- エンディングノートの代表的な保管場所は仏壇や本棚、引き出し等
- クラウド上に保管されるエンディングノートもある
- 適切な保管場所を選ばないと失敗やトラブルの原因になる
- エンディングノートを安全かつ有効に保管するための対策は5つ
エンディングノートを書くために面倒な調べごとや執筆作業を頑張って、やっと書き上げた達成感の後で、多くの人がこう思います。
「このエンディングノート、どこに置こう?」
エンディングノートは適当な場所に放置しておくと、万が一のときに効果を発揮できません。
そのため「何を書くか」と同じくらい「どこに保管するか」がエンディングノートでは重要なのです。
今回はエンディングノートの保管場所を決める際のおすすめ対策を5つご紹介します。
エンディングノート保管場所の条件
エンディングノートの保管場所について悩む方が多いのは、エンディングノートが以下2つの条件を満たさなければいけないからです。
- いざというときに家族や第三者がすぐに見つけられる場所
- 勝手に内容を覗き込まれない・盗難されない場所
すぐ見つけやすい場所に保管すると生前に誰かが断りもなくエンディングノートを読み、記載された内容に関し横やりを入れてくる可能性があります。
かといって誰にもわからない場所に保管したのでは、エンディングノートの存在自体が死後にもわからず終わってしまうかもしれません。
この2つを同時に満たす保管場所を探すのはなかなか難しく、多くの方がエンディングノートの保管場所をどうしようか悩んでいます。
皆はどこに保管している?代表的な保管場所
これまでにエンディングノートを書いた経験がある方はどこを保管場所に選んでいるのでしょうか。
市販ノートなどアナログでエンディングノートを作成した場合と、パソコンやスマートフォンでデジタルのエンディングノートを作成した場合に分けて確認しましょう。
アナログのエンディングノートの場合
紙に書かれたエンディングノートの代表的な保管場所は以下のとおりです。
- 仏壇
- 本棚
- 食器棚
- 机・サイドテーブルの引き出し
- 金庫
デジタルのエンディングノートの場合
パソコンやスマートフォンで作ったエンディングノートは、入力した端末にそのまま保存するか、アプリ等のクラウドサービスを利用してインターネット上に保管されています。
入力データを紙に印刷したときの保管場所はアナログのエンディングノートと同様です。
エンディングノート保管場所の失敗例
不用意な場所にエンディングノートを保管したがために思わぬ失敗してしまうケースがあります。
ここからはエンディングノートの保管場所にまつわる失敗例をいくつか見てみましょう。
葬儀が終わってから発見された
書き上げたエンディングノートを大事そうに自宅の金庫に保管する方がいますが、その存在を誰にも明かしていないと、葬儀・埋葬終了後に発見される可能性があります。
多くの場合、遺族が金庫を開けるのは葬儀や49日法要が一段落した後、相続のために財産確認をするタイミングです。
エンディングノートに終末期の希望や葬儀の種類、埋葬方法の指示などを書き残していても、遺族が知ったときにはすでに遅かったとの事態にもなりかねません。
生前に見つかり家庭争議になった
今度は逆に、家族の誰もが見られる場所にエンディングノートを保管していたらどうなるでしょうか。
誰が読んでも問題ない内容だけを書き記しているエンディングノートであれば良いですが、そうとばかりは限りません。
ヘソクリ用に秘密の銀行座を保有しているのがエンディングノートによって家族の目に留まり、家庭争議の元となるなどの可能性があります。
盗難にあった
エンディングノートには預貯金や金融商品などの財産情報を各項目があります。
その際に通帳や印鑑の在りかやパスワードも記載してしまうと、エンディングノートを読んだ第三者が悪用してしまうかもしれません。
タンスや机の引き出し、仏壇は貴重品の置き場所としても活用される場所なため、空き巣が最初にチェックするので要注意です。
紛失した
普段持ち歩きをしないエンディングノートは紛失の危険はなさそうですが、認知症にかかった方はエンディングノートの保管場所も思い出せない可能性があります。
「物忘れ」による紛失は、決してありえない話ではありません。
友人宅を保管場所にして失敗
気の知れた友人同士でエンディングノートを交換し、互助組織のようにして保管しあっているケースが存在します。
この場合、どちらかが死去あるいは認知症にかかると、もう一方のエンディングノートが取り返せなくなる事態が考えられます。
また友人から秘密が漏れる可能性も否定できず、友人宅での保管は決して安全ではありません。
