- 高齢化率とは人口における高齢者が占める割合
- 2050年には日本の高齢化率37.7%(3人に1人が高齢者)と予測
- 高齢化率が上がると経済の低迷・社会保障制度の破綻の恐れがある
- 少子高齢化を食い止めるために私たちにできることがある
日本では少子高齢化が進んでいると言われています。
では、どうして日本が少子高齢化だと認識されているのでしょうか。それは日本の高齢化率が大変高い割合になっているからです。
今回は高齢化率について解説します。 高齢化率は何か、出し方や使い方など高齢化率について学び、日本の少子高齢化について実際のところを理解しましょう。
高齢化率とは
高齢化率とは、国の総人口、あるいは一定の地域の人口における高齢者が占める割合を指します。
何歳からが高齢者か
日本では、高齢化率を求めるときには満65歳以上の年齢の方を高齢者と見なして算出しています。
この年齢は、WHO(世界保健機関)が定義している高齢者の年齢が元になっています。
しかし何歳から高齢者になるかは、実際には決まっていません。日本の法律の中でも 65歳以外を高齢者の基準年齢としている法律がいくつかあります。
高齢者の定義については以下の記事をご覧ください。
日本の高齢化率の出し方
日本における高齢化率の出し方は以下のとおりです。
高齢化率(%)=65歳以上の高齢者人口÷(総人口-年齢不詳人口)×100
上記の計算式で年齢不詳人口を差し引かなければいけない理由は、総人口を出すための 各種の調査結果の中には年齢非回答のデータが含まれるからです。
日本の国や都道府県の 総人口は、以下のような集計が参考にされています。
国勢調査人口 | 5年ごとに国勢調査員が調査票を配布し、回答を収集する方法により調査した人口 |
住民基本台帳登録人口 | 各市区町村に備え付けてある住民基本台帳に登録されている人の数を集計した人口 |
常住人口 | 国勢調査人口に住民基本台帳の増減数を合算して集計した人口 |
日本の高齢化率の使い方
高齢化率は単に統計を取るだけでなく、日本の高齢社会対策のために各分野でデータが使われています。
政府が作成した高齢社会対策大綱の基本的施策でも、高齢化率が施策の指標とされています。
《高齢社会対策大綱6分野の基本的施策》
就業・所得 | ・エイジレス社会の実現に向けた環境整備 ・公的年金制度の安定 ・資産形成等の支援 他 |
健康・福祉 | ・健康づくりの総合的推進 ・介護サービスの充実 ・高齢者医療制度の運営 ・地域の支え合いの仕組み作り 他 |
学習・社会参加 | ・高齢者の学習、社会参加活動の促進 |
生活環境 | ・高齢社会に適したまちづくりの推進 ・成年後見制度の利用促進 他 |
研究開発・国際社会への貢献等 | ・高齢者向け市場の活性化に向けた研究と基盤整備 ・諸外国との知見や課題の共有 他 |
全ての世代の活躍推進 | ・全ての世代が高齢社会での役割を担う社会を構築するための施策の推進 |
日本の高齢化率は年々上昇している
2022年の総務省の統計による日本全体の高齢化率は29.1%です。
この数値は年々上昇しています。1950年時点の高齢化率は4.9%でしたが、その後は一貫して上昇が続き、1985年に10%、2005年にはついに高齢化率20%を超えました。
画像引用:総務省統計局|高齢者の人口
また、2022年の同統計では75歳の後期高齢者が初めて15%を超えています。これは1947年~1949年生まれの団塊の世代が後期高齢者になり始めたことに由来します。
2050年には高齢化率37.7%と推定
高齢化率は、今後も上昇する見込みです。
国土交通省「国土の長期展望専門委員会」の推定では、2050年には日本の高齢化率は37.7%まで達し、日本の人口のおよそ3人に1人以上が高齢者になるとのことです。
高齢者の人口自体は2042年推定の3,935万人がピークになりますが、少子化による総人口の減少にともない2042年以降も高齢化率は上昇すると考えられています。
都道府県別高齢化率ランキング
現在の高齢化率は上記でも説明したとおり29.1%ですが、すべての都道府県が同じ数値ではありません。
内閣府の調査で判明した各都道府県の高齢化率は以下のとおりです。高齢化率の高い順にご紹介します。
都道府県名 | 高齢化率(%) |
秋田県 | 38.1 |
高知県 | 35.9 |
山口県 | 35.0 |
徳島県 | 34.7 |
島根県 | 34.5 |
青森県 | 34.3 |
山形県 | 34.3 |
岩手県 | 34.2 |
和歌山県 | 33.8 |
大分県 | 33.7 |
愛媛県 | 33.6 |
長崎県 | 33.6 |
新潟県 | 33.2 |
宮崎県 | 33.1 |
鹿児島県 | 33.1 |
富山県 | 32.8 |
鳥取県 | 32.7 |
北海道 | 32.5 |
