少子高齢化、核家族化、未婚率の増加など、さまざまな要因から増加している「高齢者のひとり暮らし」。
元気なうちは気ままに暮らせるかもしれませんが、年齢を重ねるごとにさまざまなリスクに直面することになります。
高齢者が安心して生活するためには、ひとり暮らしに潜むリスクを把握して事前に対策を立てておくことが重要です。
本記事ではひとり暮らしの高齢者が増加傾向にある現状と家族と離れて暮らすことの不安点、リスクを軽減させるポイントについて紹介します。
親御さんがひとり暮らしをしていて心配なご家族の方もぜひ参考にしてみてください。
目次
ひとり暮らしの高齢者は増加傾向にある
ひとり暮らしの高齢者(独居老人)は、日本の人口と比較してどのような増え方をしているのでしょうか。
公的な資料から、65歳以上のひとり暮らしの方がどれくらいいるのか、その現状を紹介します。
日本の高齢者人口は増加している
内閣府「令和4年度高齢社会白書」によれば、2021年の日本の人口に占める65歳以上の割合は28.6%でした。
参考 高齢化の現状内閣府1950年には5%を下回っていた高齢者比率ですが、急激にその比率は大きくなっています。同資料によれば、令和47年には約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上になるという推計が発表されています。
ひとり暮らしの高齢者比率は増えている
同資料によれば、65歳以上の高齢者でひとり暮らしをしている方は令和2年のデータで男性15.0%、女性22.1%でした。
1980年(昭和55年)では男性4.3%、女性11.2%でしたが、男女どちらもひとり暮らしの割合が増えています。とりわけ男性の伸び率が大きいのが特徴です。
今後もこの傾向は続くことが予想されています。2022年に約670万人とされる独居老人の数は、2040年には896万人に増加すると予想されています。
参考 世帯と家族内閣府ひとり暮らしの高齢者が増えている要因
ひとり暮らしの高齢者が増加する背景には、「死亡率の低下による65歳以上人口の増加」「少子化の進行による若年人口の減少」の2つが原因として考えられます。
戦後の生活環境の改善、栄養状態の改善、医療技術の進歩によって「年齢調整死亡率」が大幅に減少しています。昭和22年には男性23.6%、女性18.3%だった数値が、令和2年には男性13.3%、女性7.2%になっており、長生きできる環境が整ったことで高齢者が増加していると考えられます。
もう1つ、少子高齢化も高齢者の増加の要因の1つです。
令和2年の出生数は84万835人で、合計特殊出生率は1.33まで落ち込みました。昭和31年に2.22を記録したあとは低下を続けており、これも高齢化の原因です。
参考 高齢化の要因内閣府ひとり暮らしの高齢者が不安に感じるポイント
ひとり暮らしは同居によるストレスやトラブルの心配がなく、子どもに迷惑をかけずに気ままに暮らせるというメリットがあります。
しかし、健康なうちは問題ないとしても、年齢を重ねることで不安に感じることも増えてくるでしょう。
将来的に不安に感じるポイントを整理しておき、今のうちから対策をしておくことをおすすめします。
社会的に孤立する・生き甲斐を感じにくくなる
家族と一緒に生活していれば、毎日の生活の中で自然とコミュニケーションが取れるでしょう。
一方、ひとり暮らしでは自分からコミュニティに参加しない以上、話相手がいないのが普通です。地域社会とのつながりが希薄になってしまうことが考えられます。
このような環境でひとり暮らしをすることで孤独感が増し、寂しさ・生きにくさを感じてしまうかもしれません。
さらに、ひとり暮らしには孤独死のリスクもあります。体調が急変して助けを求めたくても体を動かせず、亡くなってもすぐに気付かれません。
家族と同居していたり親しい友人とつながりを持ったりすることで避けられる事態も、ひとり暮らしでは大きな不安点になっています。
介護が必要な状態になる可能性がある
高齢者は加齢とともに病気に罹患しやすくなるうえ、症状が慢性化して治りづらくなります。
身体機能が弱まることで将来的には介護が必要になる可能性もあるでしょう。
ひとり暮らしで自立した暮らしをしてきた方にとって、介護スタッフによるサポートを受けることは精神的にも苦痛を感じやすいものです。
地震や洪水の際に助けが必要になる
地震や洪水などの自然災害も、ひとり暮らしの高齢者には大きなリスクです。
土砂崩れや洪水の危険があると言われてもすぐには動けず、災害に巻き込まれてしまう可能性があります。
詐欺や犯罪に巻き込まれる危険性がある
高齢者を狙った振り込め詐欺や特殊詐欺の被害も、ひとり暮らしの高齢者にとっては悩みの種です。
