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更年期に生理が止まらない理由とは|早急に対処すべき不正出血の種類

この記事を書いた人
杉田 Sugita
ライター

IT企業に勤務しながら、ライターとしても活躍中。実父の認知症発症と義母の看取り経験から、介護と終活の重要性に気付き、GoldenYears、その他メディアにて啓蒙活動を行い、幅広い読者に終活の知識を提供している。中小企業の経理や社会保険事務全般に習熟しているため、保険や年金などの分野を得意とする。1969年生まれ。 ▼保有資格 認知症サポーター 終活カウンセラー2級

この記事のサマリ
  • 更年期に生理が止まらない(不正出血)理由は主に3つ
  • あまり心配ない不正出血と危険な不正出血がある
  • 気になる症状が出たり少しでも不安に感じたら早めの受診がおすすめ

更年期になると生理(月経)が終了するとは、誰しもが予想するところです。

しかし女性の更年期は、時期が来ればピタリと生理が終了するわけではありません。

最終的に生理が終了するまでには、生理周期が早まったり逆に遅くなったり、経血量が増えたり減ったりします。

いつまでも生理が止まらない不正出血が起こることもあるかもしれません。

今回は更年期女性の生理が止まらないときに考えられる理由や、生理が止まらない時に行うべき対策について解説します。

更年期に起こり得る生理の乱れ

月光に照らされる夜の海

女性のいわゆる「生理」は正しくは「月経」と呼びますが、今回は多くの女性にとって馴染み深い呼称である「生理」との呼び方で説明いたします。

女性の閉経前後5年間程度は「更年期」と呼ばれます。更年期を迎えた女性は生理周期が 乱れたり、これまでの生理時と比べて経血量が増減する人が増える傾向にあります。

生理の乱れ自体は更年期によくある症状のひとつですので、心身に深刻な影響が出ていなければ特に心配する必要はありません。

更年期には生理の乱れ以外にも、いろいろな症状が考えられます。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

ただし生理がいつまでも止まらない状況、つまり不正出血が続いている状況は、その理由により直ちに医師の診察や治療が必要になる可能性があります。

以下からは更年期の女性の生理が止まらない理由について考えていきましょう。

更年期に生理(不正出血)が止まらない理由

頭にふきだしを浮かべて考える女性

一般的な生理周期の25~38日ごとではない時期に性器から出血する症状を、不正出血または不正性器出血と呼びます。

更年期の不正出血は、大きくは以下3種類に分類できます。

  1. 機能性出血
  2. 器質性出血
  3. その他出血

上記のうち注意しておかなければいけない不正出血は「器質性出血」と「その他出血」です。

以下でひとつひとつ確認しましょう。

機能性出血

機能性出血とは、ホルモンバランスの乱れにより起こり得る不正出血です。

更年期になると卵巣機能の働きが弱まるためにホルモンバランスが乱れ、不正出血を起こしやすくなります。生理のときに子宮内膜が剥がれづらくなり、長期にわたって子宮内から剥落していくために生理が止まらない事態になるのです。

機能性出血は更年期の女性にはよく起こりがちな症状ですし、閉経後には収まることがほとんどですから、生理が止まらないことでひどい貧血などにならない限りは心配ありません。

器質性出血

器質性出血とは何らかの婦人科疾患がひそんでいるために起こり得る不正出血です。

機能性出血と違い、器質性出血の場合は出血の原因が重大な病気である可能性があります。
生理が止まらない原因となっている病気が何なのかを見きわめ、早急にしかるべき治療をしなければいけません。

不正出血の原因となる婦人科疾患には以下のような病名が挙げられます。婦人科疾患ではなく他の病気の可能性も考えられます。

  • 子宮筋腫
  • 子宮腺筋症
  • 子宮内膜ポリープ
  • 子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)

その他出血

その他、生理が止まらないときに考えられる理由としては、性交の際に膣内が傷ついたことによる不正出血や、細菌の感染が原因で膣内に炎症が起こる膣炎や膣部びらんなどがあります。

