- 永代供養の読み方は「えいたいくよう」
- 永久ではなく半永久的。33回忌で弔い上げをする寺院が多い
- 永代供養墓のタイプは個別安置型・合祀型・集合型・納骨堂型
- 墓を管理する寺院や霊園の経営状態も確認が必須
お墓に対する意識の多様化が進んだことから、近年では従来型のお墓ではなく「永代供養墓」を選択する人が増えています。
今のところはまだ少数派ではあるものの、今後ますます増えて行く可能性が考えられるでしょう。
しかし、永代供養の費用はいくらなのか、メリット・デメリットは何かなど、永代供養に関しては疑問だらけですよね。
そこで今回は、永代供養について余すところなく解説します。
永代供養って何のこと?
永代供養の読み方は「えいたいくよう」です。「えいだいくよう」とは読みません。
そもそも「永代」の意味は何でしょうか?国語辞典で意味を調べてみました。
【永代(えいたい)】
① 長い年月。永久。とこしえ。② 「永代供養(くよう)」「永代経」の略。三省堂「大辞林」より引用
となると、
永代供養は “永久の供養”
と考えても良さそうですが、実は、そうではないのです。
永代供養とは
永代供養とは、寺院や霊園の管理者が遺族の代わりに故人の年忌供養を行ってくれるものです。
墓を子孫に引き継ぐ必要がないため、子どもがいない世帯でも将来的に無縁仏になる心配はありません。
ただし、ここで注意しておくべきなのは、永代の意味です。
「永代」と聞くと、つい永久に供養してくれるような気がしますが、永代供養には一定の期間が設けられています。
多くの寺院では33回忌などをひとつの区切りとして、その後は年忌供養を満了する「弔い上げ」をします。
故人を永遠に供養してくれる訳ではありませんので、勘違いしないように注意しましょう。
似ている言葉をチェック!永代使用料・永代使用権との違い
「永代供養」と似た言葉に「永代使用権(または永代使用料)」がありますが、これらは全く違う意味の言葉です。
「永代使用権」とは、従来型の個人墓を購入した際に得られる権利です。
年間の管理費や使用料を支払っている限り、使用権は継続されます。
お墓を購入しても、その土地の所有者は別の人間なので、あくまでも使用の権利・料金という意味で用いられています。
今、永代供養が選ばれている理由
永代供養を選ぶ人が増えているのには、さまざまな理由があります。
一番よく言われている理由は、自分の死後のあとしまつに関する心配です。
自分が死んだ後で墓を守ってくれる子孫がいない、また、子どもに墓じまいの面倒をかけたくないと考えている人が多いのです。
日本の少子化や非婚化が進み、先祖代々のお墓を維持するのが難しくなってきている現状から、永代供養を選ぶ人はこれからますます増加する傾向にあります。
永代供養のタイプ
永代供養ができるお墓のことを「永代供養墓」と言います。
しかし、一口に永代供養墓と言っても、いろいろな種類があります。
お墓のタイプによって費用も大きく変わりますから、まずは永代供養墓のタイプについて確認しましょう。
個別安置型(単独)
従来型の個人墓と同じように、墓石を建立するのが個別安置型タイプです。
墓石の下のカロート部分(骨壷を収めるための空間)に骨壷を収蔵します。
このタイプで永代供養を希望した場合には、一定期間が過ぎたら墓じまいを行い、骨壷は共同墓に移されます。
合祀型(共同)
永代供養墓と呼ばれるもので、もっとも多いのはこのタイプの合祀型です。
合葬墓・合同墓とも呼ばれています。
寺院や霊園に大きな合祀墓を建て、その中に不特定多数の遺骨を収蔵します。
合祀墓の形状はさまざまです。いわゆる墓石の形ではなく、仏塔や仏像などのモニュメントを建てているところもあります。
墓石の代わりに樹木を植える「樹木葬」も、この合祀型の一種です。
集合型
集合型は、上記の個別安置型と合祀型を合体させたような形態の永代供養墓です。
墓石代わりのモニュメントは1つですが、その内部(もしくは下)にある納骨室は、ひとりひとりに分かれています。
33回忌などの一定期間満了後は、骨壷を共用部分に移動して合祀型と同じ扱いになります。
納骨堂型
都市部を中心に最近増えてきているのがこのタイプです。
建物全体が大きな納骨室になっていて、たくさんの人の遺骨を個別に収蔵します。
建物内に作られている個別安置型の永代供養墓、と考えても良いでしょう。
形式はロッカー型・仏壇型・機械型(自動搬送型)などがあり、機械型はお参りする人が専用のIDカードをかざすと、骨壷がお参りスペースまで運ばれてきます。
永代供養にかかる費用
それぞれのお墓のタイプを理解したところで、次には各タイプの費用がいくらくらいなのか確認しましょう。
公営と民間、寺院や霊園の規模、それから立地にもよって相場が異なりますので、今回は目安の金額をお伝えします。
各タイプの費用(目安)
先ほどご紹介した永代供養墓のタイプによっては、ひとり用だけでなく夫婦用、家族用などを選択できる場合があります。
今回はわかりやすいように、1名単独での目安金額を比較しました。
個別安置型 | 60万円~200万円 |
合祀型 | 10万円~30万円 |
集合型 | 20万円~50万円 |
納骨堂型 | 30万円~100万円 |
上記の中では個別安置型が一番高いですが、それでも従来の個人墓を建立するよりは費用が抑えられます。
どうして価格が安いの?
