【Excel版】エンディングノート(終活ノート)

定年後の健康保険は5種類|保険料を比較して一番お得な加入方法を確認

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杉田 Sugita
杉田 Sugita
ライター

IT企業に勤務しながら、ライターとしても活躍中。実父の認知症発症と義母の看取り経験から、介護と終活の重要性に気付き、GoldenYears、その他メディアにて啓蒙活動を行い、幅広い読者に終活の知識を提供している。中小企業の経理や社会保険事務全般に習熟しているため、保険や年金などの分野を得意とする。1969年生まれ。 ▼保有資格 認知症サポーター 終活カウンセラー2級

この記事のサマリ
  • 定年後には新しい健康保険に加入し直す必要がある
  • 定年後に加入できる健康保険は5種類(任意継続・再就職による再加入・扶養・国民健康保険・特例退職被保険者)
  • 保険料負担が大きくても無保険だけは避けるべき(減免制度の利用も可能)

会社を退職すると社会保険の加入資格も同時に失うことになるため、定年後には別の健康保険に加入し直さなければいけません。

定年後に加入できる健康保険にはいくつかの種類があり、それぞれ保険料や加入条件が異なります。

一番お得に加入できる健康保険はどんな健康保険でしょうか。

今回は定年後の健康保険について、加入条件やメリット・デメリットなどを解説します。

定年後に選べる健康保険の種類は5つ

ボールで描いた12345の数字

会社を定年退職した後に再加入が可能となる健康保険は以下の5種類です。

  1. 任意継続
  2. 継続雇用先・再就職先の社会保険に加入
  3. 子供等の扶養に入り社会保険に加入
  4. 国民健康保険に加入
  5. 特例退職被保険者になる

上記5種類の健康保険は、どこに加入したとしても医療費負担の割合は変わりません。しかし保険料がいくらになるかはそれぞれの健康保険によって異なります。

つまり定年後の健康保険を選ぶときには、加入条件を満たす中で一番安い保険料になる健康保険を選ぶべきです。

各健康保険のメリット・デメリット

メリットとデメリットの付箋

上で挙げた5種類の健康保険には、それぞれ加入条件やメリット・デメリットがあります。

一番お得な健康保険を知る前に、定年後にはどの健康保険への加入が可能なのか自分自身の状況に置き換えながら確認してみましょう。

任意継続

任意継続とは、定年まで勤めていた会社の社会保険に定年後も引き続き加入し続ける方法です。

会社の半額負担がなくなるため保険料は全額自己負担となりますが、組合などが設けている独自の保険事業や保養所・レジャー施設などの優遇を利用し続けることができます。

また任意継続を選択したときには、配偶者などの扶養親族も一緒に加入を継続できます。

加入条件 会社に2か月以上継続雇用されていた人
メリット ・これまでの被保険者優遇制度が引き続き利用できる
・扶養親族も継続加入できる
デメリット ・最大2年間しか継続できない
・保険料が全額自己負担になる

再就職先・継続雇用先の社会保険に加入

定年後に新しい会社に再就職した人は、雇用先の会社の社会保険に加入できます。

また、定年前と同じ会社で継続雇用されている人も再加入が可能です。この場合、定年退職時にいったん社会保険を脱退し、同時に再加入の手続きを会社が行います。

保険料はこれまでどおり会社が半額負担するため、支払保険料を抑えられます。

加入条件 再就職先・継続雇用先の会社において社会保険の加入条件を満たす人
(所定労働時間・所定労働日数がおおむね4分の3以上)
メリット ・保険料の半額を会社が負担してくれる
・扶養親族も加入できる
デメリット ・再就職時や継続雇用時の労働条件により加入できない可能性がある

