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介護食で必要な「とろみ」を簡単に付けるには|介護食作り初心者向け解説

和食

この記事を書いた人
杉田 Sugita
杉田 Sugita
ライター

IT企業に勤務しながら、ライターとしても活躍中。実父の認知症発症と義母の看取り経験から、介護と終活の重要性に気付き、GoldenYears、その他メディアにて啓蒙活動を行い、幅広い読者に終活の知識を提供している。中小企業の経理や社会保険事務全般に習熟しているため、保険や年金などの分野を得意とする。1969年生まれ。 ▼保有資格 認知症サポーター 終活カウンセラー2級

この記事のサマリ
  • 介護食とは咀嚼機能や嚥下機能が低下した人向けに加工した食事のこと
  • 介護食には4つの区分がある(刻み食・やわらか食・ミキサー食・ゼリー食)
  • 誤嚥防止のために介護食にはとろみの付加が必須
  • 専用とろみ剤を使うと簡単にとろみが付けられる

親の介護が始まるようになると、日々の食事を作る際にも介護用の調理方法を考えなければいけません。

これまで日常的に炊事をしてきた人でも、初めての介護食作りは大変です。

介護食はどのような作り方をすれば良いのでしょうか。

また介護食には「とろみ」が必要だとよく言われます。簡単にとろみを付けるにはどうしたら良いでしょうか。

今回は「介護食」と「とろみ」について解説します。

介護食とは

カラトリー

介護食とは私達が普段食べているような通常食ではなく、咀嚼(噛むこと)嚥下(飲み下すこと)に支障がある人でも食べやすいようにした食事のことです。

老後になると歯の本数が減り、歯で噛み切ったりすりつぶしたりするような普通の食事がしづらくなります。

また嚥下機能も衰えることが多いため、飲み込む際に窒息や誤嚥の危険性もあります。

高齢者の介護では、食事の調理方法にも配慮が必要なのです。

介護食の区分

日本介護食品協議会は介護食をユニバーサルデザインフードと名付けて、要介護者が食べやすい市販介護食の普及に努めています。

日本介護食品協議会会員である食品メーカーはこの規格に基づき介護食の製造・販売を行い、規格に合う商品に以下マークを付与しています。

ユニバーサルデザインフード

画像引用:日本介護食協議会|UDFってなに?わかるユニバーサルデザインフード

ユニバーサルデザインフードは固さや粘度により以下4つに分類されます。

ユニバーサルデザインフードの区分

画像引用:日本介護食協議会|ユニバーサルデザインフードとは

介護食の種類

市販品であるか手作りかに関係なく、介護食の種類は主に以下4つに分類されます。

要介護者の噛む力や飲み込む力の度合いに合わせて段階的に移行します。

刻み食

通常の食事を細かく刻んだ食事です。噛む力は弱くなっているものの嚥下には問題ない要介護者向けです。

やわらか食

食材を歯茎や舌でつぶせる程度にやわらかく煮た食事です。またいったんミキサーにかけた食物を再度固めたものも「やわらか食」と呼ばれます。噛む力と嚥下の双方とも低下してきた要介護者向けです。

ミキサー食

通常食をミキサーにかけてポタージュ状にした食事です。ほとんど噛めず嚥下にも支障がある要介護者向けです。

ゼリー食

通常食もしくはやわらか食をミキサーでペースト状にした後、ゼラチンやデンプンを加えてゼリー状にした食事です。嚥下機能に重度の障害がある要介護者向けです。

誤嚥防止のために介護食はとろみが必須

介護 イメージ

介護食を作る上では食べやすさに加え、必ずしなければいけないのが「とろみ」を入れることです。

高齢になると喉周りの筋肉が衰えるため、飲み下した水や固形物が気管に入る誤嚥を起こしやすくなります。

誤嚥が原因で高齢者の死亡率が非常に高い誤嚥性肺炎に罹患するリスクが高まりますので、安全のためには誤嚥を防止するために水・固形物ともにとろみを付けておかなければいけません。

高齢者の誤嚥と誤嚥防止対策に関しては、以下の記事も参考にしてください。

箸置きと箸 誤嚥性肺炎を防止する3つのアプローチ|誤嚥の原因となる嚥下障害とは

要介護者の嚥下レベルに合わせたとろみ付け

ミキサー食

介護食にはとろみを付けるのが良いとはいえ、何でもドロドロにすれば良いというものでもありません。

とろみは濃すぎても、また薄すぎても要介護者が誤嚥しやすくなります。

介護食や飲料水、また服薬時の水を用意する際には、要介護者の嚥下レベルに合わせてとろみレベルを調整する必要があります。

4段階のとろみ目安

先ほど介護食の区分で取り上げた日本介護食品協議会では、とろみ調整食品やとろみ剤のとろみの状態についても4段階に定義し、各食品メーカーによる表示のばらつきが出ないように統一しています。

