人生の最期を豊かに過ごせるように、元気なうちから相続や老後生活の準備を進める「終活」。
終活を通じて人生の新たな目標が見つかったり、自分の死後に相続で揉めないための準備ができたりします。
ただ、初めて終活に挑む方にとっては、「何から始めて良いのか分からない……」と不安になることもあるでしょう。
そこで本記事では、終活に取り組むべき理由と終活で分からないことがあった時に相談できる相手、相談にかかる費用相場などについて解説します。
目次
終活はなぜ必要?取り組む理由と方法
自分の身の回りのものを整理したり、将来の相続で遺族が揉めないために準備を進めたりする「終活」。
終活の進め方は人それぞれですが、共通する目的としては以下の2つが考えられます。
目的1.人生の振り返りをする
エンディングノートなどに自分の半生を書き込んで思い返すのも、終活の1つです。
終活を通じて自分の人生を振り返ることで、ひょっとしたら「まだやり残したことがある」と気が付くかもしれません。
働き盛りの世代にできなかったことにチャレンジしたり、新しく趣味を作る計画を立てたりすることで、残りの人生を豊かに過ごすことにつながるでしょう。
目的2.残された家族が困らないようにする
終活を全くしないまま本人が亡くなってしまうと、葬儀やお墓の手配、遺産相続、遺品整理まで、遺された家族が全て行うことになります。
悲しみのなかで葬儀会社に連絡し、財産の確認や遺品の仕分けなどの膨大な作業を行うことは非常に大変です。
本人が終活の一環で不用品を整理したり、エンディングノートに相続財産をリストアップしたりといった片付けを進めるだけでも、遺族の負担を大きく減らすことができるでしょう。
悩み別に相談先は異なる
いざ終活を進めようと思っても、初めてチャレンジする方の場合は「何をやれば良いのか分からない」と悩むかもしれません。
そこで、終活のお悩み別に相談できる機関や企業について紹介します。
ケース1.終活の相談先が分からない
終活に興味があっても「そもそも何から手を付けて良いのかが分からない」という場合、終活全般について話を聞ける場所に相談しましょう。
市区町村役場などを利用することで、費用をかけずに相談できます。
相談先1.市区町村役場
終活の最初の相談先として、住んでいる地域の市区町村役場を利用することがおすすめです。
自治体によっては専門家による無料相談会やエンディングノートの書き方を無料で教えてくれるセミナーなどが開催されています。
役場に電話することで、市区町村が開催するイベントを無料で紹介してもらえるでしょう。
相談先2.終活のイベント
民間の相談窓口が開催している終活セミナーに参加する方法もあります。
終活アドバイザー協会や葬儀社、寺院・霊園ごとに、お墓購入や相続関連などジャンル別の終活イベントが実施されています。
基本無料で参加できるだけでなく、プロの相談員に直接悩みを打ち明けられる点がメリットです。
たとえば終活アドバイザー協会実施のイベントでは、自分の遺言書を10分で作成するといったように、具体的な終活の進め方を体験できるコースもあります。
参考 イベント案内終活アドバイザー協会ケース2.終活の一環で生前整理をしておきたい
終活は今までの人生の振り返りや相続の準備といった内容のほかに、身の回りのものを断捨離する「生前整理」も含まれます。
若いうちから始めて自分で処分できれば費用はかかりませんが、大量の荷物を処分できない場合は業者に相談することもできます。
相談先1.生前整理の専門業者
遺品整理や生前整理を専門にしている業者のほか、いわゆる「便利屋さん」に相談することも可能です。
いきなり1社に絞れない場合は、インターネットで地域に根付いた生前整理業者を絞り込める「仲介事業者」を利用することもできます。
以下の記事では生前整理を業者に依頼することのメリットなどを紹介しているので、併せて読み進めてみて下さい。

ケース3.相続で揉めないように遺言を作りたい
自分が亡くなったあと、遺言書が無い場合は法定相続人が法定相続分に基づいて財産を均等に分けることになります。兄弟姉妹が相続するケースでは遺産分割を巡って「争続」が発生することもあります。
このようなトラブルを防ぐためには、相続の専門家に相談することが必要です。
相談先1.弁護士
相続の際にトラブルが起きることを予見できるなら、弁護士に相談することがおすすめです。
相続財産が不動産など簡単に分割できないものばかりの場合、相続人同士でトラブルになる恐れがあります。遺言書が必要なときは弁護士に相談することで、法的効力がある正しい遺言書を作成できるでしょう。
相談先2.司法書士
司法書士も遺言書の作成は相談でき、遺言執行者になってもらうこともできます。
相続財産に不動産があれば、司法書士に相談することで相続登記の手続きまで一括で依頼が可能です。
ケース4.老後資金が不足しないか心配
老後の生活資金が年金や退職金で賄えるかを考えることも終活の一環です。
生命保険文化センターによると、老後の最低日常生活費は月額で平均23.2万円、ゆとりのある生活費には月37.9万円が必要とされています。
参考 老後の生活費はいくらくらい必要と考える?生命保険文化センター他方、2021年の日本人の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳でした。
