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高齢者の一人暮らしが抱えるリスク・問題点|行政や民間の見守り支援サービスを解説

独居老人

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高柳政道 Takayanagi Masamichi
高柳政道 Takayanagi Masamichi
ライター

生協の売り場責任者と保険推進リーダー、その後、メーカー営業として勤務。自身の老後資金不足への危機感からお金の勉強を開始。FP資格を取得した後、得た知識を周囲に還元するためにWebライター・コラムニストとして独立。1級ファイナンシャル・プランニング技能士とCFPの資格を保有し、「終活」「相続」「保険」「投資(iDeco・NISA)」などの分野に精通。老後に安心して暮らすための知識とノウハウに関して、豊富な執筆実績あり。 ▼保有資格 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R) DCプランナー2級

この記事のサマリ

  • 65歳以上の人がいる世帯のうち、単独世帯は28.8%(2021年)
  • 独居老人は災害や犯罪に巻き込まれたり、ケガや病気の発見が遅れたりするリスクがある
  • 家族との近居や行政・民間の見守りサービスを活用することでリスクを軽減できる

少子高齢化や核家族化が進む現代日本においては、一人暮らしの高齢者(独居老人)の割合が増加傾向にあります。

一人暮らしは気楽に生きられる一方、犯罪に巻き込まれたり病気やケガで長時間動けなったりするリスクがあるため注意が必要です。

本記事では独居老人の割合や、高齢者が一人で住むことの問題点、もしものために知っておきたい行政・民間の支援サービスを紹介します。

高齢者の一人暮らし「独居老人」とは

独居老人とは

独居老人はその名のとおり、「ひとりで暮らしている高齢者」のことです。

老人は年を重ねた人全般を指す言葉ですが、独居老人の「老人」は一般的に65歳以上の高齢者を指しています。

子どもが独立したあとに配偶者と死別してしまったケースのほか、誰かと生活することにストレスを感じてあえて1人で生活する人も多いようです。

高齢者の一人暮らしの現状

独居老人 データ

「令和4年版高齢社会白書」によると、日本の総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は2021年の時点で28.9%でした。

1950年には総人口の4.9%だった高齢化率は1970年には7%を超え、2005年は20%を超えました。どんどん右肩上がりで推移していき、2047年には38.4%になるとされています。

参考 令和4年版高齢社会白書内閣府

また、「2021年国民生活基礎調査」によれば、65歳以上の人がいる世帯のうち、単独世帯は1986年には13.1%でしたが、2021年には28.8%まで増加しています。

単独世帯のうち、男性は65歳~74歳の前期高齢者が56.3%と過半数を占め、女性では75歳以上の後期高齢者が64.2%もいる点が特徴です。

参考 2021年 国民生活基礎調査の概況厚生労働省

85歳以上の高齢者は女性が多い傾向にあり、24.3%にも達しています。

高齢者が一人暮らしをすることのリスク・問題点

独居 問題点

高齢者が一人暮らしをすることで「子ども世代に迷惑にならない」「自分の気が向くままに気楽に生きられる」といったメリットがある一方、これから紹介するリスクや問題点があることも覚えておきましょう。

社会的に孤立すること

家族がいれば何気ない日常の会話が日頃から行われ、子ども・孫やその友人などとの交流が生まれます。

一方の単身世帯では話し相手がおらず、地域社会とのつながりも希薄になるでしょう。

最近はネット通販や宅配などのサービスが充実しているため、自宅にいながら様々なサービスが受けられるようになりました。身体が悪くて出かけることが大変な高齢者にとっては便利な世の中です。

ただ、昔のように「近隣の商店街で買い物がてら仲間と交流する」という機会は少なくなりつつあります。

社会的に孤立することで、自分の身に何かあっても助けを求められないことが心配されます。

食生活が偏って健康的な生活ができない

独居老人は、1人分の年金で生活をやりくりする必要があります。

年金収入が十分でない方の場合、生活のために食費を切り詰めなければいけないかもしれません。そうなると様々な食材を購入する予算がなくなり、食事の内容が偏ってしまうでしょう。