とろみの目安

画像引用:日本介護食協議会|ユニバーサルデザインフードとは

介護用とろみ剤の使用がおすすめ

考えるエプロン姿の女性

出来合いの介護食ならすでにとろみが付いていることが多いですが、手作り料理でとろみのあるレシピは限られています。

栄養バランスも良く、要介護者にも楽しく食事してもらい、かつ通常食との作り分けがしやすいレシピを毎回考えるのは大変ですね。

そのような場合には専用のとろみ剤の使用がおすすめです。

最近では、液体または液状の食物の味をほとんど変えずに簡単にとろみ付けができる介護用のとろみ剤が各食品メーカーから販売されています。

食べ物だけでなく飲み物にもサッと溶けるため、水分補給の際にも安心です。

片栗粉が不便な理由

ただ「とろみ」を付けるだけであれば専用のとろみ剤でなく片栗粉でも代用は可能ですが、専用のとろみ剤に比べて片栗粉には以下の欠点があります。

  • 熱を加えないと固まらない
  • ダマになりやすい
  • 量の加減が難しい

ただ片栗粉は介護用とろみ剤に比べて価格が安いので、手間をいとわず介護用食事が作れる人や、介護食作りに手慣れている人でしたら片栗粉の使用もおすすめできます。

見た目のドロドロと「とろみ」は違う

介護食の一種であるミキサー食は、見た目上はドロドロしているために「とろみ」があるようにも思えます。

しかし見た目ではドロドロしているミキサー食も、実際には中の水分にはとろみが付いていないため、そのまま食べると気管に入りやすくなります。

介護食を作る際には見た目にごまかされず、どのような形状の食事でもとろみを付加することが大切です。

とろみ剤の種類とアマゾンおすすめ品

3本のつくし

介護用とろみ剤は、使われている増粘剤の種類によって以下3つに大別できます。

  • キサンタンガム系(微生物から生産されるバイオガムの一種が主原料)
  • デンプン系(コーンスターチや馬鈴薯でんぷんが主原料)
  • グアガム系(マメ科植物のグアーが主原料※日本名クラスタマメ)

以下からはそれぞれのとろみ剤の特徴と、アマゾンで購入できるおすすめのとろみ剤をご紹介します。

キサンタンガム系とろみ剤

ドレッシングやソースのとろみ付けに使われるキサンタンガム系は、味・匂いがほとんどなくダマになりにくい性質から、昨今の介護食用とろみ剤の主流となっています。

以下2種類のとろみ剤よりも若干価格が高めに設定されています。

キサンタンガム系とろみ剤のおすすめは以下商品です。

和光堂 バランス献立 とろみエール 2.5g×30本×6個

デンプン系とろみ剤

素早くとろみを付けたいときにはデンプン系とろみ剤が適していますが、ダマになりやすい点と1回あたりの使用量が多くなる点がデメリットとして挙げられます。

デンプン系とろみ剤のおすすめは以下商品です。

トロメリン 顆粒

グアガム系とろみ剤

少量でとろみが付くのでコストパフォーマンス性に優れています。ただし湿度の影響を受けやすいためベタツキ感があり、飲料等が白濁するのがデメリットです。

グアガム系とろみ剤のおすすめは以下商品です。

流動食用(とろみ調整食品) スルーソフトリキッド

とろみ付け食品の味は?レベル別に実食(YouTube動画)

食事 イメージ

できるだけ要介護者にも毎日の食事を楽しんでもらうためには、やはり介護食と言えども味が重要です。

最近の介護用とろみ剤は食材の味を変えずにとろみが付くとされていますが、とろみで食感が変わると味は変化するのでしょうか。

その疑問にお答えするために、当社代表が実際にとろみを付加した飲み物(コーヒー・カフェオレ)を実食した動画をご紹介します。

食材が持つ甘味や塩分などは変わらなくても、とろみレベルによって人間が感じる「味」は違うようです。

これから介護食を作り始めようという人は、今後の参考のために是非ご覧ください。

高齢者の味覚変化も考慮が必要

上でご紹介したYouTube動画をご覧になった人に向けて1点補足いたします。

動画ではとろみが多いと味が薄く感じられましたが、これは介護の必要がない20代の個人的感想です。高齢になると味の感じ方が変わってくるため、食べ物の味を濃く感じたり、反対に薄く感じる可能性があります。

介護食作りの際にはとろみによる味の変化を考慮しつつ、さらに要介護者の味覚の変化も考慮してください。

また味の調整をするときには塩分やカロリーなどにも十分な配慮が必要です。

まとめ

青空にハート

今回はこれから介護食を作り始める人に向けて、介護食の調理をするときに知っておきたい事項について解説しました。

人生の楽しみのひとつは食事です。たとえ介護が必要になった人であってもそれは変わりません。

食事の楽しみができるだけ長く続くよう「安全」かつ「美味しい」介護食を作り、食事とともに人生の喜びをも与えてあげられるようにしましょう。


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