福島県 | 32.3 |
長野県 | 32.3 |
香川県 | 32.2 |
奈良県 | 32.1 |
熊本県 | 31.9 |
山梨県 | 31.3 |
佐賀県 | 31.1 |
福井県 | 31.0 |
岐阜県 | 30.8 |
岡山県 | 30.6 |
群馬県 | 30.5 |
静岡県 | 30.5 |
三重県 | 30.3 |
茨城県 | 30.1 |
石川県 | 30.1 |
広島県 | 29.7 |
栃木県 | 29.6 |
滋賀県 | 29.6 |
京都府 | 29.6 |
兵庫県 | 29.6 |
宮城県 | 28.6 |
福岡県 | 28.2 |
千葉県 | 27.9 |
大阪府 | 27.7 |
埼玉県 | 27.2 |
神奈川県 | 25.7 |
愛知県 | 25.5 |
沖縄県 | 23.1 |
東京都 | 22.9 |
高齢化率の上昇により起こり得る問題
この先も少子高齢化が進み、高齢化率が上昇すると、以下のような問題が起こる可能性があります。
経済の低迷
高齢者の割合が増えるということは、若者や現役世代の割合が減るということです。
内閣府の調べによると、日本の生産年齢人口は2050年には5,276万人になると推測されています。2020年の生産年齢人口である7,406万人から2万人以上の減少です。
経済成長は、労働者の数により左右されます。高齢化率の上昇は経済成長率の低下にもつながり、日本の経済が低迷する恐れがあります。
社会保障制度の破綻
年金は、現役世代から徴収した保険料を財源として高齢者に支払われています。
また、高齢者の医療にかかる自己負担額は1割負担で、現役世代の3割負担よりも低く設定されています。2割分の差額は年金と同じように、現役世代の負担になります。
高齢化率が上がると現役世代1人あたりが支える高齢者の数が増えます。1960年には11.2人の現役世代が1人の高齢者を支えていたのに対して、1980年には7.4人、2014年には2.4人の現役世代が1人の高齢者を支えており、年々現役世代の負担は増しています。
このまま高齢化率が上昇し、社会保険料を上げるなどの対策をいっさい取らずにいると、2060年には1人の現役世代が1人の高齢者を支えることになるとも言われています。
高齢化率の上昇は社会保障制度の破綻をも招きかねないのです。
少子高齢化社会に向けて私たちができること
日本の高齢化率の上昇は、日本の国自体をゆるがしかねない問題です。
これからますます加速する少子高齢化社会に向けて、いま私たちにできることはなんでしょうか。
子育て世代を応援する
子供が生まれなければ、少子高齢化は解決できません。
そして子供が生まれるためには、親が安心して子育てできる環境が必要です。
政府も保育料の軽減や育児休暇取得の推進などの対策を考えてはいますが、一般市民の私たちでも子育て世代に対してできることはたくさんあるはずです。
頼れる相手がおらず孤立しているパパ・ママがいたらサポートするなど、地域で子育てする社会を目指しましょう。
仕事を継続する
高齢者と呼ばれる年齢になっても仕事を続けていけば、日本の労働人口低下は多少なりとも歯止めがききます。
75歳の後期高齢者でもできる仕事はたくさんあります。仕事の継続は老後の生きがい作りにもつながりますので、身体に無理のない範囲でできる仕事を探していきましょう。
後期高齢者におすすめの仕事は、以下の記事を参考にして見つけてください。
フレイルを予防する
要介護状態になると介護サービスが必要となり、その財源は現役世代が負担する社会保険料でまかなわれます。
何歳になっても介護がいらない健康な毎日が送れれば、現役世代が負担する貴重な社会保険料を消費さずにすみます。
要介護状態を避けるためには、その一歩手前の状態であるフレイル(虚弱)から予防しなければいけません。
以下の記事などを参考に、フレイルにならないような生活を心がけてください。
アクティブシニアになる
これからの高齢者は、ただ守られるだけの存在ではいけません。
高齢化率が上昇して高齢者が増えていくこれからの時代は、高齢者がそれぞれ自立して、誰かを助けられる存在になりましょう。
心身ともに健康で、趣味も仕事も楽しんでいる高齢者をアクティブシニアと呼びます。これからの私たちは単なる高齢者ではなく、周りも元気にするアクティブシニアを目指して社会を活性化していきましょう。
アクティブシニアの定義や、アクティブシニアを目指すためのポイントについては以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
今回は高齢化率とは何か、高齢化率の上昇により何が起きているかについて解説しました。
少子高齢化と高齢化率の上昇はこれからも続くと考えられています。
これからの未来に、私たちに何ができるかをそれぞれ考えていきましょう。