- 50代以上の求人募集は数少ない
- 50代以上が転職した際には賃金が下がる可能性がある
- 50代が再就職を検討する理由は男性と女性で違う
- 50代の再就職を成功させるためには対策と意識改革が必要
長年同じ会社に勤めている内には、転職が頭に浮かんでくることもあります。
また何らかの事情で仕事を辞めて、ブランク後に再就職を目指す場合もあるでしょう。
20代の若年層でも50代のミドルシニアでも就職活動の方法は変わりませんが、転職や再就職をするまでには50代の方が大変になるケースが多く見られます。
50代の再就職はどうして大変なのでしょうか。そして50代の人が再就職を成功させるにはどうしたら良いのでしょうか。
今回は50代になってから再就職を考えたときに知っておきたいことについて解説します。
50代の再就職は想像よりも厳しい
社会人経験を長く続けた実績から自分のスキルに自信を持ち、再就職への挑戦も簡単にできると思っている人もいるでしょう。
しかし、いったん会社を辞めた50代の人が再就職先を探す際には、想像しているよりもずっと高いハードルが待っています。
「自分のスキルなら他の会社でも通用するに違いない」と楽観視するのは危険です。
50代になってから別の会社に転職しようとする人は、再就職までに時間がかかることを予想し、再就職先が決まってから退社願いを出すことを強くおすすめします。
50代の再就職の現実
どうして50代の再就職は慎重に進めなければいけないのでしょうか。
それは、50代を求めている企業数が他の年代に比べて少ないという現実があるからです。
大手転職支援サイトのリクナビNEXTで求人情報を検索すると、東京都内だけで17,471件がヒットします。
しかし検索対象を「50代」で絞り込むと件数は999件となり、1割にも至りません。さらに「年齢不問」の求人情報は226件にまで下がります。
再就職したいと思っても、50代の求職者が応募できる企業数はかなり狭められているのが現実なのです。
そして2020年から続くコロナ禍により、再就職はさらに厳しくなっています。
総務省統計局の調査によれば、新型コロナウィルス感染症の流行が始まった2020年以降は、全年齢を通した完全失業率が大幅に増加しています。
画像引用:独立行政法人労働政策研究・研修機構|新型コロナウイルス感染症関連情報:新型コロナが雇用・就業・失業に与える影響
50代に限らず、いったん仕事を辞めてしまうと再就職できない可能性もあるのです。
再就職が厳しい理由
20代や30代の若年層に比べて、終身雇用制を基本とする会社では一般的に50代の給与は高くなります。
再就職による中途入社だとしても賃金設定を高くしないとバランスが取れないため、企業は高い給与で雇用せざるを得ないのです。
雇用コストを抑えたい企業側としたら、低い給与額ですむ若い人を採りたいと考えるのは当然でしょう。
即戦力になる有能な人材であれば給与が高くても採用される可能性は高いですが、未経験やスキルの低い人材の場合、50代ではそれ以上の成長のポテンシャルも見込めないため採用にも躊躇しがちです。
40代と50代では何が違うのか
20代や30代の若年層に比べて、40代と50代は成長のポテンシャルや賃金上昇の面では再就職が難しいことに変わりはないようにも思えます。
しかし、40代と50代では再就職の難しさに明確な違いがあります。
その理由は厚生労働省が認めている年齢制限の例外事項です。本来、企業は求人募集の際に年齢制限を設けることはできませんが、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から一部例外を設けることができます。
参考
その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?厚生労働省
企業は「長期勤続によるキャリア形成を図る」ために求人を45歳未満程度までに限定できるため、46歳以上は求人条件から除外されてしまう可能性があるのです。
再就職できても年収は下がる可能性がある
2018年(平成30年)の厚生労働省調査で50代の転職経験者の賃金を比較したところ、賃金変動がなかった場合を除いては「増加」よりも「減少」の方が上回っています。
同調査による49 歳以下の賃金は「増加」が「減少」を上回っているため、50代になってからの再就職は年収の面でも厳しい現実があることを知っておく必要があります。
50代が再就職を考える理由
正社員として雇用されている人であれば、ほとんどの場合は定年まで勤めあげることができます。
では、どうして定年退職が視野に入ってきた50代が再就職を希望するのでしょうか。
以下からは50代が再就職を考える理由を、男性と女性に分けてご説明します。
50代男性の再就職理由
人材紹介サービスのMS Agentが50代利用者100人に行ったアンケートでは、50代になってから転職を決意した理由として「人間関係」「これまでの経験を活かしたい」「会社に対する不安」がトップ3に挙げられました。
画像引用:MS Agent|50代の“ホンネの転職理由”ランキング!「年収」よりも大切な条件とは!?
