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再雇用できるかを就業規則で確認|65歳まで働ける継続雇用制度とは

通勤するビジネスマン

この記事を書いた人
杉田 Sugita
杉田 Sugita
ライター

IT企業に勤務しながら、ライターとしても活躍中。実父の認知症発症と義母の看取り経験から、介護と終活の重要性に気付き、GoldenYears、その他メディアにて啓蒙活動を行い、幅広い読者に終活の知識を提供している。中小企業の経理や社会保険事務全般に習熟しているため、保険や年金などの分野を得意とする。1969年生まれ。 ▼保有資格 認知症サポーター 終活カウンセラー2級

この記事のサマリ
  • 定年後に再雇用できるかは就業規則を見ればわかる
  • 企業は65歳になるまで継続雇用する義務がある
  • 継続雇用の方法は「勤務延長」「再雇用」の2種類(+再就職援助)
  • 再雇用後の就業規則は再雇用前とは異なるので十分な確認が必要

自分の勤めている会社では何歳で定年になり、定年後にも働ける体制が整っているのか、知っているようで知らない人は案外多いです。

会社の人事部などに聞けば教えてもらえますが、聞いた相手に「そんなことも知らないのか」と思われるのではないかと気後れし、質問をためらってしまう人もいるでしょう。

定年や再雇用について知りたいときには、会社の就業規則を見れば確認できます。

今回は就業規則で再雇用制度などを調べるやり方を説明しながら、再雇用後の就業規則で確認すべきポイントについても解説します。

就業規則で再雇用制度が確認できる

就業規則とは会社が労働者を雇用するときの給与や労働時間などの労働条件をまとめた「会社のルールブック」です。

労働基準法第89条の定めにより、就業規則に記載する内容は絶対的必要記載事項(必ず記載する)と相対的必要記載事項(制度の有無に応じて記載する)に分かれます。

絶対的必要記載事項と相対的必要記載事項

画像引用:厚生労働省|リーフレットシリーズ労基法89条「就業規則を作成しましょう」

上記画像のとおり、労働者の退職に関する内容は絶対的必要記載事項にあたります。

そのため就業規則が存在する会社であれば、定年退職についても必ず就業規則で確認することができます。

就業規則の社内公開は企業の義務

就業規則は、常時10名以上の労働者が働いている事業場(本店・支店・営業所等)では、それぞれの事業場ごとに作成が義務付けられています。

また作成した就業規則は労働基準法第106条に基づき、会社の休憩室やロッカー室など、労働者がいつでも見られる場所に据え置かなければいけません。

入社した際に渡された就業規則を紛失してしまった人でも、会社の総務・労務担当者に聞けば就業規則の置いてある場所を教えてもらえます。

なお就業規則を印刷物でなくデジタルデータとして保存し、共有サーバーやグループウェアを経由して閲覧できるようにしている会社も最近では増えてきています。

再雇用に関して就業規則ではどの項目を見るべきか

デスクに座ってパソコンを見るシニアビジネスマン

就業規則にはいろいろな事項が書かれていますので、最初のページから見始めたのでは確認に時間がかかります。

再雇用について調べる際は「退職」もしくは「定年」について書かれている章を確認しましょう。

高齢者雇用安定法により65歳までは勤務可能

企業コンプライアンス イメージ

就業規則を見れば、最低65歳になるまでは働き続けられることがわかるでしょう。

2013年に高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)が改正されたため、65歳未満の労働者を雇用する人は労働者本人の希望に応じて65歳まで継続雇用しなければいけないルールになっているのです。