永代供養墓が従来の個人墓より費用が安くすむ理由のひとつは、墓所代および墓石代です。
お墓を購入して墓石を建てると、小さめのサイズでも合計100万円以上はかかるのが一般的です。
上記の合祀型と比較すると、なんと10倍!
個人安置型や納骨堂型のタイプでも、トータルコストで考えれば安価です。
それは、年忌供養やお供え物の費用がいっさいかからないため。
通常であれば1周忌や3回忌など、節目ごとに法要を行う必要がありますが、永代供養ではそれらの供養が一切不要です。
1回の法要ごとのお布施が3万円だとすると、一般的に行われる1周忌から33回忌までの法要のお布施は、8回分で合計24万円にもなります。
もちろんお布施だけでなく、法要やお彼岸にはそれ以外にもお供え物や会食代などの諸費用が発生しますよね。
永代供養ならこれらの費用がかからないので、トータルで安価になるのです。
永代供養のメリットデメリット
永代供養を選択すると費用がかからない点はひとつのメリットですが、それ以外にはメリットがあるのでしょうか?
また、デメリットは存在しないのでしょうか?
良い点も悪い点もしっかり確認しけば、後悔しないお墓の選択ができます。
ここからは、費用面以外で考えられる永代供養のメリットとデメリットを確認しましょう。
メリット
まずは永代供養のメリットからご説明します。
無縁仏にならなくてすむ
お墓の跡継ぎがいないと、自分が死んだ後にはお墓を管理する人がいなくなってしまいます。
永代供養であれば管理と供養は寺院や霊園が行ってくれるので、将来的に無縁仏にならずにすみます。
宗派を問われない
永代供養を行っている寺院や霊園では、申込者の宗派は問われないところがほとんどです。
お墓に入った後の供養は、そこの寺院等の宗派により執り行われます。
デメリット
今度は、永代供養のデメリットについてもご説明します。
お墓参りのやり方が違う
『○○家先祖代々之墓』と彫ってある従来型の墓地になじんでいる人の場合、合祀型のモニュメントをおがむのはやりづらいという人もいます。
誰をおがんでいるのか分からないと感じてしまうようです。
親族の反対にあう可能性がある
家族の間で意見が一致しても、まわりの親族の中には永代供養に否定的な考えを持つ人もいます。
根気よく丁寧に説明し、理解を得られるように努力する必要があるでしょう。
永代供養に関するFAQ
ここまで永代供養についていろいろご説明しましたが、概要を理解してくるにつれて、今度は細かい点が気になってきますよね。
永代供養でよく聞かれる質問をまとめました。
お引越し(改葬)はできる?
従来型のお墓に収蔵されている遺骨を永代供養墓にお引っ越し(改葬)することは可能です。改葬許可証を自治体に提出する必要がありますので、今のお墓を管理している寺院・霊園に申し出てください。永代供養墓に納骨した遺骨は、基本的には改葬できません。
法事は可能?
永代供養墓に入れた遺骨の年忌供養は、永代供養墓を管理している寺や霊園が行ってくれます。個人的に法事・法要を手配する必要はありません。遺族が個別に年忌供養をしたいならば、もちろん法事・法要を別途行ってもかまいません。
お布施は支払うべき?
個別の年忌供養をお願いした場合には、読経した僧侶に対してお布施をお支払いする必要があります。個々の法事・法要ではなく、永代供養墓全体の合同供養をして頂いている場合は、供養の費用も支払い済のため不要です。
永代供養を選ぶ際の注意点
永代供養はさまざまな形式があり、多くの寺院等も永代供養をはじめています。
選びたい放題であるからこそ、永代供養墓選びには注意が必要です。
経営が苦しく、新規客を獲得する目的で永代供養サービスに手を出しているような寺院や霊園もあり、そういったところは管理や供養もきちんとしていない可能性があります。
不特定多数の遺骨をまとめて放り込んでおしまい、と言うのでは困りますよね。
さらに経営が悪化した場合には、お寺が倒産する事態にもなりかねません。
民事再生等で継続できるか、墓地経営を引き継ぐ先があれば良いですが、そうでないと永代供養墓に入っている人が丸ごと無縁仏になってしまうのです。
これから半永久的にお世話になる永代供養墓ですから、価格やイメージだけで選ぶのではなく、将来的な安定性も考えながら選ぶ必要があります。
まとめ
今回は、時代に合った新しい供養の形「永代供養」についてご説明しました。
多くの人が注目し、選択する人が増えている永代供養ですが、全体から見ればまだ少数派です。
従来型のお墓に比べて情報も少なく、自分に最適な永代供養の形式は何かを判断できない人も多いでしょう。
永代供養墓選びを間違えて後悔しないように、詳しい人や専門家のアドバイスも受けながら充分な検討を重ねることをおすすめします。
自分が死んだ後でも長くお世話になる場所ですから、安心して眠れるところを選びたいですね。