- 要介護2は要介護1に比べて手助けや見守りをするシーンが増える
- 要介護2の要介護認定基準時間は1日あたり50分以上70分未満
- 要介護2は月額197,050円までの費用が介護保険でまかなえる
- 要介護2になると金銭管理など自己管理が難しくなるため事件・事故に注意
「要介護2」とは、要介護者の介護レベルが「要介護1」よりも進んだ状態をあらわします。
要介護1から要介護2になった高齢者は、要介護1の状態に比べてどのような点が衰えてきているのでしょうか。
また、家族が要介護2だと認定されたときには、どう対処してこれからの介護生活を乗り切って行けば良いのでしょうか。
今回は要介護2と認定された人の心身の状態や、要介護1など他との違い、要介護2になった人が受けられる介護保険サービスについて解説します。
要介護2とはどういう状態か
要介護1とは要介護の認定レベル1~5の中で、2番目に介護の必要性が低い状態です。
介護1のときよりもできないことが増え、日常生活の中でも介助を必要とするシーンが多くなってきます。
一般的に要介護2に認定された方は、以下のような状態である場合が多いです。
食事 | ほとんど自分でできる |
排泄 | 見守りまたは一部介助(オムツの可能性あり) |
入浴 | 見守りまたは一部介助が必要 |
歩行・立ち上がり | 常に支えが必要 |
身づくろい | 部分的に介助が必要 |
掃除・洗濯 | 難しい |
調理 | 難しい |
買い物・金銭管理 | 難しい |
要介護2の原因第1位は「認知症」
厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」による要介護2の原因は、認知症がもっとも多い18.7%です。
これは要介護1も同じ順位ですが、割合は要介護1の29.8%から要介護2では18.7%と、10%以上減少しています。
第2位の脳血管疾患(脳卒中)17.8%とほとんど変わりありません。
画像引用:厚生労働省|2019年国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況
同居家族の半数は「必要に応じ」介護
2019年に要介護2の高齢者等を介護していた同居介護者のおよそ半数(50.2%)は、日常生活において介護している時間は「必要なときに手をかす程度」と答えました。
この割合は要介護1の61.2%に比べて、11%減少しています。
介護している時間を「2~3時間程度」「半日程度」「ほとんど終日」と答えた方の割合は要介護1よりも増加し、要介護度が上がるにつれて同居介護者の負担が増えていることがわかります。
画像引用:厚生労働省|2019年国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況
要介護2と他との違い
要介護2と、その前後の要介護1・要介護3との違いは以下のとおりです。
要介護1:食事や排泄など身の回りのことはできるため、要介護2よりも自立した状態。杖や手すりがあれば自力で移動でき、ひとり暮らしも可能
↑
要介護2
↓
要介護3:自力での移動が難しく、生活全般に介助が必要なため、要介護2よりも介護の必要性が高い
要介護2の認定基準
介護度を決定する要介護認定の審査では、対象者が1日あたりどのくらいの時間、介助を必要とするかを推測して介護度を決めています。この時間を「要介護認定基準時間」と呼びます。
要介護2の方の要介護認定基準時間は、1日あたり50分以上70分未満です。
運動能力に問題がない認知症高齢者の場合には、実際に介助する時間だけでなく認知症の人を見守るための「認知症加算」も審査の際にプラスされます。
日本で要介護2に認定されている人の数
2023年1月時点で、日本で要介護2に認定されて介護保険サービスを受けている方の数は1,100.3千人です。
うち956.1千人は自宅や家族の家で生活しながら居宅サービスを受け、235.2千人はグループホームなどの地域密着型サービス、82.1千人は介護施設に入所して施設サービスを受けています。
要介護2になるとひとり暮らしが難しくなるため、要介護1のときよりも施設サービスを受けている割合が多くなっています。
要介護2で受けられる介護サービス
要介護2に認定されると、以下の介護保険サービスが受けられるようになります。
- 居宅サービス
- 地域密着型サービス
- 施設サービス
受けられる介護サービスにおいては、要介護1との違いはありません。要介護3と比べると、要介護2では一部受けられないサービスが存在します。
参考
公表されている介護サービスについて厚生労働省 介護サービス情報公表システム
居宅サービス
自宅で生活する要介護2の方は、以下の介護サービスが利用できます。
- 訪問介護(ホームヘルプ)
- 訪問入浴
- 通所介護(デイサービス)
- 訪問看護
- 訪問リハビリ
- 通所リハビリ
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 短期入所療養介護
施設サービス
要介護2の方は以下の公営介護施設に入所申し込みができます。
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
地域密着型サービス
地域密着型サービスとは自宅で暮らしたい高齢者や、介護施設に入所するとしても住み慣れた地域を離れたくない高齢者を支援するために、地域住民に限定して介護を提供するサービスです。
- 地域密着型通所介護
- 療養通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
要介護2の費用
要介護2の方に認められている介護保険の単位は19,705単位です。
介護サービスは、サービス内容により単位が定められており、介護サービス費用は提供サービスの単位に10円をかけて請求されます。
介護保険を利用すると、介護サービスが原則1割負担で受けられますので、要介護2の方は19,705円をそれぞれの介護サービス事業者に支払います。
《介護サービスごとの単位の例》
20分未満の身体介護(訪問介護・日中帯) | 167単位 |
20分未満の身体介護(訪問介護・夜間早朝) | 209単位 |
20分以上45分未満の生活援助(訪問介護・日中帯) | 183単位 |
20分以上45分未満の生活援助(訪問介護・夜間早朝) | 229単位 |
1回あたりの通所介護利用(6時間以上7時間未満・要介護2の場合) | 686単位 |
1日あたりのユニット型介護福祉施設サービス費 | 652単位 |
介護サービスの費用が介護保険の支給限度額を超えたときには、超過分の費用は利用者が全額負担します。
家族が要介護2に認定されたら
自分の家族が要介護2になったら、家族はその人が安心して生活ができるように介護の手筈を整える必要があります。
ここからは要介護2に認定された人の家族ができることを見ていきましょう。
自宅に住み続けたい人
要介護2の高齢者を在宅介護する家族がもっとも大変なことは、要介護者の入浴のサポートかもしれません。
入浴時の事故を避けるためにも、家族が要介護2になったらデイサービスを積極的に活用し、デイサービスでお風呂に入ってもらいましょう。
デイサービスに出かけている間には家族が一息つけるため、介護者家族のストレス軽減にも有効です。
また介護者家族のストレス軽減のためには、介護施設に短期間泊まるショートステイを利用する方法もあります。いざというときにすぐ利用できるよう、早いうちから情報を集めておいてください。
デイサービスやショートステイについては以下の記事が参考になります。
施設に入所したい人
要介護2になると、ひとり暮らしはかなり困難になります。
家族が同居できない場合には、安全のためにも介護施設への入所がおすすめです。
介護施設に入所したときにかかる費用については、以下の記事を参考にしてください。
自己管理が難しい要介護2は十分な安全対策を
要介護1から要介護2になると、できることは急激に少なくなります。
金銭管理や火の元の管理も難しくなり、高齢者詐欺や火災など事件・事故にあう危険性も増します。
家族や身近な人が要介護2に認定されたときには、まず何よりも安全対策を万全にしてください。
要介護2になっても安全に生活できるよう、周囲の人が目を配りましょう。
まとめ
今回は「要介護2」について解説しました。
要介護2は要介護1に比べて介護度は上がりますが、24時間介護を必要とする要介護3にならないためには、いま残されている機能をできるだけ維持し続ける努力が必要です。
積極的なリハビリなど、機能維持に努めましょう。