「定年60歳」と就業規則に記載されていても、同じ項目内に継続雇用制度の詳細が新しく記されているはずです。

もし2021年時点で有効な就業規則に継続雇用制度が記載されていなければ、その会社は高年齢者雇用安定法違反として公共職業安定所から指導・勧告等の対象となります。

なお定年が65歳以上の会社であれば、継続雇用制度がなくても高年齢者雇用安定法違反にはあたりません。

再雇用については以下でも紹介しています。参考にして下さい。

頭を抱えるビジネスマン 再雇用を歓迎されない人の3つの特徴|働き続けたい人が定年前にできること

2021年4月からは70歳までが努力義務

高年齢者雇用安定法は、2021年4月にさらなる改正が予定されています。

改正高年齢者雇用安定法では、現在定められている65歳までの雇用確保に加え、70歳までの就業機会確保が事業者の努力義務として設けられています。

参考 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~厚生労働省

継続雇用の種類

ビジネスマン 契約 イメージ

再雇用は継続雇用の一種です。継続雇用とは、定年年齢に達した人を引き続き雇用することです。

再雇用と同じだと考えても良いですが、継続雇用には再雇用以外にも種類があるため、以下で再雇用を含めた継続雇用の種類を説明します。

勤務延長

そもそもの定年制度を廃止し、年齢に関係なく引き続き雇用する制度勤務延長です。

再雇用

定年退職した人と会社との間で、新たに雇用契約を結ぶ制度再雇用です。

同じ会社で働くだけでなく、子会社・グループ会社に移動する場合でも一般的には再雇用として扱われます。

再就職援助

継続雇用と厳密には異なりますが、会社側の都合もしくは労働者本人の勤務態度などの理由によって65歳未満の人が離職を余儀なくされたときには、会社側は労働者の希望に応じて求人の開拓など再就職援助に努める必要があります。

再雇用で新しくなる就業規則の変更点

ビジネスマンの勤務時間

ここまでは、定年前に確認しておくべき就業規則の内容について説明しました。

今度は、定年年齢に達した人が再雇用されたときに渡される就業規則についてもあらかじめ確認しておきましょう。

再雇用と言えどもいったんは退職する会社です。新たに雇用契約を結ぶ人に対しては、会社が改めて「会社のルールブック」を提示する必要があります。

一般的には以下のような項目が、再雇用のときに変更されています。

雇用形態

定年前には正社員だった人も、再雇用後には契約社員・嘱託社員・パートタイマーなどの有期雇用労働者になるケースが一般的です。

契約期間

嘱託やパートタイマーなどの有期雇用労働者として再雇用される際には、多くの会社では1年契約とし、1年ごとに契約を更新しています。

なお通算5年以上働いた有期雇用労働者は、いわゆる「無期転換ルール」により会社に無期契約を要求することができますが、定年後の再雇用においては無期転換ルールは適用されません。

無期転換ルールの継続雇用の高齢者に関する特例

画像引用:厚生労働省|無期転換ルールの継続雇用の高齢者に関する特例について

労働条件

再雇用後に雇用形態や職種が変わる場合には、就業時間や賃金の計算方法も変わる可能性があります。

福利厚生などの項目に関しては正社員の就業規則を転用し「社員の就業規則を準用する」と就業規則に記載していることが多いです。

再雇用後の就業規則で確認すべき2つのポイント

本の上の豆電球イラスト

今まで働いてきた会社と再雇用契約を結ぶときには、長年在籍していた会社ということで就業確認もつい怠ってしまいがちです。

例えこれまで慣れ親しんだ会社であっても、再雇用契約を結ぶ際には雇用契約書とともに就業規則の隅々まで確認しなければいけません。

新たな気持ちでいきいきと働くためにも、以下2つの確認ポイントをしっかり押さえておきましょう。

再就職手当については以下の記事で紹介していますので参考にして下さい。

再就職手当 書類 再雇用が決まるまで手当をもらわないと損?再就職手当を受け取る条件と流れ

不利な条件になっていないか

再雇用後には雇用形態などが定年前と変わる可能性が大きいので、新しく提示された就業規則が自分にとって不利な条件になっていないかをよく確認しましょう。

子会社やグループ会社に移動した人だけでなく、同じ会社の支店や営業所に移動した人も注意が必要です。就業規則は事業場ごとに作成されるため、定年前に所属していた部署と内容が異なる可能性があります。

高齢者の働き方に配慮されているか

いつまでも働き続けたいとは願っていても、高齢者になると若い頃と同じような働き方はなかなかできなくなります。

そのため企業が定年後の継続雇用制度を導入するにあたっては、高齢者が働きやすいような労働条件にするよう、国が高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針を定めています。

高齢者雇用において企業が求められている配慮は以下のような事柄です。

高年齢者雇用確保措置における労働条件のポイント

画像引用:厚生労働省|高年齢者雇用安定法ガイドブック~高年齢者の雇用の安定のために~

就業規則に記載されている勤務日数や勤務体系などが高齢者の健康状態に配慮されているか、無理せずに働ける内容かどうかをよく確認しましょう。

まとめ

都会の風景を見下ろすビジネスマン

今回は会社にお勤めの人が継続雇用制度を確認する方法などについて解説しました。

就業規則は会社に属する労働者と企業の、双方の義務と権利を記したルールブックです。

この機会に会社の就業規則を読み返して、自分に与えられている義務と権利を再確認してみましょう。


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