【Excel版】エンディングノート(終活ノート)

何歳から「高齢者」か|高齢者の定義と年齢変更による社会的影響とは

悩んでもやもやしている高齢者の夫婦

この記事を書いた人
杉田 Sugita
ライター

IT企業に勤務しながら、ライターとしても活躍中。実父の認知症発症と義母の看取り経験から、介護と終活の重要性に気付き、GoldenYears、その他メディアにて啓蒙活動を行い、幅広い読者に終活の知識を提供している。中小企業の経理や社会保険事務全般に習熟しているため、保険や年金などの分野を得意とする。1969年生まれ。 ▼保有資格 認知症サポーター 終活カウンセラー2級

この記事のサマリ
  • 高齢者と呼ばれる年齢は一般的には65歳から(WHO定義)
  • 日本には高齢者の定義を55歳・60歳・65歳としている法律がある
  • 高齢者の定義を変更し75歳に引き上げる提言がなされた
  • 高齢者定義が変更されると雇用・年金・介護に影響する可能性も

日本の高齢者が増えています。

しかし高齢者とは、具体的に何歳からが高齢者になるのでしょうか。高齢者と見なされる年齢は誰がいつ、どのように定義したのでしょうか。

また現在、高齢者の定義が見直されようとしています。高齢者の定義は誰がいつ、どうして見直しをしようと思ったのでしょうか。

今回は高齢者の定義について解説します。

「65歳以上は高齢者」はWHOが定義している

WHOのアプリが映し出されたスマホ画面

「人は何歳から高齢者になるか?」と質問されたら、2023年の現時点では多くの方が「65歳から」と答えるでしょう。

世界的に見ても、高齢者と見なされる年齢は65歳が一般的です。

65歳とはWHO(世界保健機関)が高齢者と定義した年齢です。世界中の国や地域でもWHOの定義を採用しているところが多く、そのため日本でも65歳以上が高齢者だと見なす場合が多いのです。

またWHOは、65歳以上の高齢者を年齢によって前期・後期に区分しています。

65歳~74歳

65歳から74歳までの高齢者は、前期高齢者(young old)に区分されます。

75歳以上

75歳以上の高齢者は後期高齢者(old old)に区分されます。75歳を超えた後期高齢者は、それ以上何歳になっても区分が変更されることはありません。

日本の法律では高齢者の定義はバラバラ

3つのドアと悩む電球の人形

多くの方が高齢者の定義を65歳だと考えていますが、実は日本の法律の中には、高齢者を65歳以外で定義している法律も存在します。

実は法律によって、高齢者の定義はバラバラなのです。

高齢者に関連する日本の主な法律では、以下のように高齢者の年齢が定義づけています。

55歳以上を高齢者と定義する法律

定年の引上げや継続雇用制度の導入によって高齢者の安定した雇用を促進する「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、高齢者の年齢を55歳以上と定義しています。


参考
高年齢者等の雇用の安定等に関する法律e-GOV法令検索

60歳以上を高齢者と定義する法律

高齢者が日常生活を営むために必要な高齢者向け賃貸住宅の供給を促進する「高齢者の居住の安定確保に関する法律」では、高齢者の年齢を60歳以上と定義しています。


参考
高齢者の居住の安定確保に関する法律e-GOV法令検索

65歳以上を高齢者と定義する法律

高齢者への適切な医療の確保と、医療費の適正化を推進するための措置を定めた「高齢者の医療の確保に関する法律」では、前期高齢者を65歳以上74歳以下、後期高齢者を75歳以上と定義しています。


参考
高齢者の医療の確保に関する法律e-GOV法令検索

また要介護状態のが自立した日常生活が営めるように必要な介護サービスの給付を行う「介護保険法」も、高齢者の年齢を原則として65歳以上と定義しています。


参考
介護保険法e-GOV法令検索

日本の高齢者定義が見直されようとしている

積み木の階段の前に立つ高齢者人形

これまで多くの方が65歳以上だと思ってきた高齢者の年齢ですが、最近その定義を変更しようとする動きが出てきています。

日本老年学会と日本老年医学会が合同で運営する「高齢者に関する定義検討ワーキンググループ」が、2017年1月に高齢者の年齢を引き上げるべきと提言を発表しました。


参考
高齢者の定義と区分に関する、日本老年学会・日本老年医学会 高齢者に関する定義検討ワーキンググループからの提言(概要)一般社団法人日本老年医学会

高齢者の年齢引き上げにより、定義検討ワーキンググループでは以下2つの意義があると考えています。

  1. 従来の定義による高齢者を、社会の支え手でありモチベーションを持った存在と捉えなおすことができる
  2. 迫りつつある超高齢社会を明るく活力あるものにできる