老後に夫婦で20年間過ごすと仮定すると、「23.2万円×12ヶ月×20年」で5,568万円が必要という計算になります。
老後資金を用意できないと「老後破産」につながるため、若いうちに十分な資金を用意できるように準備しておく必要があります。
相談先1.FP(ファイナンシャルプランナー)
FPはお金の専門家であり、「ライフプラン表・キャッシュフロー表」といった手法を通じて家計の将来像を試算してくれます。
将来必要になるお金を試算して不足の可能性がある場合は、資産運用の必要性を教えてもらうことができます。
相談先2.銀行
銀行窓口の担当者もFPの資格を持っていることが多く、資産運用や住宅ローン関係で相談に乗ってくれるでしょう。
ただし、独立したFPと違い、おすすめされる金融商品は銀行が扱う商品に限定されます。
ケース5.葬儀やお墓の準備を進めたい
終活では自分の余生や相続のこと以外に、葬儀やお墓のことを考えておきたいものです。生前にお墓や葬儀について契約できる業者も多く、相談先は多岐に渡ります。
相談先1.寺院
すでに一族のお墓があれば新たに購入は不要ですが、お墓がない場合は購入の手続きが必要です。
新しい区画を用意している寺院で相談会が開催されることもあり、参加すれば無料でお墓の購入に関する話を聞くことができます。
相談先2.葬儀会社主催のセミナー
葬儀に関することは、葬儀会社の担当者に相談してみましょう。セミナーを通じて気に入った業者が見つかれば、生前契約も可能です。
必要な費用を把握して自分で用意しておくことができれば、家族の葬儀に関する負担を減らすことにもつながります。
終活ごとの相談内容と費用
終活の相談にかかる費用は相談する相手によっても大きく変わるため、一概にはいえません。
以下に「終活全般」について相談できる相手の相談内容と費用の相場をまとめました。
相談先 | 相談可能な内容 | 費用の相場 |
終活のイベント | 終活に全般に関する疑問の相談 | 無料で利用できることが多い |
終活カウンセラー 終活アドバイザーなど |
相続に関するお金のことや、葬式に関することなど | 有料 |
終活無料電話相談 | 終活全般の悩み | 無料 |
弁護士 | 遺言書の作成や相続トラブルに関する相談、債務整理の相談など | 相談は無料のケースが一般的
遺言書作成は内容次第で20万円~100万円以上 |
司法書士 | 不動産の相続登記や商業登記、成年後見人の相談など | 相談は無料のケースが一般的
相続登記+遺産分割協議書の作成などセットで7~15万円程度 |
終活の相談には3つの手段がある
終活の相談方法としては、主に「直接会って相談」「電話で相談」「メールで相談」という3つの手段があります。
それぞれのメリット・デメリットを把握し、自身に合った方法で申し込みましょう。
直接会って相談
終活について細かく聞きたいときは、専門家や相談員に直接会って相談することをおすすめします。
誰にでも当てはまる内容でのテンプレートのような回答ではなく、一人ひとりの状況に合わせた的確なアドバイスを受け取ることができます。
また、顔を合わせることで相談相手と信頼関係を構築できるため、安心して相談できるでしょう。
終活では、どうしてもお金の話が出てきます。「お金の話は信頼できる人に話したい」と考えているなら、直接会っての相談がおすすめです。
ただし、なかには自分と相性の合わない相談員もいます。自分が信頼できそうな相談員を探す手間がかかるという点がデメリットでしょう。
電話で相談
電話は、諸事情から対面での相談が難しいけれども、直接会話して相談したい場合に便利です。
相談員が在籍している店舗から遠方に住んでいたり、足腰が弱っていて移動が難しかったりする方に向いています。
メールでは伝わらない細かなニュアンスまで相手に伝えることができることや、メールと違ってその場で回答を受け取ることができる点がメリットです。
ただし、電波次第では上手に会話できず、重要な情報を聞き漏らすことも考えられます。
また、聞いた情報を記録に残すために電話と並行してメモを取ることも必要です。
メールで相談
メール相談のメリットは24時間いつでも受け付けている点です。
自分の好きなタイミングで相談・返信できるため、自宅から出る必要がありません。
また、対面や電話と違って誰かとコニュニケーションを取る必要もないため、対面よりも文書でやり取りしたい方に向いています。
一方、メールの相談は24時間できますが、返信は相談員が就業している時間に限られます。相談してから返信を受け取るまでに時間がかかることはデメリットでしょう。
また、相談相手の顔を見ることも声を聞くこともできないため、相談相手が信頼できる人か判断することが難しいという点もネックです。
まとめ
終活の相談先は「終活でどんなことを進めたいのか」によっても異なります。
どうしても迷った時は、最初に「市区町村役場」などの公的な相談先を選ぶことがおすすめです。相談費用はかからず、各種セミナーや相談会などを案内してくれるでしょう。
そのほか、相続なら「弁護士・司法書士」、老後の生活費なら「FP・銀行」と、相談先によって得意分野が異なります。
相談先ごとの特徴も踏まえ、最適な相手に相談できるようにしていきましょう。

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