- 耳が遠い高齢者は会話の内容が聞き取れずイライラする
- 親と子がイライラしないためには子供側が聞きやすい話し方をする必要がある
- 高齢の親がイライラしない接し方・ダメな接し方を解説
高齢になった親と会話していると、相手がいつもイライラしていて自分もイライラしたような経験はないでしょうか。
こちらの話も通じず、不機嫌そうに会話を打ち切られてしまった不快な思いをした人もいるかもしれませんね。
高齢者は感情の抑制が効かないとはよく言われる話ですが、もしかしたら親がイライラしている原因は耳が遠くなって聞こえづらいせいかもしれないのです。
今回は耳が遠い高齢者への正しい接し方について解説します。家庭内の会話で双方がイライラしてしまう親子はぜひ参考にしてください。
耳が遠い高齢者は人の話が聞き取りにくい
一般的に75歳以上の後期高齢者のおよそ半数以上は、耳が遠くなり日常生活に支障をきたしていると考えられます。
会話をするときにイライラしてしまう理由は、耳が遠いために話の内容が理解できず苛立ってしまうせいかもしれません。
以下の項目は耳が遠い人によく見られる仕草です。親がいつもイライラしているようだと感じた人は、日常生活で以下のような様子がないかをチェックしてみてください。
- テレビの音量が大きくなった
- 話し声が大きくなった
- 電話の着信やインターフォンのチャイムに気づかない
- 後ろから呼び掛けても振り向かない
- 路上で車やバイクをよけない(背後の音が聞こえない)
高齢者の耳が遠くなる原因
どうして高齢になると耳が遠い人が増えてくるのでしょうか。
高齢者の耳が遠くなる原因のほとんどは、加齢性難聴という老化現象です。年齢を重ねると目の機能が衰えて老眼になるように、耳の機能も衰えて耳が遠くなります。
また加齢性難聴以外の原因によっても耳が遠くなります。高齢者の耳が遠くなる原因について詳しくは以下の記事をご覧ください。
親も子もイライラ…悪循環を断ち切る方法とは
耳が遠くなるのはあたりまえの老化現象だから仕方がない…とはいっても、聞こえなければ本人もイライラしますし、生活にも支障をきたします。
耳が遠い人の周囲にいる人も、円滑にコミュニケーションがとれずイライラしてしまうでしょう。
だからと言って双方のイライラをぶつけあえばケンカになりますし、楽しい会話のはずがストレスになってお互いの距離が遠ざかり、さらにイライラが高まります。
その悪循環を断ち切るためには、耳が遠い人に理解できる接し方や話し方をしなければいけません。
耳が遠いために他人の言っていることが聞き取れず、理解できないためイライラしてしまうのですから、きちんと話が伝わればイライラにはならないわけです。
耳が遠い親がイライラしない接し方
ここからは耳が遠い親がイライラしない接し方を説明します。
正しい接し方を学び、家族間の円滑なコミュニケーションを図りましょう。
注意を惹きつけてから話しかける
耳が遠い人に限らず、人はぼんやりしているときにいきなり話しかけられるとびっくりして話の内容が頭に入ってこないことがよくあります。
さらに耳が遠い高齢者の場合、話しかけられた驚きにとまどっている間にも会話を続けられると内容が理解できずに大きなストレスになります。
話しかけるときにはまず手を振ったり肩を叩くなどして、これから話をするという合図を送ってあげると会話に集中できます。
正面で顔を見ながら会話する
耳が遠い人は、背後や横からの音が聞こえづらいことがあります。
耳が遠い人と会話するときには、正面から話をするようにしましょう。
また耳が遠いからといって、耳元に口を寄せて大声で話しても逆効果です。人は会話しているときに視覚からも多くの情報を得ているため、表情や口の動きが相手に見えていた方が話を理解しやすくなります。
ゆっくり・はっきりと話す
親と話すときにはゆっくりと、はっきりした口調で話すように心がけましょう。
加齢性難聴では高音から聞きとりづらくなりますので、できるだけ低い声で話した方がよく伝わります。
具体的には以下のようなポイントを押さえた話し方にしてください。
《高齢の親と話すときのポイント》
・音節ごとに区切って話す→「そろそろ夕飯にしましょう」は「そ・ろ・そ・ろ・ゆ・う・は・ん・に…」ではなく「そろそろ・夕飯に・しましょう」と話します。