高齢者の定義引き上げが検討されている理由

なぜ高齢者に関する定義検討ワーキンググループでは、上記の年齢引き上げをすべきだと考えたのでしょうか。

それには以下2つの理由があります。

高齢者自身が自分を高齢者だと思っていない

2003年に内閣府が行った「年齢・加齢に対する考え方に関する意識調査」によると、20代から70代の各年齢の方が自分を高齢者だと認識している方の割合は、60~64歳で22%、65~74歳で55.9%、75歳以上で85.6%でした。

高齢者としての認識の有無

画像引用:内閣府|平成15年度年齢・加齢に対する考え方に関する意識調査結果

65歳に到達した時点では、まだ半数以下の方が自分を高齢者だとは感じていないことがわかります。

昔より高齢者が若返っている

高齢者の定義を再検討する合同ワーキンググループが高齢者の心身の健康に関するさまざまなデータを検討した結果、現在の高齢者は10~20年前と比較して加齢にともなう身体的機能変化の出現が5~10年遅延しており、若返り現象が見られるとの結論に至りました。

かつては高齢者とされてきた65歳も、近年ではまだまだ若く活動的な方が多く、活発に社会活動を営んでいる方が大多数です。

この若返り現象が起きた主な要因は、公衆衛生の普及や医学の進歩、栄養状態の改善などさまざまな理由が考えられます。

定義の変更後は何歳から高齢者になるのか

足が不自由な老人とはてなマーク

高齢者に関する定義検討ワーキンググループでは、従来の前期高齢者・後期高齢者の区分ではなく、以下の区分に変更すべきだと提言しています。

65歳~74歳

65歳から74歳までの高齢者は、准高齢者(pre-old)に区分が変更します。

75歳~89歳

75歳から89歳までの高齢者は、高齢者(old)に区分が変更します。

90歳~

90歳以上の高齢者は、超高齢者 (oldest-old, super-old) に区分が変更します。

高齢者の定義変更によって起こり得ること

水面に水を落としてできた波紋

2023年3月現在では、まだ高齢者に関する定義検討ワーキンググループの提言が採用されてはいません。

もしこの先に上記の提言が本当に採用されたとしたら、私たちの社会はいったいどのように変わるのでしょうか。

高齢者年齢の引き上げによって起こり得る社会的影響を挙げてみました。

雇用

現在、多くの企業では60歳を定年年齢として定めています。

各企業には2023年現在でも65歳までは定年延長や継続雇用をする義務がありますが、高齢者の定義変更により65歳を超えても継続雇用したり、定年年齢のさらなる延長もしくは定年廃止とする企業が出てくる可能性があります。

自分の会社では何歳で定年になるかを調べたい方は、以下の記事を参考に自社制度を確認してください。

年金

国民年金の受給開始年齢は1942年(昭和17年)の制度発足以来、一貫して65歳です。

一方、厚生年金は1944年(昭和19年)の制度発足時には55歳でしたが、その後の法改正を受けて段階的に年齢引き上げがされ、2023年現在では国民年金と同じく65歳を受給開始年齢としています。

年金支給開始年齢の引き上げ推移

画像引用:厚生労働省|平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~(支給開始年齢について)

65歳以上が高齢者と見なされる時代になったら、年金の受給開始年齢が国民年金・厚生年金ともにさらに引き上げられるかもしれません。

年金を含む社会保険制度については以下の記事で詳しく解説しています。

介護

2023年現在では、40歳になると介護保険に加入して第2号被保険者となり、65歳になると第1号被保険者として介護保険による介護サービスが受けられるようになります。

高齢者の定義が65歳からもっと高い年齢に変更されれば、介護保険第1号被保険者になる年齢が引き上げられるかもしれません。もしくは高齢者の区分により介護サービスの自己負担率が変更される可能性もあります。

介護保険制度の現状について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

まとめ

今回は「高齢者」の定義と、高齢者の定義が今後見直される可能性について解説しました。

自分が高齢者かどうかを決める要素は、年齢だけではありません。気持ちが若ければ65歳以上になっても、まだまだ若者、現役世代と自認して良い時代です。

高齢者の定義がいくつになろうとも、若者と変わらないアクティブな気持ちで生活を楽しみましょう。