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老後資金はいくら貯金が必要?50歳から可能な対策を紹介

老後資金

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高柳政道 Takayanagi Masamichi
高柳政道 Takayanagi Masamichi
ライター

生協の売り場責任者と保険推進リーダー、その後、メーカー営業として勤務。自身の老後資金不足への危機感からお金の勉強を開始。FP資格を取得した後、得た知識を周囲に還元するためにWebライター・コラムニストとして独立。1級ファイナンシャル・プランニング技能士とCFPの資格を保有し、「終活」「相続」「保険」「投資(iDeco・NISA)」などの分野に精通。老後に安心して暮らすための知識とノウハウに関して、豊富な執筆実績あり。 ▼保有資格 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R) DCプランナー2級

この記事のサマリ
  • 50歳代の平均貯金額は1,075万円、中央値は400万円
  • 年金だけでは夫婦で1,000万円、単身で660万円が不足する可能性がある
  • 繰り下げ受給やiDeCo、つみたてNISAなどが老後資金対策に有効

50歳を超えて老後が近づくにつれて、お金について意識する方も少なくありません。

ただ、老後資金を貯めるのに、50代では遅いと感じて諦めていませんか?老後資金対策といえば20~30代の若い世代から始めないといけないイメージがありますが、50歳からでも十分に間に合います。

今回は50歳代の平均的な貯金額と、不足する老後資金を貯めるための方法について解説します。

世の中の50歳代の平均貯金額は1,075万円、中央値は800万円

貯金

厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」によると、50~59歳の平均貯金額は1,075.4万円です。

画像引用:厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」

30代で530.0万円、40代は650.9万円であることを考えると、50代はほかの年代と比較して多くの貯金ができていることが分かります。

一方、50歳代の平均借入額は546万円です。40代の1002.4万円から約半分まで減っています。30~50代の借入金が他の年代より大きい原因としては住宅ローンが考えられますが、30代・40代までと比較して返済が進んでいることが分かります。

ただし、「平均額」は一部の大きな数字に引っ張られる可能性があります。平均と合わせて中央値も理解しておきましょう。

中央値は、データを小さい順に並べたときに真ん中に位置する数字です。

家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年)によれば、50代の平均貯金額は1,386万円と厚生労働省のデータよりも高い値ですが、中央値は400万円となっています(金融資産を保有していない世帯を含む)。

参考 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和3年金融広報中央委員会

平均に及ばないとしても悲観する必要はありませんが、50代は「年収が高い」「借入金が減少する」という条件が揃いやすく、お金を貯めやすい時期です。

50歳になってからでも遅くありませんから、老後を意識して準備を進めていきましょう。

老後までに準備が必要な資金額

生活資金

漠然と貯金しても、実際に必要な老後資金に届かないと意味がありません。具体的にいくらの老後資金が必要かを逆算して対策を練ることが重要です。

ここでは総務省「家計調査報告(令和2年)」のデータから、夫婦2人世帯・単身世帯で老後までに準備しておきたい金額について解説します。

夫婦2人世帯は1,050万円

総務省の「家計調査報告(令和2年)によると、65歳以上の夫婦高齢者無職世帯の実収入は256,660円です。一方の支出額は255,550円と、若干黒字になると試算されています。

ただし、収入には社会保障給付以外に「その他」として勤め先収入や配偶者収入も含まれます。もし働かずに年金のみで生活する場合は約35,000円が不足する計算です。

夫婦ともに90歳まで生きると仮定した場合、35,000円×12ヶ月×25年=1,050万円が不足します。

中央値が800万円だったことを考えると、大半の方が老後資金不足に陥る可能性があるということが分かります。

単身世帯は660万円

単身老後世帯でも同様に計算すると、社会保障給付が121,942円に対して消費支出と非消費支出の合計が144,687円です。働かずに老後を過ごす場合、毎月約22,000円が不足する計算です。

90歳まで生きると仮定すると22,000円×12ヶ月×25年=660万円が不足する可能性があります。

50歳から10年で可能な老後資金対策

資産形成・資産運用

50歳になると、還暦を迎えるまで約10年しか残されていません。老後資金の不足に焦りを覚えている方も多いのでは?

しかし、実際には50歳からでも始められる老後資金対策はたくさんあります。ここでは50歳になってからでも、残り10年でできる老後資金対策を紹介します。

年金の未納期間をなくす

老齢基礎年金の支給額は満額で777,800円(令和4年)ですが、あくまでも20歳から60歳までの40年間(480月)を全額収めた方の受給額です。

納付しない「未納期間」があると年金受給額が少なくなってしまいます。たとえば会社員では転職時に納付の空白期間が生じることも考えられます。

未納の場合は2年間、免除を受けていた場合は10年間にわたって追納が可能ですから、できる限り追納して未納期間を埋めることで老齢基礎年金を最大の受給額に近づけましょう。

低年金を回避する方法については以下の記事でわかりやすく説明しています。今回の記事とあわせて参考にしてください。

無年金 無年金や低年金にならないための対策方法

厚生年金の加入期間を延ばす

厚生年金は70歳まで加入できるため、60歳~65歳で退職したあとに再雇用や転職で働き続けることで老齢厚生年金の受給額を増やせます。

高年齢者雇用安定法では65歳までの雇用確保措置が義務づけられていましたが、2021年の改正では新たに「65歳から70歳までの就労機会確保」が企業の努力義務になりました。

