- 70歳の高齢者はゴールド・青(一般)の免許有効期間が4年間に短縮される
- 71歳以上の高齢者はゴールド・青・緑すべての有効期間が同一の3年間になる
- 70歳を過ぎると免許更新時に高齢者講習や認知機能検査が必要
- 高齢ドライバーは高齢者マークを表示して安全に運転しよう
車を運転するための運転免許は、高齢者になると更新タイミングが変わります。
さらに、免許更新時に検査や講習も追加されます。
具体的には何歳から、何年ごとの更新になるのでしょうか。また、ゴールドなど免許証の色によって表される違反歴によっても変わるのでしょうか。
今回は高齢者の免許更新について、年齢と更新する人の違反歴ごとの違いを解説します。
70歳を過ぎると運転免許の有効期限が変わる
まずは何歳から免許の有効期限が変わるのかを確認しましょう。
運転免許の更新期限は道路交通法の定めにより、更新する年の誕生日40日前の日を起算日として、免許を取得してからの期間や違反歴などによる区分をもとに決定されます。
有効期間が変わる年齢は70歳ですので、具体的には前回の免許更新による更新期間満了日の直前の誕生日に71歳を迎える人から、更新後の有効期限が変更されることになります。
免許更新は何年ごと?|70歳未満の有効期間
上記の説明では、免許の有効期間は年齢以外にも、免許を取得してからの期間や違反歴などによる区分をもとに決定されると説明しました。
その区分は免許証の帯色でも一部確認することができます。
基本的な免許の有効期間を確認しましょう。
ゴールド(優良運転者)
免許を取得してから5年以上が経ち、なおかつ前回の免許更新以降に違反やケガがある事故を起こしていない方は優良運転者として扱われ、免許証の帯色がゴールドになります。
優良運転者の免許有効期間は5年間です。
青(一般運転者)
免許を取得してから5年以上が経ち、前回の免許更新以降に軽微な違反(違反点数3点以下)が1回だけの方は一般運転者として扱われます。
免許証の帯色は青、免許有効期間は通常5年間です。
青(違反運転者)
違反が複数回あるか、またはケガのある事故を起こしてしまった方が対象で、帯の色は青、有効期間は3年です。
前回の免許更新以降に違反を複数回したか、あるいはケガのある事故を起こしてしまった方は違反運転者として扱われます。
免許証の帯色は一般運転者と同じ青ですが、免許有効期間は3年間に短縮されます。
青(初回更新者)
初めての免許更新、あるいは継続して免許を受けている期間が5年未満の方は初回更新者として扱われます。このとき、違反や事故の有無が違反運転者に該当する場合には初回更新者ではなく違反運転者になります。
免許証の帯色は青、有効期間は3年です。
緑(新規取得者)
普通自動車の運転免許を取得できる方は満18歳からと決まっていますが、上限については定められていないため、高齢になってから初めて免許を取得する方もいないとは限りません。
初めて免許を取得した方は新規取得者として扱われ、免許証の帯色が緑になります。有効期間は違反運転者・初回更新者と同じく3年です。
免許更新時70歳の人の有効期間
70歳を超えてから免許更新をする方(満了日の直前の誕生日で71歳を迎える方)の更新後の有効期間は、免許証の帯色がゴールドの優良運転者と、免許証の帯色が青の方のうち一般運転者だけ4年間に短縮されます。
免許証の帯色が青の違反運転者と初回更新者、帯色が緑の新規取得者は3年間のまま変わりません。
免許更新時71歳以上の人の有効期間
71歳を超えてから免許更新をする方(満了日の直前の誕生日で72歳以上になる方)の更新後の有効期間は、免許証の帯色がゴールドの優良運転者・免許証の帯色が青の方のうち一般運転者が3年間に変わります。
違反運転者・初回更新者・新規取得者は3年間のままです。
つまり71歳を超えてから免許を更新すると、たとえゴールド免許であっても違反者・初心者でも、すべてのドライバーが同じ有効期間になるということです。
免許更新時に70歳を超えたら高齢者講習を受講
70歳以上の高齢者の免許更新では、更新後の有効期間の変更以外にも変更点があります。
免許の更新期間満了日に70歳を超えている方は、免許を更新する前に教習所等で高齢者講習を受けなければいけません。
免許更新満了日は誕生日の1ヶ月後ですので、70歳の誕生日より前に免許を更新するとしても受講が必要になります。
高齢者講習については以下の記事で詳しく解説しています。
免許更新時に75歳超えたら講習+認知機能検査
免許の更新期間満了日に75歳を超えている方は、高齢者講習以外にも認知機能検査を受ける必要があります。
認知機能検査とは免許更新者に適切な認知機能があるか、認知症にかかっていないかを確かめるための検査です。
認知機能検査では以下2つのテストを実施します。
手がかり再生 | イラストを記憶し、別の課題を行った後にイラストを思い出す(ヒントなし・ヒントあり)テスト |
時間の見当識 | 検査時における年月日・曜日・時間を回答させ、時間の感覚を確認するテスト |
以前には上記のテスト以外にもうひとつ、時計の絵を描かせる「時計描画」のテストがありましたが、時計描画のテストは2022年の道路交通法改正により廃止されました。
認知機能検査結果により免許失効の可能性も
認知機能検査で受検者に認知機能低下の恐れありと判定されたときには、専門医による臨時適性検査を受けるか、かかりつけ医の診断書を提出するなどしなければいけません。
臨時適性検査や医師の診断により、受験者が認知症にかかっていて安全な車の走行ができないと診断されたときには免許失効や免許停止となります。
一定の違反歴があると運転技能検査もプラス
75歳以上で一定の違反歴がある方は、さらに運転技能検査も受けなければいけません。
運転技能検査とは、運転に必要な身体機能が備わっているかを実車走行しながら確認するテストです。
運転技能検査の受検が必要となる「一定の違反」とは以下の11種類です。
- 信号無視
- 通行区分違反
- 通行帯違反等
- 速度超過
- 横断等禁止違反
- 踏切不停止等・遮断踏切立入り
- 交差点右左折方法違反等
- 交差点安全進行義務違反等
- 横断歩行者等妨害等
- 安全運転義務違反
- 携帯電話使用等
運転技能検査では以下の課題走行を行います。100点満点中、大型二種や中型二種・普通二種の免許所持者は80点、それ以外の方は70点が合格点です。
- 指示速度による走行
- 一時停止
- 右折、左折
- 信号通過
- 段差乗り上げ
運転技能検査で失敗して不合格となっても何度でも受験できますが、合格しない限りは免許更新ができません。
高齢者が運転するときは高齢者マークの表示を
現在、75歳以上のすべての高齢ドライバーと、70~74歳で身体機能に低下の恐れが見られる高齢ドライバーは、車を運転するときに高齢者マーク(高齢運転者標識)の表示が努力義務になっています。
高齢者マークの表示をつけずに運転しても交通違反にはなりませんが、周囲と自分の交通安全のためにも運転時にはぜひ高齢者マークを表示していただきたいものです。
高齢者マークについて詳しくは以下の記事をご覧ください。オシャレでかわいい高齢者マークのご紹介もしています。
まとめ
今回は高齢者の免許更新について解説しました。
どんなベテランドライバーであっても、加齢により運転技術は衰えてきます。
短くなった免許更新時期を運転技術や知識が再確認できるチャンスと捉え、常日ごろから安全運転を心がけましょう。