【Excel版】エンディングノート(終活ノート)

1,400万人の認知症サポーターが認知症の方を支援する|認知症サポーターになる方法とできること

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この記事を書いた人
杉田 Sugita
杉田 Sugita
ライター

IT企業に勤務しながら、ライターとしても活躍中。実父の認知症発症と義母の看取り経験から、介護と終活の重要性に気付き、GoldenYears、その他メディアにて啓蒙活動を行い、幅広い読者に終活の知識を提供している。中小企業の経理や社会保険事務全般に習熟しているため、保険や年金などの分野を得意とする。1969年生まれ。 ▼保有資格 認知症サポーター 終活カウンセラー2級

この記事のサマリ
  • 認知症サポーターとは認知症の方や家族を見守り支援する人
  • 認知症サポーターはオレンジリング(リストバンド)やカードを所持する
  • 認知症サポーターになるには養成講座の受講が必要
  • チームオレンジの取り組みで認知症サポーターの活躍の場はさらに広がる

街中で、シリコン製のオレンジ色のリストバンドを身につけている方を見かけたことはないでしょうか。

オレンジ色のリストバンドは、その方が認知症サポーターであることを表しています。なおリストバンドではなくカードを所持している方もいますが、リング・カードともに認知症サポーターの証です。

では、認知症サポーターとは何なのでしょうか。認知症サポーターとはどんなことができる方で、どうやったら認知症サポーターになれるのでしょうか。

今回は認知症サポーターの一員であるライター杉田が、認知症サポーター制度についてわかりやすく解説します。

認知症サポーターとは

ジグソーパズルのピースを持つ人形

認知症サポーターとは認知症について理解し、認知症の方やその家族を見守り支援する応援者のことです。

2005年(平成17年)の厚生労働省「認知症を知り地域をつくる10ヵ年」構想の一環としてサポーター制度が作られました。

現在では全国キャラバン・メイト連絡協議会が各自治体・企業・団体と連携して認知症サポーターの養成に取り組んでいます。

認知症については以下の記事でわかりやすく解説しています。

認知症のイメージ 認知症とは何かを知っていますか|認知症について基本からきちんと解説

認知症サポーターの数

認知症サポーターの数は、毎年飛躍的に拡大し続けています。

2005年の制度開始以来、2009年5月には認知症サポーターの数は100万人を突破し、2022年9月末時点では1,400万人を突破しています。

また、認知症サポーターの養成講座の講師役であるキャラバン・メイトの数も年々増え続け、2022年現在のキャラバン・メイトの数は173,058人です。

今後もますます認知症サポーターの数が増え続けることが見込まれ、自分や身近な知り合いが認知症サポーターになる日もそう遠くないかもしれません。

オレンジリングは認知症サポーターの証

冒頭でも申し上げたとおり、認知症サポーターはオレンジ色のリストバンドを身につけています。このリストバンドはオレンジリングと呼ばれ、認知症サポーター養成講座を受講した証となっています。

オレンジリングの説明

画像引用:こころ医療福祉専門学校|介護福祉科 認知症のプロ!

なお2020年度までは認知症サポーター講習受講者には全国キャラバン・メイト協議会からオレンジリングが一律で配布されていましたが、2022年現在は自治体などの講習主催者が発行するカードタイプに変更されています。

姫路市の認知症サポーターカード

画像引用:姫路市|「認知症サポーター養成講座」~認知症サポーターキャラバン~

所持している証がオレンジリングであっても認知症サポーターカードであっても、認知症サポーターの優劣はありません。どちらも同じ、認知症の方を支える仲間です。

なおオレンジリングや認知症サポーターカードは、認知症の方の介護者が身につけている「介護マーク」とは異なります。介護マークについては以下の記事をご覧ください。

介護中であることを周囲に知らせる「介護マーク」とは|その他マークも紹介

認知症サポーターにできること

では、認知症サポーターとはいったい何をする人なのでしょうか。

2018年に地域ケア政策ネットワークが調査した認知症サポーターの活動内容は以下のとおりです。

認知症サポーターの活動

画像引用:全国キャラバン・メイト連絡協議会|認知症サポーターの活動

具体的には以下のような活動により、認知症の方の生活を応援しています。

《地域で》
・道に迷っている(認知症と推測される)高齢者に声かけをする
・認知症の家族を介護している方に「できることはある?」と聞く
・認知症の方の話を聞く、おしゃべりをする