2021年4月からは、いよいよ定年年齢が70歳にまで延長されようとしているため、まだ50代の人が新天地を求めてもおかしくありません。
定年年齢の延長については以下の記事も参考にしてください。
50代女性の再就職理由
男性に対して、50代女性の場合には再就職の理由が大きく異なります。
もともと女性は妊娠・出産・育児のために仕事を辞めてブランク期間が発生しやすくなっています。また女性は介護を理由としたブランク期間が発生するケースも起こり得ます。
総務省の調査によると、親の介護のために仕事を辞める介護離職の割合は、男性30%に対して女性が70%です。自分の親に加えて配偶者の親の介護も担う場合もあり、さらに仕事のブランク期間が増します。
画像引用:男女共同参画局|介護・看護を理由とした離職者数の推移(男女別)
介護の必要がなくなった後に女性が再就職を考えても、長期間のブランクがあるために求職には非常に苦労するケースが多いです。
50代の再就職を成功させる4つのポイント
50代の再就職が厳しい現実はありながらも、それでも多くの人が50代になってから再就職を希望しています。
では50代の人が首尾よく再就職を果たすためには、どうしたら良いのでしょうか。
ここからは50代が再就職を成功させるために知っておきたい4つのポイントについて説明します。
雇用形態にこだわらない
これまで正社員として働いてきた人は、再就職先を探すときにも「絶対に正社員」とこだわりを持ってしまいがちです。
しかし雇用形態にこだわっていては、より良い条件の再就職先を見逃してしまう可能性があります。
再就職の際には意識改革を行い、正社員へのこだわりを捨てて契約社員などの求人も積極的に探しましょう。
年収よりキャリア期間を重視
上記でご説明したように50代からの転職では年収が下がる可能性がありますが、それでも再就職によってキャリア期間が延びる可能性がある会社であれば、最終的に得られる収入は大きくなります。
再就職先の会社でこれまでよりも低い賃金額が設定されていたとしても、想定される勤続年数が長ければ、トータルの利益を考えて再就職を決断するのも一案です。
資格を活かす
50代の再就職には業務経験だけでなく、資格も貴重な武器になります。
たとえ未経験の業種への再就職であっても、再就職先で必要となる資格をあらかじめ持っておけば有利な条件で採用が可能となります。
また、資格は50代のみならず定年後の再就職時にも求職活動をしやすくできます。
再就職に有利な資格については以下の記事でもご紹介しています。
ミドルシニア向け転職サービスを活用
転職支援サイトや転職エージェントサービスは数多く存在しますが、全年齢を対象としたサービスでは、50代以上のミドルシニアに満足いかないサービス内容となる可能性があります。
現在の給与レベルを落としたくない人や、自分のスキルやキャリアに自信がある人は、50代以上のハイクラス求人情報を数多く持つ転職サービスに登録してみましょう。
将来的な老後資金も考えた再就職活動を
50代ともなると、そろそろ老後の生活を考え出す時期でもあります。
65歳以上になると再就職先の会社も退職する人が増え、主な収入源は年金のみになる人が多いです。
自分がどのくらい年金がもらえるのかは、日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」で確認ができます。
「ねんきん定期便」に記載されている年金予定額では老後資金に満たないと思われる場合には、得られる賃金額がより高い再就職先を探すか、もしくは副業や資産活用で老後資金を別途用意しておかなければいけません。
再就職を検討する際には将来的な年金受給額も考慮した上で、必要な老後資金が充分に確保できるような働き方を考えましょう。
まとめ
今回は50代以上の人が再就職を検討する際に知っておきたいことについて解説しました。
50代になってからの再就職には高いハードルがありますが、決して乗り越えられないハードルではありません。
人生100年時代の折り返し地点である50歳を超え、そこからの50年を後悔しないような働き方を考えましょう。