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地域包括支援センターとは?その役割や利用方法を徹底解説

地域包括支援センターとは

この記事を書いた人
臼井 貴紀 Usui Kiki

Hubbit株式会社 代表取締役社長。藤田医科大学客員教員。早稲田大学卒業後、ヤフー株式会社に新卒入社。営業、マーケティング、開発ディレクション、新規事業開発など幅広く担当。その後、ベンチャー企業に転職しAIを活用したMAツールの立ち上げを行った後、Hubbit設立。高齢者施設に3ヶ月住み込んだり、1日訪問看護ステーションに密着するなど、徹底的な現場主義タイプ。日本経済新聞、NHKおはよう日本、ABEMA PRIME等に出演。 ▼保有資格 終活カウンセラー FP エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座修了

この記事のサマリ

・地域包括支援センターとは、介護や医療、福祉、保険など高齢者への総合的な生活支援の中核となる地域機関
・地域包括支援センターは介護などでいざ困ったらとなったら駆けつけるべき場所
・社会福祉士、保健師、主任ケアマネージャーの3つの職種の職員が常駐しており安心

地域包括支援センターとは、介護や医療、福祉、保険など高齢者への総合的な生活支援の中核となる地域機関です。
地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉増進を包括的に支援すること」を目的としています。

各市町村が設置主体ですが、社会福祉法人や社会福祉協議会、民間企業などが自治体から委託されて運営しているケースもあります。

2018年4月現在、すべての市町村に1か所以上、全国に5,079か所のセンターが設置されています。人口約2~3万人が住む「日常生活圏域」を1つの地域包括支援センターが担当しています。

地域包括支援センターのできた背景

地域包括支援センターのできた背景

日本は少子高齢化が急速に進んでいます。2015年には団塊の世代(約800万人)が全員高齢者(65歳以上)になり、その方々が75歳以上となる2025年以降は、国民の介護や医療の需要がさらに増加することが想定されています。

そのため、厚生労働省では、2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもと、できる限り住み慣れた土地で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けられるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制として「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。

地域包括支援センターは、地域包括ケアシステムの構築を推進する中心的な役割として、2006年4月に改正・施行された介護保険法に基づいて創設されました。

今は核家族化が進み、家庭での介護が難しくなりつつあります。また、単身の高齢者や老夫婦のみの世帯も増えています。そのため、高齢者をその家族だけでなく、地域住民全体で見守っていくという考え方が重要になってきています。そのための仕組みが地域包括システムであり、その中核を担う組織が地域包括支援センターなのです。

地域包括支援センターの役割

地域包括支援センターは地域の高齢者を支えるために、以下の役割を果たすことを期待されています。

  • 高齢者や家族の相談を受け付ける総合相談窓口
  • 要支援の方や虚弱高齢者の介護予防ケアマネジメント
  • 高齢者の様々な権利の擁護
  • 包括的・継続的ケアマネジメント支援

1.総合相談

「もしかしたら認知症かも」「介護に疲れてしまった」「近所の高齢者の様子が心配」などといった、担当地域の高齢者の健康・生活に関わる相談に幅広く対応します。
相談内容によって、関連の専門機関や利用可能な制度の中から適切なサービスを探して仲介します。
最近では、高齢者の認知症が原因と思われるトラブルや万引なども増えています。支援が必要と思われる高齢者について、家族以外の人でも相談できます。
相談内容に応じて、警察や弁護士などとセンターが連携をして対応します。

2.介護予防ケアマネジメント

要介護認定で「要支援1・2」となった方を対象に、介護が必要にならないよう予防するための「介護予防ケアプラン」を立てて支援します。
またチェックリストにより記憶力や歩行能力などの生活機能を評価して、機能低下が見られる方には高齢者向けの介護予防教室などを実施・紹介しています。

3.権利擁護

「高齢者本人による財産管理が難しくなってきた」「近所の高齢者が虐待を受けているかも」「悪質商法の被害にあった」など、高齢者の権利に関する相談を受け付け、内容に応じて、成年後見制度の利用促進老人福祉施設などへの措置入所に向けての手続き消費者センターや弁護士との連携による対応などを行います。
また、消費者被害の事前防止のために、消費者センターや警察から情報を収集し、高齢者へ注意を促します