《職場で》
・(商店など)買い物の手伝いをする
・(交通機関など)行く先がわからなくなった高齢者を適切に保護する
・(銀行など)詐欺被害が起こらないようさりげなく目配りをする
・(郵便局・宅配サービスなど)配達時に様子をそれとなく確認する

認知症サポーターに特別なスキルは必要ない

認知症サポーターは、なにか特別なことをする人ではありません。スキルや特技がなくても認知症サポーターにはなれますし、認知症サポーターになったからといってこれまでと違う何かを行う必要はありません。

認知症サポーターにとって必要なこととは、認知症について理解を深め、認知症の方に対して偏見を持たずに温かく接することです。

つまりは「お年寄りに対して親切にする」ことが、認知症サポーターの活動につながります。

逆に、やってはいけないこともあります。認知症サポーターが行う活動はあくまでも「見守り・応援」なので、認知症の方の生活に踏み込んでまでの支援は行いません。

特に金銭管理などは本人の財産を侵害する恐れもありますので、たとえ良かれと思っても代行は不適切です。

認知症の方の財産を管理できる人は成年後見人など家庭裁判所が認めた人物のみです。成年後見制度については以下の記事をご覧ください。

成年後見制度(せいねんこうけんせいど)がひどいって本当?制度の成り立ちや費用、利用しない方法までわかりやすく解説

認知症サポーターにはどうすればなれるか

教室に並んだ椅子

認知症サポーターになりたい方は、全国キャラバン・メイト協議会と連携している自治体や企業・団体等が開催する「認知症サポーター養成講座」を受講すればなることができます。

自治体研修

ほとんどの自治体では、市区町村役場や出張所などで認知症サポーター養成講座を開催しています。またオンライン講座を開催している自治体もあります。

各自治体の連絡先は以下リンクから調べられます。

参考 自治体事務局連絡先全国キャラバン・メイト協議会

職場研修

企業や団体が、自社の社員や職員に対する研修の一環として認知症サポーター養成講座を開催している場合には、自分の勤めている職場で講座を受講すれば認知症サポーターになれます。

企業内研修の際には全国キャラバン・メイト協議会から講師が派遣されますが、下記のキャラバン・メイトが企業や団体内にいる場合には社員や団体職員が講師になれます。

キャラバン・メイト研修

認知症サポーターになり、さらに認知症サポーター制度を広めようと志す方は、全国キャラバン・メイト協議会が主催するキャラバン・メイト養成研修に参加します。

研修に参加した方は、最低でも年3回以上の認知症サポーター養成講座の実施が必要です。

キャラバン・メイト養成研修への申込は各自治体に行います。上記の自治体事務局連絡先リンクより、最寄りの事務局にご相談ください。

認知症の方や家族も認知症サポーターになれる

高齢女性と若い女性

認知症の方を支える存在は「認知症でない人」とは限りません。

認知症になっている方の家族や、認知症の方自身も認知症サポーターになれます。

実際に、ライター杉田の叔父は認知症でありながら、オレンジリングを手首に着けています。「認知症の方の気持ちは同じ認知症が一番わかる」と言っている姿はとても誇らしげでした。

高齢者にとって、生きがいや張り合いは非常に大切です。その重要性はたとえ認知症になっても変わりません。

認知症の方が認知症サポーターになり、支え合って生活することでお互いの生活に張りが生まれれば、それも立派な認知症サポーター制度の効果です。

チームオレンジの一員になろう

認知症サポーター制度は2005年より開始した制度ですが、2019年からはさらに「チームオレンジ」の取り組みが開始されています。

チームオレンジとは、認知症サポーターの活動をさらに前進させ、認知症の方や家族の支援ニーズと認知症サポーターを結びつける取り組みです。

チームメンバーは認知症の方の外出支援や見守り、話しかけ、居宅への訪問など認知症サポーターよりも積極的な支援を行います。

チームオレンジのイメージ図

画像引用:全国キャラバン・メイト協議会|チームオレンジとは

チームオレンジのスタートにより、認知症サポーターの活躍の場がさらに広がろうとしています。

すでに認知症サポーターになっている方は、これからはチームを組んで認知症支援にあたっていきましょう。

まとめ

手を組む大勢の人の手

今回は認知症サポーターについて解説しました。

認知症サポーターには誰でもなれます。しかし講習を受けるだけでは、本当の認知症サポーターにはなれません。

認知症に対して理解し、日々の生活から認知症の方をサポートできるよう心がけていきましょう。


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