- 昨今高齢者の死について深く考えられる映画が増えている
- 終活に役立つおすすめ映画を紹介
- 楽しく映画観賞しながら終活について考えよう
超高齢社会が深刻化する日本。
2022年6月には高齢者の死期を題材にした衝撃作「PLAN75」が各地の映画館で上映されるなど、これからの超高齢社会や終活について考えさせられる映画が増えています。
自分だけでなく、親世代にも終活をしてほしいと考える方は多いと思いますが、なかなか切り出すのは難しい話題ですよね。
そんな時に終活を考えさせられる映画を家族で一緒に見ることは効果的です。
そこで今回は終活に役立つ映画として、過去に上映された邦画・洋画をご紹介します。
終活におすすめの映画:邦画編
映画でさまざまな死生観に触れることは、自分や家族の終活をどう進めていくべきかじっくり考えるきっかけにもなります。
終活に関連するテーマを扱ったおすすめの日本映画(邦画)を7作品ご紹介します。
PLAN75
「PLAN75」は2022年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品し、2022年6月に公開された日本映画です。
75歳以上が自らの生死を選択できる「プラン75」の制度が施行された日本で、75歳以上の高齢者がどう選択するか、若い世代はどう受け止めるかを描いた作品です。
もちろん「プラン75」は実際には存在しない制度ですが、超高齢化社会の現代において「人は人生の終焉をどう定めるべきか」を観る人に問いかけています。
監督:早川千絵
出演:倍賞千恵子・磯村勇斗ほか
公式サイト:https://happinet-phantom.com/plan75/
山中静夫氏の尊厳死
「山中静夫氏の尊厳死」は2019年に公開された日本映画ですが、再上映を求める声が高く2022年より再公開されていました。尊厳死を医師に要望する末期癌の高齢男性と、尊厳死を求められた医師のストーリーです。
本作品は尊厳死の是非を問うだけでなく、最期まで生き抜くことの意味を問いかけています。
第30回日本映画批評家大賞において、主演の中村梅雀さん・津田寛治さんが2名とも主演男優賞をダブル受賞しています。
監督:村橋明郎
出演:中村梅雀・津田寛治ほか
公式サイト:https://songenshi-movie.com/
原作本はアマゾンで購入できます。
お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方
「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」は2011年に公開されたコメディ映画です。
終活をはじめたい妻と「縁起でもない」と嫌がる夫を中心に、笑いながら終活と熟年夫婦のありかたについて考えられる作品となっています。
監督:香月秀之
出演:水野勝・剛力彩芽・ほか
公式サイト:https://oshu-katsu.com/
DVD:「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」
エンディングノート
「エンディングノート」は2011年に公開された、監督自身の父親がステージ4の胃がんを宣告されてから亡くなるまでを克明に記録したドキュメンタリー映画です。
終末期を扱う内容にも関わらず悲壮感はあまりなく、エンディングノート作りを「自らの死の段取り」と前向きに取り組む主人公の姿や、そばで温かく見守る家族の姿にすがすがしさが感じられます。
監督:砂田麻美
出演:砂田知昭ほか
公式サイト:https://www.bitters.co.jp/endingnote/about/index.html
DVD:「エンディングノート」
主人公の砂田知昭さんが映画内で作成していたエンディングノートを自分でも作成してみたい人は、当サイトでもExcel版エンディングノートを配布していますので是非ご利用ください。
長いお別れ
「長いお別れ」は2019年に公開された作品です。認知症になった父親とその家族が温かく描かれています。
原作小説「長いお別れ」は作者 中島京子が認知症の父親と暮らした実体験をもとにつづられ、第10回中央公論文芸賞および第5回日本医療小説大賞を受賞しています。
監督:中野量太
出演:蒼井優・竹内結子・松原智恵子・山﨑努ほか
DVD:「長いお別れ」
最高の人生の見つけ方(日本版)
「最高の人生の見つけ方」はもともと2009年に公開されたハリウッド映画です。
その舞台を日本に置き換え、主人公を女性に変更した「最高の人生の見つけ方(日本版)」が2019年に日本で上映されていました。
余命宣告を受けた女性2人が「死ぬ前にやりたいことリスト」を叶えるために旅に出るヒューマンストーリーです。
「死ぬ前にやりたいことリスト」の実行により、主人公2人の運命だけでなく周囲の人の運命まで好転させていきます。