4.包括的・継続的ケアマネジメント支援

高齢者が住み慣れた土地で生活し続けられるよう、個々の状況の変化に応じた適切なケアマネジメントの長期的な実施を行います。
また、ケアマネジャーの技術向上のための日常的な個別指導、支援困難事例等への指導・助言を行うなど、地域のケアマネジャーの後方支援をするとともに、多職種・他機関と連携し継続的なケアのための支援を行います。

地域包括支援センターの運営体制

地域包括支援センターの運営体制

地域包括支援センターでは、専門の職員が、その地域で暮らす高齢者やそのご家族が安心して生活していけるよう、チームを組んで支援しています。

地域包括支援センターに滞在している専門職員

センターには、社会福祉士、保健師、主任ケアマネージャーの3つの職種の職員が常駐しています。

    • 社会福祉士
      主に総合相談窓口として、住民の方々の各種相談への対応や高齢者への虐待防止や早期発見、また、高齢者の権利擁護に関する業務を担当します。
    • 保健師
      主に介護予防ケアマネジメントを担当します。要介護状態への予防や身体の状況悪化の防止、予防給付や介護予防事業プランの作成などを行います。
    • 主任ケアマネージャー
      主に包括的・継続的ケアマネジメント支援業務を担当します。地域のケアマネージャー達の育成や指導などを行い、ケアマネージャー達のスキルアップを支援する専門職です。

地域包括支援センターに実際に行ってみよう!

地域包括支援センターに行ってみよう

介護が必要と感じたらまず最初にセンターに相談しましょう。介護保険の手続きをしていなくても大丈夫です。家族だけで無理をせず、困りごとが大きくならないうちに相談をしましょう。
もし、困りごとが漠然とした状態でも、専門家たちが一緒に問題点を整理し、地域との連携で必要な支援に繋げてもらえます

地域包括支援センターの探し方

まずはお住いの自治体の健康・福祉関連の相談窓口案内に、自分が住んでいる地域を担当しているセンターがどこかを問い合わせてみましょう。
同じ市町村でも、お住いの住所によって担当のセンターが異なります
自治体の相談窓口案内やホームページなどで確認してみましょう。

持ち物

相談に行く際に特に必要となるものはありませんが、事前に相談したい内容を書き出したメモを持参すると、相談がしやすく、相談のし忘れも防ぐことができます。
困っている状況や希望、詳しく知りたいサービスなど相談したい内容を具体的に書いたメモを見せながら話をすると、より的確な回答やアドバイスが得られます
また、できるだけ早くサービスなどを申し込みたい場合は、認印を持参すると手続きがスムーズに進みます。

地域包括支援センターに訪問する際の注意点

地域包括支援センター訪問時の注意点
センターに相談に行く際には、予約が必要な場合もありますので、事前に電話をすると良いでしょう。状況によっては、訪問してもらえることもあります。
支援や介護が必要な方と相談したい方が離れて暮らしている場合には注意が必要です。家族が離れて暮らす親について相談したい場合は、支援対象者となる親が住んでいる場所の地域包括支援センターに問い合わせましょう。

まとめ

地域包括支援センターのまとめ

地域包括支援センターは、高齢者の方々が住み慣れた土地で安心して暮らしていくことを地域全体でケアしていくための中心的な役割を担っています。

今は元気で健康な高齢者の方も、そのご家族の方も、自分たちの地域包括支援センターの存在と役割、支援内容を理解しておくことで、いざ支援が必要となった時にすぐに頼って相談することができます。
まずは、お住いの地域を担当している地域包括支援センターがどこにあって、どういった支援をしているのかを、自治体のホームページセンターが発行するパンフレットなどで知っておきましょう。
また、健康であっても気軽に参加できる教室や講座があれば参加してみるのも良いでしょう。

高齢者と離れて暮らしている家族の方も、高齢者が住む土地の地域包括支援センターの場所と支援内容を知り、何か心配ごとがあれば早めに相談することが、さまざまなことへの予防に繋がります。