身近に家族や友人などの頼れる存在がいれば、相談することで被害を未然に防ぐことができますが、ひとり暮らしではそれも難しいでしょう。
ひとり暮らしのリスクを軽減させる解決策4つ
気楽に生活ができるひとり暮らしですが、高齢になるほどリスクが大きくなることがわかりました。
ここからは、高齢者が抱えるリスクを軽減させる解決策について模索していきましょう。
家族の同居・近居
ひとり暮らしで発生するリスクを回避できる方法として有力なのは「家族との同居」です。
高齢者にとって家族と一緒に過ごすことで安心感を得られ、孤独感を感じずに生活できるようになります。
子ども世代としても、同居することで親に何か体調の変化があればすぐに対応することが可能です。
ただし、必ずしも「同居」が本人の幸福につながるとは限りません。
例えば子どもと離れて暮らしているようなケースでは、同居するために住み慣れた土地を離れる必要があります。
ずっと同じ場所で生活してきた高齢者にとって、新しい土地で生活することは大きなストレスを伴います。
そこで検討したいのが、家族の近くで生活する「近居」です。
最近はLINEといったコミュニケーションアプリや見守りカメラも充実しており、必ずしも同居する必要はありません。
何かあったときにすぐに駆け付けられる距離に住むことで、お互いの生活リズムを崩すことなく安心した生活ができるでしょう。
介護サービス
ひとり暮らしに不安を覚えたら、市役所や地域包括支援センターで相談してみるという方法もあります。
身体能力の低下などを理由に介護予防・介護が必要と判断されれば、要介護認定を受けられる可能性もあります。
要介護1~5に認定されれば介護サービスを、要支援1~2に該当すると介護予防サービスを受けることができます。
自宅に手すりをつけたりバリアフリーに改装したりするリフォーム費用も補助を受けることが可能です。
身体能力の低下を自覚してきたら、元気なうちに相談することで健康的な生活を続けることができるでしょう。
食事配達サービス
生協のように食材を届けてくれるサービスのほか、完成された食事を宅配してくれる「食事宅配サービス」も利用を検討しましょう。
栄養バランスがいい食事が定期的に届けられ、その献立は日替わりで変わります。家事の負担が減るだけでなく、飽きずに長く続けることができるでしょう。
最新版おすすめ食事配達サービスについて、以下の記事でわかりやすく紹介しています。

安否確認・見守りサービス
家庭の事情から同居や近居が難しい場合は「見守りサービス」を利用するという方法もあります。
見守りサービスとは、遠方の家族に代わって高齢者の生活を見守り・サポートするサービスのことです。
サービス内容は企業によって異なりますが、主に以下のようなサービスに大別できます。
- スタッフが直接訪問して安否確認を行う「訪問型」
- 自宅にカメラを設置する「カメラ型」
- 自宅にセンサーを設置して安否確認を行う「センサー型」
- 毎日指定の時間に電話やメールで連絡が来る「オート電話・メール型」 など
いずれも高齢者本人が急に倒れたり連絡が取れなくなったりした場合に、素早く対応することが可能になります。
見守りの方法も料金もさまざまなので、高齢者本人や家族の希望に合わせて利用を検討してみましょう。
離れて暮らす家族とのコミュニケーション、見守りを兼ねたCarebee(ケアビー)
家族や親戚など親しい人と対話ができ、高齢者でも安心して使えるコンシェルジュ付きのタブレット端末「Carebee(ケアビー)」というサービスもあります。
Carebee(ケアビー)なら、スマホやパソコンが使えなくても、インターネット環境がご自宅になくても、家族からひとり暮らしの利用者へいつでもビデオ通話ができ、お話や見守りができます。
詳しくは以下の動画をご覧ください。
離れて暮らすひとり暮らしの親御さんが気になる方におすすめのサービスです。
参考 ご家族と離れて暮らしていても、どんな人でも安心してご利用いただけるITツール Carebee(ケアビー)まとめ
高齢者のひとり暮らしは誰に気兼ねなく生活できるというメリットがある一方、「社会的に孤立する可能性が高まる」「誰かに助けを求めるのが難しくなる」等の不安点があります。
高齢者が安心して暮らすためには家族と同居(近居)する方法がありますが、事情があって難しい場合は見守りサービスを利用するのも有効です。
家族や地域とのつながりを保つことを意識し、元気なうちから準備を進めておきましょう。

GoldenYearsでは、充実したセカンドライフを送るためのサポートを行っております。
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