膣の損傷や細菌感染などによる不正出血も、数日たっても治まらないようであれば早めに適切な治療をした方が良いでしょう。

また更年期の年代になっても妊娠の可能性はゼロではありません。子宮外妊娠や流産など、妊娠による不正出血の可能性も考えられます。

更年期ごろの女性の妊娠については以下の記事も参考にしてください。

こんな症状が出たら早めに受診を

お腹を押さえて苦しむ女性

生理が止まらない理由には、いろいろな理由が考えられることがわかりました。

しかし生理が止まらない当人としては、不正出血の理由が何なのかがわからなければ、心配しなくて良い出血なのかどうなのかがわかりません。

そこで以下からは、生理がとまらないときに医師に相談する方法について説明していきます。

まずはこんな症状を自覚したら、早めに受診を検討しましょう。

  • 生理が8日間以上止まらない
  • 大量に出血している
  • レバー状の血液の塊がたくさん出る
  • 不正出血により貧血を起こす
    激しい生理痛
  • 排尿時や排尿後に痛みがある・おしっこの出が悪い
  • 腹部にしこりがある

診療科目は婦人科

生理が止まらず、上記のような症状が発生しているときに受診すべき診療科目は婦人科・産婦人科です。

女性外来や更年期外来などでも相談ができます。

東京23区内の婦人科・更年期外来は以下サイトから検索できます。


参考
東京都(23区)の婦人科・更年期外来リスト一般社団法人女性の健康とメノポーズ協会

出血している状態でも受診してOK

性器から出血している状態だと恥ずかしくて受診をためらってしまう女性も多いようです。

しかし出血している状態でも受診してまったく構いません。

逆に出血している状態の方が、診察する医師としても状態がわかりやすいというメリットがありますし、大事なことなのでためらわずに受診してください。

受診するときのポイント

日ごろから基礎体温を記録している人は、忘れずに基礎体温表を持参しましょう。

必須ではありませんので、これまで基礎体温を付けていなかった人は持参しなくても構いません。基礎体温は長期間の計測が必要なため、生理が止まらなくなってからあわてて記録しても参考にはならないからです。

また受診の際には、あらかじめ以下をメモ用紙などにまとめておくと医師への説明がしやすくなります。

  • 不正出血が始まった時期
  • 期間
  • おおよその出血量
  • 状態(サラサラ・ネバネバ・レバー状など)
  • その他心配な症状

更年期の生理が止まらないときの治療法

女性医師のアイコン

病院で医師に診察してもらい、治療が必要だと診断された際には不正出血の原因に応じて以下の治療を行います。

ホルモン補充療法

不正出血の種類が機能性出血で、多量もしくは長期間継続する不正出血により重度の貧血など健康に支障が出ている場合には、ホルモン補充療法などでホルモンバランスを安定させる治療を行います。

病気の治療

不正出血の種類が器質性出血の場合には、それぞれの病気の治療を行います。

また膣の損傷が原因の不正出血の場合には、抗生物質を膣内に挿入したり外陰部に軟膏を塗るなどの治療を行います。

不正出血の自己判断やセルフケアは絶対ダメ

NOと書かれた赤い紙を持つ手

生理が止まらないときの対処法として、市販薬を試したり漢方・サプリなどでセルフケアする方法はおすすめできません。

なぜなら不正出血の原因が何なのか、生理が止まらない当人では判断できないからです。

上記でご説明したとおり、生理が止まらない症状には重大な病気がひそんでいる可能性があります。自己判断やセルフケアによって治療を後のばしにすると、病気が進行して深刻な事態になってしまいかねません。

少しでも心配なことがあれば、ためらわずに医師の診察を受けるようにしましょう。

なお更年期特有のイライラなど、不正出血以外の更年期症状でしたらセルフケアでも一定の効果が期待できます。詳しくは以下の記事をご覧ください。

まとめ

大きな満月の前でたたずむ女性

今回は更年期女性の生理が止まらないときの理由や対処法について解説しました。

長年お付き合いしてきた生理です。リズムの乱れや経血量の変化は、他の誰よりも自分自身が一番先に気づけます。

生理が止まらない理由が身体からのSOSサインなのかどうかを、身体からの声に耳をかたむけてみましょう。