・子音を意識して話す→特にカ行・サ行・タ行・パ行は意識して区別します。
聞き間違いを責めない
高齢の親と話していて相手が聞き間違えても、特に支障がなければいちいち指摘したり間違いを正す必要はありません。
聞こえなくてイライラしているのは耳が遠い親自身ですので、たび重なる指摘は親のプライドを傷つけ対話する気持ちをそいでしまいます。
話が通じずお互いのイライラが高まりそうなときには、会話をいったん中断して小休止をとり、気持ちを落ち着かせてから仕切り直しをしてください。
耳が遠い親がイライラする接し方
以下からは耳が遠い高齢者にやってはいけない接し方を説明します。
大声で叫ぶ
小さな声では聞きとりづらいだろうと、大声で叫ぶように高齢の親と会話している人がいますが、これはかえって逆効果です。
加齢性難聴は音の大きさよりも「音の幅」が聞きとりづらくなる性質があるため、いくら大声で叫んでも聞きとりやすさは変わりません。むしろ大きすぎる音は加齢性難聴の人にとっては過度に不快な音として認識されるため、かえって聞きづらくイライラの元になります。
早口で話す
高齢者は耳の機能だけでなく、脳の機能も衰えます。
耳から入った音の情報を脳で処理するスピードも遅くなると考えられるため、早口でまくしたてて一度に多くの情報を処理しなければいけなくなると、処理が追いつかずイライラします。
また早口で話すと、どうしても声色は高くなりがちです。加齢性難聴は高音が聞きづらくなるため、さらに早口での話が伝わりにくくなります。
会話しない
高齢の親と話すときの良くない対応は「会話自体をやめてしまう」ことです。
話しているとお互いイライラするから…とあきらめてしまうと、親は他者とのコミュニケーションの機会を奪われてしまいます。
現役で仕事や社会活動にいそしんでいる子世代と違い、高齢の親世代は会話の機会そのものが減少しがちです。子供とのコミュニケーションが不足すると高齢者の孤独につながり、生きる意欲が減退して老人性ウツや認知症の引き金にもなりかねません。
高齢者の意欲低下は以下の記事でも詳しく説明しています。耳が遠いことが原因で高齢者の意欲低下を引き起こさないよう注意してください。
補聴器や便利グッズの活用もおすすめ
耳が遠い人は補聴器を装用すれば、周囲の音がはっきりと聞こえるようになりイライラが解消できます。
補聴器を付けるほどではないと専門医から診断された人や、何らかの理由で補聴器を付けたくないという人は集音機や筆談ボードなどの便利グッズの使用もおすすめです。
新型コロナウィルス感染症の感染リスクが高い高齢者に対しては、マスクを装着したまま会話をする機会も多いでしょう。上記で説明したような話し方や接し方が難しい場合には、市販されているさまざまな便利グッズを活用してコミュニケーションを図ってください。
離れて暮らしている親の耳が遠いときには
親と同居していたり近くに住んでいる場合は上記のような接し方は可能ですが、遠方の親と離れて暮らしている子供には電話しか日常的に会話する手段がありません。
上記で説明したような接し方を心がけたいと思っても、電話では限界があります。かといってメールやSNSは高齢の親にとっては使い方が難しいため、コミュニケーションを図るのがなかなか大変です。
離れて暮らす家族と円滑なコミュニケーションを図りたいときには、かんたんコミュニケーションツール「ケアびー」をおすすめします。
ケアびーとは高齢者とビデオ通話ができるコミュニケーションツールです。設定済のタブレットをコンセントに刺すだけで設置でき、高齢者側の設定は使用時も含めいっさい不要です。
耳が遠い高齢者に対しては字幕機能が用意されています。オンラインで顔を見ながら会話し、必要な情報は文字で補完できるため言いたいことが確実に伝わります。
詳細を知りたい方は以下のページを確認の上、お問い合わせください。
参考
かんたんコミュニケーションツール「ケアびー」ケアびーサービス紹介
まとめ
今回は耳が遠い親のイライラについて解説しました。
耳が遠いと会話もままならず、ついイライラしがちです。接し方を工夫して親と子のお互いのイライラを解消しましょう。