子供等の扶養に入り社会保険に加入

赤ちゃんとお金

子供や配偶者などが会社の社会保険に加入していて、定年後の年収が180万円に満たない人は家族の被扶養者として社会保険に加入できます。

参考 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き日本年金機構

社会保険の加入者が扶養親族を追加しても保険料は上がらないため、自分自身だけでなく家族にもいっさいお金はかかりません。

加入条件 定年により年収180万円以内になる予定の人
メリット 保険料がかからない
デメリット 家族の加入保険が国民健康保険だと保険料が加算される

国民健康保険に加入

社会保険に加入しない人は全員国民健康保険に加入することになります。

定年後に会社へ雇用されず、自営業を始めた人が加入するのも国民健康保険です。

加入条件 他の健康保険に加入しない人
メリット 誰でも加入できる
デメリット 保険料が高い

特例退職被保険者になる

企業の中には、定年退職者に対して特別な加入制度を設けているところがあります。

特定健康保険組合に20年以上加入していた人は、定年後も特例退職被保険者として引き続き加入ができます。

組合加入者の優遇も引き続き利用することができ、ほとんどの特定健康保険組合では保険料も低く設定されているため、非常にメリットのある加入方法です。

しかし2014年時点で日本には特定健康保険組合が61団体しかないので、利用できる人は限られています。

加入条件 ・特定健康保険組合に20年以上加入していた人
・老齢基礎年金の受給を開始した人
メリット ・これまでの被保険者優遇制度が引き続き利用できる
・扶養親族も継続加入できる
・保険料が比較的安い(組合ごとに設定)
デメリット 特定健康保険組合の数が少ない

一番お得な加入方法は?保険料で比較

健康保険証を覗き込む人形

5つの健康保険加入方法を確認したところで、今度は具体的な保険料支払金額を確認してみましょう。

定年前の月収が50万円で、継続雇用や再就職の際にも同程度の賃金が得られたと仮定したときの各健康保険の支払保険料を比較しました。

お住まいの地域や加入していた健康保険組合の種類により保険料率が異なるため、下の一覧表は参考金額としてご覧ください。

加入方法 保険料算定根拠 保険料
任意継続 離職時の保険料を元に計算 58,200円(協会けんぽ/東京都の例)
継続雇用・再就職 給与支給額を元に計算 29,100円(協会けんぽ/東京都の例)
扶養 保険料負担なし 0円
国民健康保険 前年度の収入を元に計算 66,736円(東京都大田区の例)
特例退職被保険者 組合ごとに規定 21,600円(出版健康保険組合の例)

上記一覧表でわかる通り、一番お得な健康保険の加入方法は「子供等の扶養に入る」方法です。

国民健康保険が高い理由

上記の一覧表によると、もっとも保険料が高くなるのは国民健康保険への加入です。これは国民健康保険の保険料算定が前年度の所得金額を元に計算されているためです。

定年後に収入が下がっても国民健康保険料の計算においては定年前の収入が算定根拠になるため、定年後1年間は高額な国民健康保険料を払わなければいけません。

また配偶者が扶養範囲内のパート勤めなどをしている場合、国民健康保険では世帯収入を合算して計算するため、さらに保険料が高くなります。

定年後75歳までは健康保険の加入が義務

病院とお金の天秤イメージ

健康保険の高額な保険料が家計の負担になり、いっそ健康保険に加入せず無保険の状態になろうと考えだす人が少なからず存在します。

しかし、無保険の状態は絶対に避けなければいけません。そもそも日本では皆保険制度を採用しているため、定年してから75歳になるまでは健康保険料を支払うことが義務付けられています。

また高齢になると病気のリスクが上がるため、いざというときに医療費を全額負担するのではかえって損にもなりかねません。

後期高齢者医療制度に移行する75歳になるまでは、必ず何らかの健康保険に加入しておきましょう。

保険料が払えない人には減免制度がある

お金の前に座る犬猫の人形

定年後に収入がなくなり国民健康保険料を支払えない人のためには、減免制度も用意されています。

納付期日の7日前までに市区町村の窓口に申し込み、審査が通れば健康保険料の一部もしくは全額を免除してもらえます。健康保険料が支払えない事態におちいる前に自治体の窓口に相談しましょう。

なお減免制度が設けられているのは国民健康保険だけです。任意継続や特例退職被保険者の場合、納付期限までに保険料を納めないと加入資格はその月をもって消滅します。

定年後の健康保険証はできるだけ早く確保を

指を立てるドクター

健康保険の無保険状態を回避しなければいけない理由は上でお伝えしたとおりですが、定年後にすぐ手続きをしたとしても、新しい健康保険証が取得できるまでにはある程度の期間を要します。

上記5つの健康保険のどれに加入したとしても、カード式の健康保険証が発行されるまでには一定の時間がかかるからです。

健康保険証を持っていなくても医療機関にかかることはでき、健康保険に加入してさえいれば自己負担分を除いた額を後日清算できますが、面倒なやりとりが生じてしまいます。

健康保険の加入手続きは定年後直ちに行い、1日でも早く新しい健康保険証を確保するようにしましょう。

まとめ

四葉のクローバーと病院イメージの積み木

今回は会社を定年退職した後の健康保険加入方法について解説しました。

人間、いつ病気になるかわかりません。医療費の7割~9割を負担してくれる健康保険の制度は定年退職後の高齢者にとって欠かせない存在です。

定年後にはすみやかに健康保険に再加入する必要があると認識し、今からお得な加入方法を検討しておきましょう。


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