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手元供養が選ばれる3つの理由とは?大切な遺骨を預ける業者選びのポイント

骨壷

この記事を書いた人
杉田 Sugita
杉田 Sugita
ライター

IT企業に勤務しながら、ライターとしても活躍中。実父の認知症発症と義母の看取り経験から、介護と終活の重要性に気付き、GoldenYears、その他メディアにて啓蒙活動を行い、幅広い読者に終活の知識を提供している。中小企業の経理や社会保険事務全般に習熟しているため、保険や年金などの分野を得意とする。1969年生まれ。 ▼保有資格 認知症サポーター 終活カウンセラー2級

この記事のサマリ
  • 故人の遺骨を自宅等に保管する新しい供養スタイルが手元供養
  • 死生観・宗教観の変化に加え遺族のグリーフケアにもなる
  • 加工型と納骨型でさまざまなタイプが選べる
  • 手元供養品を用意する業者選びは口コミ等を参考にしながら慎重に

現在の日本では、故人の遺骨を火葬した後はお墓に納骨するのが一般的です。

しかし遺された遺族の身としては、たとえ死んで骨になっても、何らかの形で故人を身近に感じていたいと願うのが心情でしょう。

そのような人たちには、手元供養という形式で故人を偲ぶ方法をおすすめします。

今回は、新しい供養の形として注目されている手元供養のご紹介をしましょう。

手元供養とは何か

喪服で祈る女性

手元供養は、別名「自宅供養」とも呼ばれています。

その名のとおり、故人の遺骨や遺灰、髪の毛などを“自宅”“手元”に保管し、いつでも遺族が“供養”できるようにするための供養方法です。

中にはアクセサリーやキーボルダー型の遺骨供養品もありますので、必ずしも自宅に置いておかなければならない訳ではありません。

しきたりや宗教にとらわれない新しい供養形式として、手元供養を選択する人が増えています。

日本では2006年にNPO法人手元供養協会が発足し、手元供養の社会的認知と普及のための啓蒙活動を行っています。

参考 手元供養協会について手元供養協会

手元供養が選ばれる理由

カップに指した花

お墓のスタイルが多様化するにつれ、手元供養を行う人の割合も増加傾向にあります。

上記でご紹介したNPO法人手元供養協会の調査によれば、いまや年間3万人を超える人が手元供養を行っているそうです。

どうして手元供養を行う人は、こんなにも増えたのでしょうか?

