- 介護保険料は住む地域や年齢・世帯構成・所得により変わる
- 2022年最新の第1号被保険者(65歳以上の人)基準額は6,014円
- 介護保険料が支払えない方のためには減免制度がある
2021年から介護保険料の基準額が上がると、いくつものメディアが報じています。
しかし、そもそも介護保険料の基準額とは何でしょうか。誰が支払う介護保険料がどれだけ上がり、具体的にはいくら支払うことになるのでしょうか。
今回は介護保険制度の概要を説明しながら、2022年最新の介護保険料について解説します。自分の支払う介護保険料を、この機会に確認してみましょう。
介護保険制度の概要
介護保険制度とは、社会全体で高齢者介護の費用を負担し合おうという制度です。
日本に在住している40歳以上の方はすべて介護保険に加入し、介護保険料を支払う必要があります。
介護保険の加入者は年齢によって以下に分類されます。
種別 | 年齢 | 保険料支払 | サービスの提供 |
第1号被保険者 | 65歳以上 | 支払義務あり | 介護サービス・介護予防サービスともに受けられる |
第2号被保険者 | 40歳以上65歳未満 | 支払義務あり | 受けられない(難病指定等により介護サービスのみ受けられる) |
なお第2号被保険者は65歳以上になると、自動的に第1号被保険者に移行します。年齢が65歳に達した際の手続きは不要です。
介護保険制度に関する詳しい内容は以下の記事をご参照ください。
2021年からの第1号介護保険基準額は6,014円
この記事の冒頭で申し上げた「2021年から介護保険料の基準額が上がった」とは、介護保険の第1号被保険者である満65歳以上の方が支払う全国平均の基準額が上がったとの意味です。
第1号被保険者の基準額は3年ごとに見直しが実施されており、2018~2020年度の第7期には基準額が5,869円だったのに対して、第8期となる2021年~2023年度には6,014円と、2.5%値上がりしました。
画像引用:厚生労働省|第8期計画期間における介護保険の第1号保険料について
なお介護保険制度が始まった2000年度(第1期)における介護保険第1号被保険者の基準額は2,911円でした。
この20年で介護保険料の支払額は2倍以上に増加しており、今後も増加が見込まれています。
2022年最新の介護保険料を確認
第1号被保険者の支払基準額が上がったとはいえ、それはあくまで全国平均の話です。
実際には第1号被保険者の介護保険料は、65歳以上の方がお住まいの地域により異なります。
また40歳~65歳未満の第2号被保険者が支払う介護保険料は、地域だけでなく納付者の就労状況によっても変動します。
ここからは第1号被保険者・第2号被保険者の介護保険料を、最新のデータをもとにそれぞれ確認していきましょう。
第1号被保険者
満65歳以上である第1号被保険者の介護保険料は、その方が住んでいる自治体に「第1号被保険者が何人いるか」「介護サービス費用がいくらかかるか」によって異なります。
介護保険の財源は介護サービス利用者の自己負担分を除き、国や自治体の負担金と被保険者負担分(第1号・第2号)の割合が定められています。うち第1号被保険者の負担割合は23%です。
画像引用:大田区|介護保険料
上記で定められた23%分を、その市区町村に住む第1号被保険者が所得に応じて支払う仕組みです。
所得ごとの介護保険料は、住民税課税額と年間合計所得により第1段階~第16段階に分けられ、段階ごとに料率と年間保険料が変わります。
以下リンクは東京都江東区の介護保険料一覧です。実際の介護保険料は、お住まいの自治体ホームページなどによりご確認ください。
第2号被保険者
第2号被保険者の介護保険料は、加入している公的医療保険の種類により異なります。
- 国民健康保険
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)
- 健康保険組合
以下からは第2号被保険者の公的医療保険ごとに、介護保険料がいくらになるかを確認しましょう。
国民健康保険の介護保険料
国民健康保険に加入している第2号被保険者は、世帯ごとの加入者数と年齢、世帯合計所得により健康保険料を算定し、その健康保険料に一定率を上乗せする形で介護保険料を決定します。
健康保険料の金額や、上乗せする介護保険料率は市区町村ごとに異なります。
以下は東京都大田区が公開している最新の国民健康保険料試算(シミュレーション)です。大田区以外にお住まいの方でも試算できますが、結果はあくまでも目安として考え、実際の介護保険料支払額は必ずお住まいの自治体規定を確認しましょう。
協会けんぽの介護保険料
多くの会社員が加入している全国健康保険協会(協会けんぽ)では、毎年4~6月分の給与支払い額をもとに社会健康保険料を決定します。
各都道府県の健康保険料額は以下リンクよりご確認ください。
参考
被保険者の方の健康保険料額(令和3年3月~)全国健康保険協会
介護保険料は社会健康保険料に一定の料率をかけて計算します。2021年3月分に改定された最新の介護保険料率は1.80%で、前年より0.1%上昇しています。
組合健保の介護保険料
協会けんぽではなく、企業や業界団体が設立した健康保険組合(組合健保)に加入している第2号被保険者もいます。
組合健保では独自に保険料を定めているため、介護保険料についてもそれぞれの組合健保により支払額が異なります。
一般的には、組合健保の介護保険料は国民健康保険や協会けんぽの介護保険料よりも低く設定されている場合が多いため、第2号被保険者の中ではもっとも介護保険料額が抑えられる支払方法だと考えて良いでしょう。
組合健保について詳しくは以下の記事も参考にしてください。
介護保険料が払えない方への減免制度
会社勤めの方は、介護保険料は健康保険料と一緒に給与から控除されます。納付も被保険者の代わりに会社が行ってくれるので、特殊なケースを除き介護保険料が払えなくなる事態にはまずなりません。
しかし満65歳以上の第1号被保険者や、国民健康保険に加入している第2号被保険者の場合には、経済的な理由により介護保険料が支払えなくなる可能性があります。
しかし介護保険への加入と保険料の支払は、日本に在住している限りは加入者の義務なので、必ず支払わなけれないけません。
もし介護保険料を滞納すると、受けられるはずの介護保険サービスが制限されてしまいます。また督促にも応じない場合は資産などを差し押さえられる可能性もあり、介護保険料の滞納は百害あって一利なしです。
経済的困窮により介護保険料が支払えない方のためには、各自治体で減免制度を設けています。介護保険料のお金を捻出できないと思ったら、早急に市区町村役場の福祉課や介護保険課などの担当窓口で相談しましょう。
まとめ
今回は介護保険料に関する2022年最新情報をお伝えしました。
高齢者の増加に伴い、介護保険料は年々値上がりしています。しかし、すべての高齢者が安心して介護サービスや介護予防サービスを受けられるようにするためには、介護保険料による財源確保はどうしても必要です。
現在第2号被保険者の方は、いずれ自分自身が第1号被保険者になる日のためにも介護保険料は必要な支払なのだと理解しておきましょう。