- 介護マークとは静岡県が作成し厚生労働省が普及を促進しているマーク
- 介護マークの提示により外見ではわからない認知症の人の介護中に周囲への理解を求めることができる
- 介護マークは市区町村役場もしくは自治体ホームページより入手できる
- 介護に関連するその他のマークも存在する
街を歩いている時に、高齢者と同行している人が葉っぱのようなイラストのマークを首から下げている姿を見かけることがあるかもしれません。
まだ見たことがない人も、これからマークを目にするシーンが徐々に増えてくることが予想されています。
「介護中」と書かれた文字と葉っぱのようなイラストが描いてあるマークは、いったい何を意味するマークなのでしょうか。
今回は介護マークに関する説明を行いながら、その他の介護に関連するマークについても解説します。
厚生労働省が普及を促進する介護マークとは
画像引用:静岡県|介護マークとは
介護マークとは上のイラストと文字が書かれたマークです。葉っぱのようなイラストは介護を支える両手を表しています。
主に認知症の人を介護する介護者が、外出時などに誤解や偏見を持たれて困っているという声を受けて、介護中であることを周囲に理解してもらうために作成されました。
このマークはもともと静岡県が作成したマークですが、介護マークの有効性を認めた厚生労働省が主体となって他の都道府県への普及を促進しています。
自治体の取組状況
2020年6月時点の集計によると、介護マークを採用・配布している都道府県は介護マークを作成した静岡県を含む茨城県・栃木県・新潟県など9つの都道府県です。
また政令都市では519市区町村で配布が開始され、38市区町村では今後の取り組みを予定しています。東京都23区(特別区)のうち介護マークを採用している区は12区です。
介護マークを採用している具体的な地域は以下リンクをご参照ください。
独自マークを採用している自治体もある
静岡県が作成した介護マークではなく、独自に作成した介護マークを採用している自治体もあります。
画像引用:加東市|加東市版サポートマーク
画像引用:海老名市|介護する人にやさしい社会へ「介護中マーク」ご利用ください
マークやイラストに違いはあっても、マークの意味するところは静岡県作成の介護マークと同一です。
独自の介護マークが存在する自治体内で静岡県作成の介護マークを使用していてもまったく問題はありませんからご安心ください。
介護マークの入手方法
介護マークを採用している多くの自治体では、印刷した介護マークをネックストラップ付きの透明ホルダーなどに入れて配布しています。
配布場所は市区町村役場の福祉課や地域包括支援センターです。自治体により配布数に限りがある可能性があるため、入手前には必ずお住まいの自治体等に確認してください。
ダウンロードによる入手も可能
自治体のホームページから介護マークをダウンロードして印刷し、名札ケースなどに入れて使用することもできます。
自治体によっては基本のイラストとともに自治体名を記載するなど若干のアレンジが加えられている可能性があるため、お住まいの自治体ホームページにてご確認ください。
介護マークの活用方法
介護者が介護マークを身につけていることにより、以下のような介護のシーンでトラブルを避けられる可能性があります。
- 要介護者の排せつ介助のため異性のトイレに同行するとき
- 男性介護者が女性用下着を購入するとき
- 要介護者が診察を受ける際に診察室まで同行するとき
- 車の乗り降りに時間がかかるとき
- 徘徊の可能性がある要介護者の注意喚起
- その他、介護中であることを周囲に知っておいてもらいたいとき
ただし介護マークには法的な効力はないため、マークを身に付けている介護者および要介護者に対する優遇措置や割引などの特典はありません。
あくまでも「トラブルを未然に防ぐためのマーク」だと心得ておきましょう。
その他介護に関連するマーク
上記でご紹介した「介護マーク」以外にも、介護のシーンでよく見かけるマークやイラストが存在します。
ここからは「介護マーク」以外の、介護に関連するマークを4つご紹介します。
車いすマーク
画像引用:日本障害者リハビリテーション協会|国際シンボルマーク(車いすマーク)の普及・使用の管理
車いすマークとは、障害のある人々が利用できる建築物や施設であることを示す世界共通のマークであり、正式名称は「国際シンボルマーク」と言います。
一般的には車いすを利用している人が乗る自家用車や福祉車両などにマークが張られていますが、この利用方法は国際シンボルマーク本来の主旨とは若干異なり、駐車禁止を免れる、または障害者専用駐車場を優先的に利用するための証明にはなりません。
しかし障害のある人でも利用しやすい駐車場、トイレなどの告知、介護車を判別するには車いすマークの記載があるとわかりやすいため、現在ではさまざまな場所に国際シンボルマークが活用されています。
ヘルプマーク
画像引用:東京都福祉保健局|ヘルプマーク
ヘルプマークは義足や人工関節を使用している人、内部障害や難病の人など、外見では分からなくても援助や配慮を必要としている人が周囲に配慮を求めていることを知らせるために作成されたマークです。
2012年に東京都が作成し、ストラップタイプのヘルプマークの配布や都営地下鉄の優先席にステッカーを掲示するなどして普及の取り組みを行っています。
他の都道府県でもヘルプマークの導入が広がり、2020年10月までに45都道府県でヘルプマークの配布と普及活動が開始されています。
シルバーマーク
画像引用:一般社団法人シルバーサービス振興会|シルバーマーク制度について
シルバーマークとは、高齢者が安心してシルバーサービスを利用できるように品質の基準を定めたシルバーサービス制度の認定マークです。
サービスの福祉適合性(安全性・倫理性・快適性)の観点から、基準を満たす良質なシルバーサービス事業所にシルバーマークが与えられます。
シルバーマークの認定対象サービスは以下5種類のサービスです。
- 訪問介護
- 訪問入浴介護
- 福祉用具貸与
- 福祉用具販売
- 宅配食サービス
「介護の日」PRマーク
介護の日PRマークは東京都八王子市が独自に作成したマークです。
厚生労働省が11月11日と定めた「介護の日」の理解を八王子市民に深めてもらうために、八王子市がロゴマークを作成し、普及に努めています。
マークの権利は八王子市に帰属しますが、「介護の日」の普及や介護に関する啓発活動の目的による使用は、八王子市民以外のすべての人や団体に認められています。
まとめ
今回は厚生労働省が普及を促進している「介護マーク」について解説しました。
外見ではわからない認知症の人の介護では、周囲の理解や手助けが必要になる場合もあります。
介護中の人は「介護マーク」を外出時には携帯するようにし、介護マークを付けている人たちを見かけたときには、温かいまなざしを持って見守るようにしましょう。