エンディングノート保管5つのおすすめ対策
上記のような失敗をしないためにも、エンディングノートの保管場所は慎重に設定しましょう。
また、エンディングノートをどの場所に保管したとしても、失敗のリスクを下げられる対策が存在します。
以下で紹介するエンディングノート保管にまつわる5つのおすすめ対策から、書き上げたエンディングノートを安全かつ有効にする術を学びましょう。
保管場所をカードに記し携帯する
エンディングノートの保管場所を小さなカードやメモに書いて、いつも持ち歩くお財布に入れて携帯すると便利です。
外出先などで突然倒れて身元がわからないときや、死亡後に家族が所持品を確認する際にもすぐ見つけられます。
横浜市磯子区などいくつかの自治体では、在住・在勤者に向けてエンディングノートの携帯カードを配布しています。お住いの自治体で同様のサービスを行っていないか確認してみましょう。
参考
エンディングノート保管場所周知へ 磯子区が携帯用カード神奈川新聞
エンディングノート保管サービスを利用
信頼できる団体等にエンディングノートを預かってもらうのも一案です。
友人・知人などに預けた場合には上記の説明のような心配がありますが、個人ではなく企業や団体であれば紛失や漏洩等のリスクを下げることができます。
民間企業やNPO法人の中には、エンディングノート保管サービスを提供しているところがあります。
参考
当センターのお預かりサービスとは特定非営利活動法人エンディングライフサポートセンター
同居家族のいない「おひとりさま」には特におすすめです。
複数のエンディングノートを作る
財産情報などセキュリティに配慮すべき内容と、比較的誰が読んでも問題ない内容とで分けて、複数のエンディングノートを作成するのもおすすめです。
市販品のエンディングノートでは緊急時に活用する「赤ノート」、家族への伝達事項を書く「緑ノート」、財産情報など機密事項を書く「黄ノート」の3冊がセットになっているオフィス・シバタ「アクティブノート」もおすすめできます。
またパソコンソフトでエンディングノートを作成し、印刷した紙を複数個所に分散して保管しても良いでしょう。
遺言書もあわせて作成
もし家族がエンディングノートを見つけられなくても、遺言書があれば財産相続については確実に希望が伝えられます。
またエンディングノートに記載しておくのは遺言書の存在だけにとどめておけば、エンディングノートが誰かに見られても内容までは知られずにすみます。
2020年7月からは自筆証書遺言保管制度がスタートしましたので、遺言書を法務局で保管しておくのもおすすめの方法です。
そもそもエンディングノートには法的効力がないため、こと相続に関してはエンディングノートだけでは不十分になるかもしれません。
適切な保管場所があるか否かに関わらず遺言書の作成は検討してみましょう。
一番の対策は家族とのコミュニケーション
エンディングノートの保管場所にまつわるトラブルを避けるためにもっとも適切な対策は、常日頃から家族とコミュニケーションを図っておくことです。
メモリアルアートの大野屋が行ったアンケートでは、すでに終活に取り組んでいる方のうち65%もの方が家族に終活内容を伝えていないという回答結果が出ました。
画像引用:メモリアルアートの大野屋|メモリアルアートの大野屋が「終活」の意識調査を実施
エンディングノートの保管場所にまつわる多くのトラブルは、日頃から家族とコミュニケーションをとり、終活についてもフランクに話し合える環境にあれば回避できると考えられます。
エンディングノートを作成した事実と保管場所をあらかじめ伝えておけば、いざというときに家族が落ち着いてエンディングノートを確認できます。
またエンディングノートの作成時から家族と相談していれば、記載された内容が元で揉める心配も少ないでしょう。
家族への伝え方
死期に関する話を「縁起でもない」と感じる方はまだまだ多いので、話の持ち掛けかたやタイミングは慎重に見極めましょう。
ですが今は2020年初頭から発生した新型コロナウィルス感染症の流行により、世界中が「もしかすると自分も/家族も」と考えざるを得ない状況下です。
コロナ禍を機に親や子、配偶者などの家族と生と死についてしっかり話し合うのも良いでしょう。
以下の記事ではカードで遊びながらエンディングプランを考えるゲームなども紹介していますので、家族に終活の話を持ち掛ける際の参考にしてください。
まとめ
今回はエンディングノートの保管場所について解説しました。
わざわざ書き上げたエンディングノートも、適切に保管されなければ意味がありません。
おすすめした5つの対策を参考に、エンディングノートに書いた希望が実行されるように準備しておきましょう。