それには、以下3つの理由が考えられます。

死生観の変化

死生観の変化は、言い換えれば日本人の宗教観の変化とも言えます。

現代では菩提寺と密接な関係を保っている家庭も少なくなり、お坊さんの読経を聞くのはお葬式だけ、という人も珍しくありません。

また、地獄・極楽、成仏や輪廻転生など、死後の世界に対する考え方も変わってきました。

「死んだら無になる」と考えている現代人も多く、そのような人は宗教的な供養を不必要だとも感じています。

それよりも、純粋に故人を偲ぶために自分ができることをしたい、と考えている人が、手元供養をひとつの選択肢としているのです。

社会情勢の変化

かつては世間体を考えて、遺骨を従来どおりのお墓に入れざるを得なかった人もいました。

しかし最近では供養に対する世間の考え方も柔軟になり、必ずしもお墓への納骨をしなければならない訳ではありません。

また、平成から続く長年の景気悪化で、お墓の建立が経済的に難しくなっている事情も伺えます。

少子高齢化によりお墓の継承者がいない世帯が多い点も、手元供養が選ばれている一因でしょう。

さらには都市部を中心とする墓所不足など、さまざまな社会情勢により手元供養への注目が高まっています。

遺族の精神的ダメージの軽減

手元供養を選ぶ理由が上記の2つだけなら、何も手元供養を選ぶ必要はないかもしれません。

散骨などの方法を取れば、お墓の心配はしなくてもすみます。

しかし手元供養には上記以外にも、遺族の悲しみを多少は軽くできるという利点があります。

親や配偶者、あるいは子どもの死去による精神的なダメージが大きすぎてウツや適応障害などの心の病気にかかる人もいらっしゃいます。

手元供養によって少しでも遺族が安らぎを得られるとしたら、亡くなった家族も嬉しく感じることでしょう。

手元供養の種類

光るダイヤモンド

ひとくちに手元供養といっても、その種類はいろいろあります。

大きく分けて、手元供養の種類は「加工型」「納骨型」に分かれます。

  • 加工型:遺骨を別の素材・形に加工する方法
  • 納骨型:遺骨や遺灰を容器に入れて保管する方法

それぞれの具体的な方法について、詳しく見ていきましょう。

加工型

加工型では遺骨をパウダー状に粉骨してから、セラミックスとして焼き上げたり、高温融解して人口宝石に加工します。

ファインセラミックスは名前やメッセージを彫ったエターナルプレートにしたり、ペンダントなどのアクセサリーにする場合が多いです。

また、人口宝石の中でも最もよく知られているのは、遺骨から作られる人造ダイヤモンドです。

ダイヤモンドは炭素でできているので、遺骨に含まれる炭素を使ってダイヤモンドが製作できるのです。

遺骨ダイヤモンドは原石の状態のままにするか、研磨やカットをしてジュエリーに用いることも可能です。

納骨型

納骨型は、骨壷をそのまま小さくした形や、オブジェ・置物の形のミニ骨壷が代表的です。

位牌やフォトスタンドの中が空洞になっていて、中に遺骨を納められるタイプの商品もあります。

ペンダントやブローチの中に遺骨を入れられるカロートジュエリー・アッシュジュエリーなども、納骨型手元供養の一種です。

ぬいぐるみや人形をかたどったミニ骨壷は、お子さんがお亡くなりになったご家庭や、人間だけでなくペットを亡くしたご家庭にもよく選ばれています。

手元供養で遺骨が残った場合

手元供養は、他の方法と併用して行うことができます。

分骨をして、一部だけを手元供養のために残し、残りは従来型のお墓に収めるか、もしくは散骨しても良いのです。

なお、手元供養用に取っておいた遺骨を改めてお墓に納骨したい場合は、その遺骨が分骨した同一人物の骨だと証明する書類が必要です。

火葬場でもらえる「火葬証明書」または納骨した寺院や霊園でもらえる「分骨証明書」は、後々に必要となる可能性がありますので、必ずもらっておきましょう。

手元供養にかかる費用

財布と電卓

費用に関しては、上記でご紹介した手元供養の種類にもよって大きく異なりますので、一概にいくらとは言えません。

種類によるおおまかな傾向としては、加工型よりも納骨型の方が、平均価格は安価となります。

一番高額になる手元供養は、遺骨をダイヤモンドに加工する方法でしょう。

業者にもよりますが、0.5Ct程度のカットダイヤモンドに加工した場合の相場は100万円を超える程度です。

逆に一番安価だと思われる手元供養は、ミニ骨壷に遺骨を入れる方法です。

葬送・墓・仏具販売の大手「メモリアルアート大野屋」で市販されている一般的なタイプのミニ骨壷の販売価格は、おおむね1~2万円が平均です。

参考 ミニ骨壷メモリアルアートの大野屋WebShop

もっと安くしたいと考えるならば、市販のジュエリーボックスや小物入れに入れてしまえば数百円~数千円程度ですみますが、手元供養品としては不適切です。

市販の小物入れがなぜいけないのかは、後ほどご説明します。

手元供養のメリットデメリット

メリットとデメリット

遺骨をお墓に入れずに手元に残しておくのは、メリットもあり、デメリットもあります。

良い点ばかりに目が向いて悪い点を見逃してしまうと、後々にトラブルが発生してしまうかもしれません。

メリットとデメリットの双方をよく確認し、家族や親族で充分な話し合いをしておくことが肝心です。

手元供養により考えられるメリットとデメリットについてまとめました。

メリット

まずメリットに関して、改めて確認しましょう。

  • 遺族のグリーフケアになる
  • お墓が遠方でお参りに行けなくても、いつでも供養ができる
  • お墓を建てるより費用がかからない(手元供養の方法による)

