【Excel版】エンディングノート(終活ノート)

相続対策のための「終活」|遺産トラブルを防ぐポイント・相続税対策を解説

相続 終活

この記事を書いた人
高柳政道 Takayanagi Masamichi
高柳政道 Takayanagi Masamichi
ライター

生協の売り場責任者と保険推進リーダー、その後、メーカー営業として勤務。自身の老後資金不足への危機感からお金の勉強を開始。FP資格を取得した後、得た知識を周囲に還元するためにWebライター・コラムニストとして独立。1級ファイナンシャル・プランニング技能士とCFPの資格を保有し、「終活」「相続」「保険」「投資(iDeco・NISA)」などの分野に精通。老後に安心して暮らすための知識とノウハウに関して、豊富な執筆実績あり。 ▼保有資格 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R) DCプランナー2級

この記事のサマリ

  • 遺族の負担をできる限り減らすためにも「終活」が必要
  • 終活の手段には「不用品の処分」「財産のリストアップ」「住居の処分方法を決める」などがある
  • 遺産分割を明確にするにはエンディングノートに加え「公正証書遺言」を作成する

終活を進めることで自分の死後に遺族が行う手続きが簡単になったり、遺言書に書けない自分の希望を家族に知ってもらったりすることができます。

一方で、終活をしておかないと残された家族が遺品整理や遺産分割を進められない可能性もあります。

本記事ではなぜ相続のために終活をする必要があるのか、終活を進めないとどんな不利益があるのか、具体的な終活のポイントについてご紹介しましょう。

相続のために終活をしておくべき理由

理由

人生の終わりに関する活動を意味する「終活」。

終活の進め方は人それぞれですが、「身の回りの整理・処分方法や、亡くなった後の財産の分け方などを決めて、エンディングノートに自分の希望を記録する」などの方法があります。

終活をしないまま亡くなると財産の分け方をめぐって相続人同士の争いに発展することもあるほか、故人の私物の処分やデジタル遺産の解約が上手く進められず遺族にかかる負担が大きくなるでしょう。

遺族の負担をできる限り少なくしてあげるためにも生前の終活を通じて財産の行先・処分方法などをしっかり決めておくことが求められます。

終活していないと起こり得る遺産トラブルとは

相続問題

もし相続の前に終活を進めていない場合、どのようなトラブルが考えられるでしょうか。

相続財産の種類も印鑑の場所も分からない

長年生きていると金融機関の口座を複数持ったり、証券会社で口座を開設したりすることもあります。本人しか知らないサブスクリプション契約などをしていることもあるでしょう。

このような情報は、本人以外に全てを把握することは難しいものです。

本人が何も情報を残さないまま亡くなると、パスワードや印鑑の場所などが分からず、売却や解約手続きに大変な苦労をすることが考えられます。

不動産は現金のように上手く分けられない

相続人が複数いる場合、困るのが不動産の相続です。

遺産を平等に分割したくても、自宅などの不動産は現金のように分割できません。

平等に分けるには売却して得た現金を分割することになりますが、亡くなった親と同居していた子が住処を失う恐れもあるでしょう。

終活をする身としては同居する子がいる場合、そこに将来も住み続けるという前提で遺言書を作成する必要があります。

自宅は同居する子に相続し、他の子には自宅以外の財産で相続するといった方向性を定め、エンディングノートと遺言に残すことでトラブルを未然に防ぐことができます。

寄与分と特別受益の件が不明確

兄弟姉妹が相続する場合、平等に財産を分けることに反対意見が出る場合があります。

3人兄弟のうち1人が両親の介護をしていた場合、遺産を平等に分けると不平等になるためです。

一方、生前贈与を既にもらっている人がいる場合は、「その人はすでにもらった分を差し引いてくれないと不公平」ということになります。

  • 寄与分:亡くなった親の家業を手伝った、療養介護をずっと続けていたなど
  • 特別受益:一部の相続人だけが亡くなった人(被相続人)から生前贈与や遺贈、死因贈与で受け取った利益