監督:犬童一心
出演:吉永小百合・天海祐希ほか
公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/saikonojinsei/index.html
DVD:「最高の人生の見つけ方(日本版)」
人生を悔いなく生きるための「やりたいことリスト」に興味を持った人は以下の記事もあわせてお読みください。
四十九日のレシピ
「四十九日のレシピ」は2013年に公開された日本映画です。
71歳で生涯を終えた女性が残した「暮らしのレシピ」を元に、残された家族や周囲の人が49日間かけて自分の人生を立て直していくストーリーです。
監督のタナダユキさんは本作品で第23回中国金鶏百花映画祭の国際映画部門監督賞を受賞しています。
監督:タナダユキ
出演:永作博美・石橋蓮司ほか
DVD:「四十九日のレシピ」
映画では「暮らしのレシピ」と名付けられていた、自分の大切なものを探っていく作業では「死の体験旅行」もおすすめです。詳しくは以下の記事をご覧ください。
終活におすすめの映画:洋画編
大作ハリウッド映画などはテレビCMなどで大々的に宣伝されていますが、比較的低予算の小品やヨーロッパ映画などはあまり目に触れる機会がありません。
終活に関連するテーマを扱ったおすすめの外国映画(洋画)を5作品ご紹介します。
ロング,ロングバケーション
「ロング,ロングバケーション」は2017年のイタリア・フランス共同制作の全編英語作品です。
アルツハイマーの夫と末期癌の妻が死ぬ前に、夫が愛してやまない作家ヘミングウェイの自宅があるフロリダへと古いキャンピングカーで旅立つロードムービーです。
熟年夫婦の旅をコメディタッチで描きながら、ラストシーンでは高齢者の終焉の迎え方について深く考えさせられます。
監督:パオロ・ヴィルズィ
出演:ヘレン・ミレン、ドナルド・サザーランドほか
ロング,ロングバケーション [DVD]
映画では高齢者が楽しいドライブをしていますが、高齢になったら免許返納も考え始めたいところです。
免許返納手続きについては以下の記事をご覧ください。
ハッピーエンドの選び方
「ハッピーエンドの選び方」は2016年に公開されたイスラエル・ドイツ共同制作作品です。
イスラエルを舞台に、発明家の主人公が友人から頼まれて発明した「セルフ安楽死マシーン」が世間に思わぬ評判を呼ぶ騒動をコミカルに、そして重く描いています。
外国では尊厳死や安楽死についてどう捉えられているのかを知る手がかりにもなります。
監督:シャロン・マイモン
出演:ゼーブ・リバシュ、レバーナ・フィンケルシュタインヘレンほか
DVD:「ハッピーエンドの選び方」
あなたの旅立ち、綴ります
ニューエイジの旗手としても注目されたシャーリー・マクレーンが主演をつとめる「あなたの旅立ち、綴ります」は、ビジネスで成功し悠々自適の老後を過ごす主人公が終活の一環として「最高の訃報記事」を生前に作成しようとするストーリーです。
2016年にアメリカで制作されました。
この映画は、終活の実践によって人はこれまでの人生を振り返り、残りの人生をより良くしていこうと考えられるものだと気づかせてくれます。
監督:マーク・ぺリントン
出演:シャーリー・マクレーン、アマンダ・セイフライドほか
Blu-ray:「あなたの旅立ち、綴ります」
しわ
「しわ」は2012年にスペインで制作されたアニメーション映画です。
日本では三鷹の森ジブリ美術館ライブラリーの提供により2014年に劇場公開されました。
認知症になり介護施設で暮らす主人公たちの生活や、自らの認知症の進行におびえる姿などの重いテーマをアニメーションならではの手法で軽やかに描いています。
認知症が決して他人ごとではなくなった現代において、認知症の人がどう生きるか、どう死ぬかを考えさせられる映画です。
監督:イグナシオ・フェレーラス
DVD:「しわ」
しあわせな人生の選択
「しあわせな人生の選択」は2015年公開のスペイン映画です。
公開時にはスペインのアカデミー賞と呼ばれるゴヤ賞を5部門獲得しました。
終末期の男性が友人と一緒に愛犬の譲渡先を探したり、長年会っていなかった息子に会いに行くなど、悔いのない最期を迎えるために行動する4日間が描かれています。
“死に方”を考える終活をとおして“生き方”も良くできると教えてくれる映画です。
監督:セスク・ゲイ
出演:リカルド・ダリン、ハビエル・カマラほか
公式サイト:http://www.finefilms.co.jp/shiawase/
DVD:「しあわせな人生の選択」
まとめ
今回は終活や高齢者の生と死をテーマにした映画を計12作品ご紹介しました。
映画は誰もが楽しめる娯楽のひとつです。
さらに良質な映画は、ただ楽しむだけでなく私たちに「気づき」を与えてもくれます。
引き続き感染予防に気をつけながら、ぜひ映画館に足を運んでみてはいかがでしょうか。