- 無資格でも介護の仕事はできる(施設介護OK・訪問介護NG)
- 無資格者だと有資格者より給与は低くなる傾向にある
- 働きながら介護資格を取る方法もおすすめ
いま転職や再就職を検討中の人で、これから介護の仕事にチャレンジしてみようかと考える人もいるかもしれません。
社会的意義のある介護の仕事にやりがいを見出している人も多いでしょう。
介護関連の資格はいろいろありますが、資格がまったくない人は介護の仕事に就けないのでしょうか。
今回は無資格の人でも介護の仕事ができるかどうか、無資格の人が介護をするときには何をどこまでできるのかについて解説します。
無資格でも介護の仕事は始められる
まず結論から申し上げると、介護関連の資格を持ってない無資格の人でも介護の仕事には就けます。
ただし無資格の場合、働く場所や仕事内容は限定されてしまいます。無資格の場合にどのように限定されるかについてはこれから詳しく説明します。
また2021年度の介護報酬改定により、介護関連の資格が無い人は認知症介護基礎研修を受講しなければいけなくなりました。
無資格の人がうける認知症介護基礎研修についても後ほど説明しますので、ひとまずは「無資格でも介護の仕事はできる」とだけ知っておきましょう。
実際に無資格で働く介護職員は0.7%
無資格でも介護の仕事に就くことは可能ではありますが、実際には何の資格もなく働いている人はごく少数です。
2021年8月に発表された公益財団法人介護労働安定センター調査結果によれば、2020年の調査時点で介護の仕事に就いている介護職員の中で、無資格者の割合はわずか0.7%でした。
画像引用:公益財団法人介護労働安定センター|令和2年度介護労働実態調査「介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書」
ただし上のグラフは介護の仕事に就いてから資格を取得した人も含まれるため、就職時点での無資格者の割合は不明となっています。
無資格の人ができる介護の仕事
介護職の仕事内容は身体介護・生活援助・メンタルケアの3種類に分けられます。
3つのうちメンタルケアに関しては、基本的に資格は必要ありません。
しかし後の2つ、身体介護と生活援助に関しては、働く場所によって資格の有無が関係してきます。
以下からはデイサービスや介護付老人ホームなどの施設介護と、利用者の自宅で介護サービスを提供する訪問介護に分けて、無資格の人が働けるかどうかを説明します。
身体介護・生活援助・メンタルケアの具体的な仕事内容について知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
施設介護
デイサービスやデイケア・介護付老人ホームなどの介護施設で働くときには、介護関連の資格は必須ではありません。無資格者であっても身体介護・生活援助ともに行えます。
介護事業所が無資格の人に高齢者の身体介助をさせても違法ではないものの、身体介護を行う際にはある程度のスキルが必要になるため、実際には無資格者にまかせられる仕事は生活援助がほとんどです。
介護事業所によっては無資格の人を介護助手や介護補助など、有資格者とは別の職種を設けて採用しているところもあります。
訪問介護
利用者が入所または通所する施設介護ではなく、ホームヘルパーが利用者の自宅で介護を行う訪問介護の場合には、介護関連の資格が必須です。何の資格も持っていない無資格の人は、身体介護だけでなく生活援助も行えません。
そのため、まったく無資格の人が訪問介護事業所の求人に応募しても、採用される確率は限りなく低くなります。
その他
施設介護・訪問介護ともに、介護の現場では直接高齢者の介護に携わる人以外にもいろいろな人が働いています。
デイサービスの送迎、介護食の調理、施設の清掃、または事務作業など、介護関連の資格を持っていなくても自分の能力に応じて介護に関係した仕事は行えます。
なお仕事内容によっては介護関連の資格ではなく自動車運転免許など他の資格が必要になる場合がありますのでご注意ください。
無資格の介護職員の給与
一般的には、無資格の人は有資格者よりも給与が低くなる傾向にあります。
正社員として雇用されたときの給与と、パート・アルバイトとして雇用されたときの給与を無資格者と有資格者で比較してみましょう。
正社員
正社員募集を行っている介護事業所の多くは、介護関連の資格を持っている人に対して資格手当を出す形で優遇しています。
資格手当の額は各事業所により異なりますが、おおむね1万円~3万円程度に設定されています。
画像引用:e介護転職|【大田区】資格手当高め!☆年間休日112日☆資格経験不問☆
パート・アルバイト
パート・アルバイト募集を行っている介護事業所では、無資格者と有資格者で異なる時給設定をしているところが多いです。
以下に挙げた特別養護老人ホームの例では、無資格者と有資格者でおよそ1割程度の差が生じています。
画像引用:カイゴジョブ|求人情報(特別養護老人ホーム若葉ゆめの園)
働きながら介護の資格を取る方法もある
無資格でも介護の仕事には就けますが、働く場所が限定されたり、給与額にも差が生じたりと、やはり介護関連の資格を持っている方が有利になるケースは多いです。
無資格の人には、働きながら介護関連の資格を取得する方法をおすすめします。
介護事業所によっては職員の資格取得をうながすために、受講料を負担するなどサポートもしています。
参考
ニチイの介護職員資格取得支援制度で働きながら資格をゲット!まなびネット
これから介護事業所で働く人や、すでに介護の仕事に就いている無資格の人は、勤めている介護事業所で資格取得のサポートが得られないか確認してみましょう。
最初に目指す資格は介護職員初任者研修
無資格の人が最初に取るべき介護関連の資格は「介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)」です。介護に関する基礎的な知識を持っている人が取得できます。
介護職員初任者研修の資格を取得するためには、約130時間の研修を受講し、修了試験に合格する必要があります。最短で2週間程度、長くても3ヶ月程度で取得できるため、比較的取得が容易な資格だと言えるでしょう。
介護関連の資格には、介護職員初任者研修以外にもいろいろとあります。
まずは介護職員初任者研修を取得し、実務経験を積みながらステップアップしていきましょう。
◎介護関連の資格の例
・介護福祉士実務者研修
・介護福祉士
・ケアマネージャー
・レクリエーション介護士
・介護予防運動指導員
・福祉用具専門相談員、など
2021年からは認知症介護基礎研修が義務
2021年の介護報酬改定に伴い、介護事業所で働く介護職員には認知症介護基礎研修の受講が義務化されるようになりました。
認知症介護基礎研修とは認知症介護に必要な基礎的な知識や技術を習得するための研修です。
上記でご紹介した介護職員初任者研修など介護関連の資格を持っている人は、すでに必要な知識を得ているものとして受講対象外となります。
つまり受講が義務な人は無資格の人だけですので、猶予期間が終わる2024年4月までには何らかの介護関連の資格を取得しておくことをおすすめします。
まとめ
今回は介護関連の資格が無い人でも介護の仕事に就けるかについて解説しました。
無資格であっても介護の仕事は始められます。しかし資格を持っている方が有利になり、仕事の幅も広がります。
ぜひ介護関連の資格を取得して、得た知識と技術を介護業務に活かしていきましょう。