事前に家族間で寄与分や特別受益を加味して相続割合について話し合いをしておき、「争続」に発展することを未然に防ぐことが重要です。

相続で揉めないための終活5つのポイント

リスト

ここからは、相続に向けて進めておきたい終活のポイントをご紹介します。

身の回り品やデジタル遺産を整理する

終活で進めておきたいこととして、身の回りの不要なものを整理することが挙げられます。

物理的な量と心理的な面で、遺品の整理に辛さを覚える遺族は少なくありません

不要なものを処分すれば、自分の死後に遺族が行う手間を大幅に減らすことができます。

身の回り品だけでなく「デジタル遺産」も同様です。

ネット銀行やネット証券で保有している株式、有価証券、電子マネー、サブスクリプションサービスの定額料金など遺族にとっては所在を把握することが難しいものです。

遺産相続が済んだあとでデジタル遺産が見つかって遺産分割がやり直しになることもあります。

使わないサービスは解約して、デジタル遺産の頭数を減らしておきましょう。

解約しないデジタル遺産についてはエンディングノートにデジタル遺産の種類やID、パスワードを記録しておくと遺産整理が簡単に進みます。

相続財産をリストアップしておく

終活では自分が保有する財産をリストアップし、相続させるか処分・売却するかをはっきりさせることも必要です。

現金の預貯金はもちろん株式や債券と言った有価証券や生命保険、ローン等の借金も相続の対象に含まれます。

エンディングノートに、それぞれのログインID/パスワード、財産の種類、口座番号、取引先、担当者の名前と連絡先を記載しておきましょう。

エンディングノートの基本的な情報や遺言書との使い分け方は、以下も参考にしてみてください。

スーツ姿の男女 エンディングノートに法的効力はない?遺言書との上手な使い分け

住宅の相続をどうするか考える

前述のとおり、相続時に遺族で争うことになる原因の1つに「不動産」の存在があります。

  1. どの土地・建物を誰に相続させるか、あるいか売却するか希望を明確にする
  2. 推定相続人が家の相続を希望しているかを明確にする
  3. 土地の境界線を明確に
  4. 相続登記に必要な書類を用意しておく

築年数が長く資産価値が低い家や郊外にある住宅は相続人にとって負担になってしまうでしょう。

土地の「境界線」も、同様に気を付けるべき項目です。隣地との境界があいまいのままだと、土地の活用・売却が難しくなって相続人の負担が重くなります。

また、2024年4月から義務化される相続登記に向けて必要書類の準備も必要です。

不動産を取得した相続人に対し、取得した日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務になり、正当な理由がなく申請をしなかった場合は過料の対象になってしまいます。

参考 知っていますか?相続登記の申請義務化について宇都宮地方法務局

遺言書を作成する

自身が亡くなったあとの財産の分割方法については、法的な効力を持つ「遺言書」を作成しましょう。

原則は遺言書に書いた内容の通りに財産が分配されるため、自分があげたいと思う人に財産が渡ります。故人の最後の意思ということもあり周囲の納得も得やすいでしょう。

遺言書が無いと配偶者や子どもの法定相続人だけで遺産分割協議をして決めることになりますが、協議が成立するには全員の合意が必要です。

たとえば兄弟間で1人が分配の割合に納得しないために裁判所に持ち込まれるケースもあります。

遺言書についての基本的な概要については、以下の記事も併せてご覧ください。

白い花と開いたノート 終活ノート(エンディングノート)を気軽に始めるおすすめの書き方を紹介 終活 有名人に学ぶ「終活」の重要性|おすすめエンディングノートを解説 結婚指輪 夫婦合作でエンディングノートを作成|おすすめのタイプと書き方・注意点

相続の金額によっては「相続税」が発生!節税の方法を紹介

節税

相続財産から借金や葬祭費用を差し引いた後の金額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えると相続税の申告が必要です。

参考 Q&A ~身近な税について調べる~財務省

そこで、相続税の非課税枠に収まるように節税を進めることで、遺族の納税負担をなくすことができます。

生命保険に加入する

生命保険に加入していて死亡保険金が支払われる場合、みなし相続財産として「500万円×法定相続人の数」が非課税になります。

死亡保険金は遺産分割協議で相続人全員の合意を得る必要もなく、相続させたい人を受取人にすることで希望通りの相続ができます。

現金から不動産に資産を移す

現金で資産を持っている場合、不動産を購入することで節税に繋がります。

建物は固定資産税評価額、土地が路線価又倍率方式により、時価の7~8割の価値で計算されます。

現金で持つよりも相続税の対象になる価額を押さえられるでしょう。

さらに、要件を満たしたうえで「小規模宅地等の特例」が適用されると評価額が50~80%も減額されます。

生前贈与をする

相続財産を110万円の範囲内で生前贈与するのも、代表的な相続対策です。

贈与税の暦年課税方式における年間基礎控除額110万円以内で財産を譲ることで相続財産を減らし、納税額を抑えることができます。

相続の終活で気を付けたい注意ポイント

公正証書

最後に、終活を進める際に気を付けておきたい注意点を紹介します。

終活の内容は家族とオープンに話し合う

終活の話は「縁起でもない」と敬遠する人も少なくありません。

しかし、事前にしっかり話し合っておかないと生前に作ったエンディングノートが見つけられず、希望通りの葬儀や財産分与が実現しないことが考えられます。

また、本人が良かれと思って考えている財産の分配方法や入るお墓について、家族から反対意見が出ることもあるかもしれません。

終活の方向性が一方的なものにならないためにも、家族と良く話し合って進めることが大事です。

遺言を作る際は必ず「公正証書遺言」で

遺言には「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」があります。

自筆証書遺言は自分の手で遺言内容を書く方法で、思いついたときに作成できて費用もかかりません。ただ、法律で定められた要件を満たしていないと無効になる点がネックです。

遺言を確実に実行してほしいなら「公正証書遺言」をおすすめします。

公証役場で公証人と証人2人立ち会いの元で所定の方法に従って作成・封印される方法で、書式の不備などで無効になることが少ないです。

まとめ

遺産相続の際、終活を進めておかないと「どんな財産があるのか」「誰に何の財産を分けるのか」が不明確になり、相続人同士で争いになる可能性もあります。

そのような事態を防ぐためにも、事前にエンディングノートや遺言書を作成して遺産分割の方法を明記しておきましょう。

財産の種類やID・パスワード等を残せば、遺産整理もスムーズに進められるでしょう。


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