グリーフケアとは、親しい人と死別した際の喪失感を癒すケア手段です。

特に高齢のご夫婦の場合、配偶者を亡くした後には寂しいひとり暮らしになってしまうかもしれません。

年齢を重ねるとひとりでの外出は大変ですので、故人と話をしたくても、お墓まで行くのも難しくなってしまうでしょう。

自宅でいつでも故人と一緒にいられる手元供養は、高齢者世帯には特にメリットが高いと言えます。

デメリット

一方、手元供養で考えられるデメリットは以下の2点です。

  • 周囲の理解が得られない場合もある
  • カビが生える可能性がある(管理が大変)

手元供養が広まってきたとはいえ、まだまだ“死”に忌避感がある人も多いです。

「遺骨を自宅に置いておくなんて!」と嫌がられる可能性もあるでしょう。

パッと見では骨壷だとわからないような形状にするなど、来客者への配慮も必要です。

また、骨には吸湿性がありますので、管理が悪いとカビが生えてしまうことがあります。

加工をしたり専用のミニ骨壷などに入れ、風通しの良い場所に安置すればカビは防げますが、気密性の低い容器では注意が必要です。

先ほど「手元供養にかかる費用」で、市販の小物入れが不適切だと申し上げた理由も、これでお分かりいただけましたね。

手元供養の流れ

祭壇

故人の遺族が手元供養を希望した際の、おおまかな流れについてもご説明しましょう。

下記は一般的な流れですので、状況により順番が前後しても問題ありません。

STEP.1
火葬する
自治体発行の「火葬許可証」を火葬場に提出し、遺体の火葬を行います。ほとんどの場合、火葬許可申請書の提出は葬儀会社が代行してくれます。
STEP.2
火葬証明書をもらう
希望により複数枚もらえる火葬場がほとんどですから、予定枚数より1枚多くもらっておくと安心です。
STEP.3
手元で供養する遺骨を分ける(分骨する場合)
どのくらいの量を手元に残しておくかは、あらかじめ身内で話し合っておきましょう。
STEP.4
手元供養の種類を決める
先ほどご紹介した手元供養の種類を参考にしながら、望ましい方法を相談してください。
STEP.5
手元供養業者を決める
希望する手元供養を行ってくれる業者を選定し、問い合わせ→注文します。遺骨の加工もしくは容器が到着したら、自宅のしかるべき位置に手元供養品を備えて終了です。

手元供養を依頼する業者選びのポイント

お地蔵様の人形

手元供養品を用意してくれる業者を選ぶときは、以下5つのポイントをチェックしましょう。

  1. 希望する手元供養品・遺骨加工を専門にしている業者か
  2. 電話応対は丁寧か、こちらの疑問にしっかり答えてくれるか
  3. 見積もりを口頭でなく書面で提示し、契約を急がせたり強要しないか
  4. アフターケアは万全か
  5. 口コミや悪いウワサはないか

最後の口コミに関しては、実際に依頼経験のある人に聞くのが一番ですが、見つからない場合は業界に詳しい専門家の意見を聞くのも良いでしょう。

まとめ

ダイヤモンドリリー

今回は、遺骨をミニ骨壺などで保管して故人を偲ぶ手元供養について解説しました。

手元供養を検討する際には、業者選びは慎重に行う必要があります。

特に遺骨加工は失敗が許されないため、間違いのない業者を選ぶことが肝心です。

各方面から情報を集めて、家族の想いにきちんと応えてくれる業者を探しましょう。


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