厚生年金の加入上限である70歳まで働きやすい環境が整ってくることで、老齢厚生年金の増額を図ることができます。

給与を受け取っている間は老齢年金を受け取らずに繰り下げ受給することで、より効率的に老後資金を増やすこともできるでしょう。

こちらの記事では50歳代で再就職するために知りたいポイントを解説していますので、ぜひ参考にしてください。

挑戦するビジネスマンのイメージ 50代の再就職を成功させる4つのポイント

年金を繰り下げ受給する

受け取れる年金額に不安がある場合、将来的に年金を繰り下げ受給することを前提に年金額を再度計算してみてはいかがでしょうか。

一般的に年金は65歳から受給ですが、繰り下げ受給を選択すれば66歳以降からの受け取りにできます。繰り下げ受給することで繰り下げ期間1ヶ月につき0.7%増額されます。

5年間繰り下げして70歳から受け取りにすれば42%の増額です。

さらに2022年4月からは75歳まで繰り下げが可能になりました。75歳まで繰り下げた場合、増額率は最大で84%です。60歳から受け取る老齢基礎年金が50万円の場合、75歳から受給開始にすることで受取額を92万円まで増やせます。

つみたてNISAで投資信託を運用する

つみたてNISAは長期・分散・積立投資を支援するための非課税制度です。年齢要件がなく、50代からでも資産を効率的に運用できます。

通常の投資では利益に対して20.315%の税金がかかりますが、つみたてNISAでは年間40万円までの投資額が最長20年も非課税になることがメリットです。

投資できる商品は投資信託、ETF(上場投資信託)と呼ばれる金融商品で、金融庁が定めた条件をクリアした商品が選定されています。「購入時手数料や信託報酬などのコストが安い」「分配金を一定以上のタイミングで支払わない」などの条件を満たす、資産形成に向いた商品が揃っています。

初心者でも商品選びに迷うことなく、資産形成に向いた商品を選べるでしょう。

また、60歳まで原則として掛け金を引き出すことができないiDeCoと違い、つみたてNISAはいつでも資産を売却して現金化できる点もメリットです。

数年以内に使う可能性のあるお金はつみたてNISAで投資することで万一のときに引き出せます。

税制メリットが大きい代わりに60歳まで引き出せないiDeCoとは組み合わせて利用しましょう。

iDeCoに加入して投資信託を運用する

iDeCo(イデコ)は、公的年金とは別に自分で資産運用して老後資金を準備する私的年金制度です。

大きく分けて3つのメリットがあります。

  • 掛け金の全額が所得控除
  • 運用益が非課税
  • 受け取り時も有利な税制が適用される

つみたてNISAは最長20年に渡って運用益が非課税になりますが、それと比較しても多くの税制優遇があります。

投資商品はつみたてNISAでも扱う「投資信託」以外に、元本保証型として「定期預金」「保険」から選択することも可能です。

ただし、現役世代に引き出して使うことができないデメリットがあります。またiDeCoに加入するのに加入手数料として2,829円、口座管理手数料として毎月171円以上のコストが発生する点もデメリットとして押さえておきましょう。

50歳からiDeCoに加入して老後資金のためになる?

積み立て投資

前項で紹介したiDeCoについて、20~30歳代からコツコツ投資するイメージがありませんか?

もちろん、投資期間が長いほど運用益が非課税になるメリットが大きいですが、50歳から始めても決して遅くはありません。

所得控除のメリットが大きい

50歳からiDeCoに加入しても効果を得られる理由は、税制メリットを得られるためです。特に前項で紹介した「全額が所得控除」については、運用商品のリターンに関係なく得られます。

iDeCoに拠出した掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除として所得控除の対象です。たとえば月2万円を拠出した場合、年間で48,000円の節税(所得税率10%、住民税率10%の場合)です。50歳から60歳まで10年間加入すれば、税金を48万円も節約できます。

貯金や通常の投資(NISAやつみたてNISA含む)では所得控除の恩恵は受けられません。iDeCoだからこそ、期間が短くても加入する意味があるといえます。

10年あれば60歳からiDeCoの元利合計を受け取れる

iDeCoでは原則60歳から積み立てたお金を受け取れますが、60歳から受け取るためには60歳の時点で通算加入期間が10年を超える必要があります。

50歳から加入することで、最短60歳からの受け取りに間に合いますから、65歳から年金を受け取るまでの生活費として利用できます。

60歳で考えたい老後資金についても以下の記事で紹介していますので、この機会に参考にしてみて下さい。
60歳 60歳の平均貯金額はいくら?今から老後資金を貯める方法  

まとめ

今回は50歳代の平均的な貯金額と、不足する老後資金を貯めるための方法について解説しました。

50歳代の貯金は400万円が中央値ですが、老後資金は年金だけでは1,000万円以上が不足する可能性があります。50歳からでも遅くないので、iDeCoやつみたてNISAなど税制メリットがある投資を検討しましょう。

「70歳まで働く」「年金を繰り下げ受給する」など、老後収入の柱である年金額を増やす対策も重要です。


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