種で、感冒(風邪)の原因10~15%を占める一般的な病原体として知られていました。(参考:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版より)
SARS-CoV-2は、気管支だけでなく肺の中でも増殖する特徴があるため、SARSや MERSのように肺炎を引き起こしやすく、人により重症化する可能性があるため問題視されています。
画像引用:厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部|新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第1版
シニアは若年層よりも感染時の危険性が高い?
新型コロナウイルス感染症は、高齢者や以下のような基礎疾患がある人の場合には重症化するリスクが高いと考えられています。
- 糖尿病
- 心不全
- 慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器疾患
その他、透析療法を受けている人や、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている人も高リスク対象者です。
しかし、2020/4/1の英BBC放送でイギリス・ロンドンの基礎疾患がない少年(13歳)の死亡が報道されるなど、健康かつ若年齢な人でも重症化・死亡に至るケースも見られます。
シニアはもちろんのこと、全ての人が新型コロナウイルス感染症には十分に気をつけて予防していかなければいけません。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化因子
日本禁煙学会の2020年2月時点の報告によれば、SARS-CoV-2に感染した場合に重症化する可能性がある人は、以下の要因がある人とされていました。
- 男性
- 高齢(60歳以上)
- 喫煙 (現喫煙者並びに過去重喫煙者)
- ぜんそく、COPD
- 糖尿病
上記1、2については、中国・武漢で新型コロナウイルス感染症を発症した患者の罹患状況に基づいた推測です。
しかし、前述のとおり、若年層や女性でも新型コロナウイルス感染症で重症化し命を落としている人も存在していますので、この推測が本当に正しいのかは2020年4月時点では何とも言えません。
シニアの新型コロナウイルス感染症対策
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止や感染予防は、シニアだけでなく全ての年代層が取り組むべき対策です。
新型コロナウイルス感染症の原因ウィルスSARS-CoV-2は風邪の原因ウイルスの仲間ですので、風邪やインフルエンザの予防策がそのまま当てはまります。
厚生労働省が新型コロナウイルス感染症の集団感染を防ぐためにできることとして、以下の3つを挙げています。
- 手指の洗浄や消毒
- 十分な睡眠
- 3密(密閉空間・密集場所・密接場所)の回避
参考:厚生労働省|新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
正しい手洗いの方法
上記の対策の中でも、手指の洗浄はほとんどの人が行っている基本的な予防策ですが、実際には正しい手洗いができていない人も多いです。
以下の正しい手洗い方法を参考にして、ドアノブや電車のつり革などに触った後にはしっかりとウイルスを洗い落とすようにしましょう。
画像引用:首相官邸|新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~
正しい情報収集
インターネット上では「新型コロナに効く」と謳ってサプリメントを販売したり、民間療法を紹介しているページも存在します。しかしそれらは全て、効果が実証されていない不確実な情報です。
一方,免疫力増強をうたうサプリメントや様々な民間療法,デトックス,子宮温熱,ホメオパシーやアロマセラピー,血液クレンジング,プラセンタ,ビタミン剤大量点滴等には新型コロナウイルス感染症の治療および予防に何の効果もありません. 従って,三学会ではこれらを推奨しません。
新型コロナウイルス感染症に関しては、政府や公共団体からも多くの情報が発信されています。不確実な情報で混乱しないように、公的なページから正しい情報を得るようにしましょう。
自治体の新型コロナウイルス関連ページ
日本国内でも新型コロナウイルス感染症の発生状況には地域差がありますから、自分が住んでいる地域の情報を得ることも大切です。
各自治体のホームページから新型コロナウイルス感染症の関連ページを探し、地域独自の情報も確認しましょう。
新型コロナウイルスの感染が疑われたら
感染症予防に留意していても、万が一感染が疑われた場合にはどうしたら良いのでしょうか。
新型コロナウイルス感染症の症状は風邪やインフルエンザの症状と似ていますから、咳や発熱などの症状がでたときに、自分がかかっているのが風邪やインフルエンザなのか、それとも新型コロナウイルス感染症なのかが判別できず不安になってしまうでしょう。
厚生労働省では、新型コロナウイルスの感染が疑われた際に、まず取るべき行動を案内しています。
自宅で安静にする
咳や発熱などの風邪症状がある人は、仕事を休むなどして外出を控え、自宅で安静にしましょう。外出を控えるのは身体が回復するためにも有効ですが、感染拡大の防止にも繋がります。
やむを得ず外出する際には、マスクを着用するなどして、咳エチケットを心がけましょう。
専門機関に相談する
自宅で安静にしていても病状が回復しない、またはシニア等の高リスク対象者は状況に応じて適切な専門機関に相談する必要もあります。
全国の自治体で新型コロナウイルス感染症の相談窓口を設けていますので、感染したかもと不安に思う人は電話で相談しましょう。
電話で相談した結果、新型コロナウイルス感染の疑いがあると判断された場合には紹介された医療機関の「帰国者・接触者外来」で診察を受けます。
また、相談の内容によっては以下東京都の例のように対応窓口が変わる場合もあります。
画像引用:東京都福祉保健局|新型コロナウイルス感染症にかかる相談窓口について
全国の帰国者・接触者相談センターは以下のページで確認できますので、何か少しでも不安なことがある人は相談してみてもいいかもしれません。
参考
新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター厚生労働省
シニアは新型コロナウイルス感染症だけでなくフレイルも注意
フレイルとは「虚弱」を意味する言葉で、2014年に日本老年医学会が提唱した概念では健康な状態から要介護へ移行する中間の段階を指します。
新型コロナウイルスを恐れるあまり、自宅に引きこもってしまうと、フレイルが進んでしまう危険性があります。
フレイルは身体機能が低下するだけでなく、認知機能の低下にも影響してきますので、シニア層は新型コロナウイルス感染症だけでなく、フレイルにも注意しましょう。
参考
「新型コロナウイルス感染症」 高齢者として気をつけたいポイント日本老年医学会
まとめ
今回は、新型コロナウイルス感染症の関連情報について説明しました。
新型コロナウイルス感染症が終息するまで、予防や感染拡大防止に努めるのは全年齢に共通する話ですが、特にシニア層は重症化しないために注意が必要です。
また、新型コロナウイルス感染症にかからなくてもフレイルで健康を害してしまう人も増えてくるでしょう。
新型コロナウイルス感染症について正しい知識を収集しながら、心身ともに健康な状態を長く保てるようにひとりひとりが努力しましょう。