また独居では自分のお腹を満たせれば生活できてしまうため、栄養バランスを考える機会も少なくなりがちです。

高齢者が陥りやすい低栄養にについては以下の記事でもまとめているため、栄養面で気になることがある方はこちらも参考にしてみてください。

医師 レッドカード 高齢者に起こりやすい「低栄養」とは|原因と予防策を解説

洪水などの自然災害で逃げられない

日本は地震大国であることは周知の事実ですが、地震による建物の倒壊だけでなく、その後の火事や津波なども怖いです。

地震関連以外にも、豪雨・土砂崩れ・台風などの災害に巻き込まれるリスクも考えられます。

家族や地域社会と関係を構築できていれば助けがくることもありますが、社会的な孤立をしている独居老人は助けを求めることも難しくなるでしょう。

詐欺や犯罪に巻き込まれる

独居老人は、犯罪者にとって格好のターゲットになってしまう点も注意したいポイントです。

振り込め詐欺など高齢者を狙った特殊詐欺や、玄関先に居座って悪質な商材を売りつけてくるといった犯罪行為に巻き込まれる可能性があります。

先に亡くなった配偶者から財産を相続して生活しているような場合、嘘の儲け話によってお金を集める投資詐欺の被害も心配です。

身近に配偶者や子どもなど頼れる人がいれば相談できますが、1人暮らしの独居老人では誰にも相談できずに犯罪に巻き込まれてしまうかもしれません。

病気やケガで倒れても発見されない

2人以上で生活していると病気やケガで動けなくなってしまっても、同居人がす発見してくれます。

独居老人の場合、手元に携帯電話があったり離れた家族に助けを求めたりできない限り、たまたま家を訪れた人がいないと発見が遅れてしまいます。

病院に運ばれるまでに時間がかかることで症状が重篤になったり、そのまま孤独死を迎えてしまったりするかもしれません。

一人暮らしの高齢者にとってのリスクについては、以下の記事でも詳細にまとめています。

高齢者 リスク ひとり暮らしの高齢者に潜むリスク|安心して暮らすための4つの対策とは

高齢者の一人暮らしリスクを軽減する対策

介護保険

独居老人として生活することのリスクを少しでも軽減するために、これから紹介する対策を早めに考えることをおすすめします。

家族との「同居」「近居」を選択する

独居老人に考えられるリスクを回避する方法として、もっとも簡単かつ効果的なことが「家族との同居」です。

身近な人が一緒に住むことで病気やケガで長時間動けなくなるリスクを抑えることができ、詐欺などの犯罪にも巻き込まれずに済みます。

大災害が起きても、家族の助けで安全な場所に避難しやすいでしょう。

ただし、なかには子ども世代と一緒に住むことを「気を遣うから」「息子夫婦に申し訳ないから」といった理由で遠慮したいと考える人もいます。

その場合はお互いに日常的に行き来できる距離に住む「近居」という選択肢を検討しましょう。

近居は、高齢者側から見れば子ども世代に助けを求めやすく、子ども世帯にとっても子育てのサポートを親に頼みやすくなります。生活リズムを崩すこともなく、双方にメリットがある方法です。

介護保険サービスを利用する

一人暮らしに不安を感じるなら、地域包括支援センターで相談しましょう。相談内容に応じて生活上の改善点のアドバイスを受けることができ、改善に向けたサービスを利用できます。

また、要介護認定の調査・判定を受けることも可能です。

要介護1から5に認定された人は「介護サービス」を、要支援1〜2に該当する人は「介護予防サービス」を介護保険で利用できるようになります。

介護サービスを例にとると以下のような種類があり、更に細かなサービスに分かれます。

  • 自宅で暮らす要介護者・要支援者の買い物や掃除などをサポートする「訪問サービス」
  • 日中は施設で過ごして食事やトイレのサポートが受けられる「通所サービス」
  • 要介護者・要支援者を一定期間施設に受け入れてくえる「短期入所サービス」

サービスを利用しても1~3割の自己負担に抑えることができるほか、介護のサービスを通じてスタッフやほかの高齢者とつながりを持つこともできます。

高齢者の一人暮らしの問題を解消できる「見守りサービス」

見守り

家庭の事情から家族に頼ることが難しい方は、行政や民間で提供されている「見守りサービス」を提供すると良いでしょう。

行政の見守りサービス

独居老人が抱えるさまざまな問題・リスクに対処するため、公的な支援サービスが提供されている場合があります。

たとえば「名古屋市」ではサービスを利用することで福祉電話を貸与され、週に2回ボランティアによる電話訪問が行われます。

心臓発作や火災などが発生したときは緊急ボタンを押すことで夜間緊急連絡先に通報する特殊電話機を借りることも可能です。

参考 高齢者世帯資産・見守り事業ガイド名古屋市

民間の見守りサービス

自治体が主体となって進める見守りサービスのほか、民間のサービスを併用するという方法もあります。

たとえば高齢者の自宅にセンサーを設置して一定期間動きがない場合は家族に連絡が入るサービスや、ペンダントを握るだけで救急信号を送ることができ、24時間いつでも警備会社が駆け付けるサービス等を利用できます。

まとめ

独居老人とは、1人暮らしをしている65歳以上の高齢者のことで、その人数や割合は今後も増加することが予想されます。

1人で暮らせることは気楽ですが、ケガや病気、災害などが発生した際に周囲に助けを求められない点や、社会とのつながりが希薄になってしまう点が心配です。

家族と近居をしたり行政や民間の見守りサービスを利用したりすることで社会とのつながりを保ち、何かあれば助けを求められる状態を作っておくことが大切だといえるでしょう。


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