- 海外移住しても日本の民間保険は継続可能
- 保険継続のためには海外移住前に3つの手続きが必要
- 海外での高い医療費を負担する海外旅行保険の加入もおすすめ
老後には健康面での不安がつきものです。
病気になるリスクも高まりますし、自分の死期についても考えるシーンが増えてきます。
リタイア後に海外移住したいと考えている人も、移住後の医療費についてはしっかり考えておかなければいけません。
現在日本で民間の生命保険や医療保険に加入している人は、海外に移住したら保険を解約しなければならないのでしょうか。それとも契約中の保険は継続できるのでしょうか。
今回は海外移住した際の民間生命保険・医療保険について解説します。
海外移住時には生命保険の解約が必要?
まず結論から申し上げれば、ほとんどの生命保険は海外に移住しても解約する必要はありません。後述するいくつかの手続きを行うことで、保険契約の継続は可能です。
海外移住を予定しているからと言って、あわてて解約手続きを進めなくても大丈夫です。
海外移住者の健康保険・年金については以下の記事も参考にしてみて下さい。
海外移住中でも日本で契約した保険は有効
日本国内で契約した民間の生命保険や医療保険は海外移住後も「日本国内の保険」が継続されます。
居住地が海外であっても保険会社からの文書は国内住所に郵送され、保険料の支払いも国内に有する銀行口座から引き落としがされます。
これは日本の保険会社でも外資でも同様です。ただし医療保険に関しては受診する医療機関を国内に限定している可能性もありますので、契約保険の約款を確認しましょう。
日本で加入した保険を解約したときのデメリット
日本で加入した保険を解約した際のデメリットは、再契約ができなくなったり、再契約時の保険料が高くなってしまうことです。
海外移住時には日本でのさまざまな面倒ごとを始末して、すっきりした気持ちで海外に飛び立ちたいと考えている人もいますが、こと民間保険に関しては安易な解約は危険です。
いったん解約してからもう一度再契約しようと思っても、保険料は以前の契約時よりも上がるケースがほとんどです。
現在の保険料と再加入時の想定年齢での保険料をシミュレーションして比較すると、毎月の保険料にどの程度のコスト差があるかが確認できます。
参考
保険料シミュレーション(ちゃんと応える医療保険EVER)アフラック
また海外移住後に健康を害してしまうと、保険の再契約自体が行えなくなってしまう可能性もあります。
一度解約すると元には戻せませんので、解約に際しては慎重に検討してください。
海外からは日本の保険に新規加入ができない
海外に移住したあとに日本の民間保険に加入することは例外を除きできません。
これまで民間保険に加入しておらず、新しく保険に入っておこうという人は海外移住前に契約をすませましょう。
海外に拠点を移した後では日本の保険に新規加入はできません。現地国の保険に入るしかなく、保険料や補償内容はその国によって大きく異なります。
公的保険については別途確認が必要
なお本記事では、海外移住時の民間保険に限定し解説しており、公的な保険は継続できないこともあります。
公的保険(社会保険・年金)の海外移住時の取り扱いに関しては以下の記事を参考にしてください。
海外移住時にやるべき保険の手続き
民間の生命保険や医療保険を契約している方の海外移住手続きは、ほとんどの保険会社で同じです。
- 海外移住の告知
- 国内の連絡先指定
- 支払い口座の維持
詳細な手続き方法や必要書類は各保険会社にお問い合わせください。
アフラック生命の場合
大手生命保険会社のアフラックを例にして、海外移住の際の保険手続きの流れを確認しましょう。
参考
よくあるご質問「海外転勤する場合、どのような手続きが必要ですか」アフラック
日本と行き来する人は海外旅行保険もおすすめ
現在契約中の民間医療保険がない人だと、海外生活で高額な医療費の支払いに困ることがあるかもしれません。
移住先の国によっては社会健康保険がないところもあり、かかる医療費が全額負担になる可能性があります。
契約している保険の補償内容に不安がある人や、これまで医療保険を契約していなかった人は、海外での高い医療費を負担してくれる海外旅行保険に入るのがおすすめです。
海外旅行保険の契約条件
海外旅行保険への加入にはいくつかの条件があります。
帰国日の設定が必要
海外旅行保険はあくまでも旅行時の保険なので、定められた日数以内に帰国する必要があります。帰国予定が未定の状態では保険契約ができません。
滞在条件限定の保険も
長期滞在者向け海外旅行保険の中には、留学や駐在など渡航条件が設定されている保険もあります。明確な目的のないロングステイでは契約できないケースがあります。
長期者向けは対面契約がほとんど
短期旅行者向けの海外旅行保険はネットで契約できたり空港内で契約するなど選択肢が多いですが、長期滞在者向け海外旅行保険は代理店等を通した対面契約がほとんどです。
年単位で契約したい海外移住者がインターネット上で契約したい場合には、ネットで契約が完結する長期滞在者向け海外旅行保険を探す必要があります。
クレジットカード付帯の海外旅行保険
クレジットカードの中には海外旅行保険が付帯できるものもあります。
以下のエポスカードは年会費無料で海外旅行保険が自動付帯されるので、海外移住をする前に作っておくと便利なカードです。
自動付帯でなくてもオプション追加により比較的安価に保険加入ができるカード会社もありますので、お手持ちのカードの契約内容を確認してください。
ただしクレジットカード付帯の海外旅行保険は3ヶ月毎の帰国が条件になっていることが多いです。日本に帰国する機会が少ない人は利用できないため注意しましょう。
ネットで契約できる海外旅行保険おすすめ4選
上記の説明のとおり、インターネット上で契約が完結する長期滞在者向け海外旅行保険はそう多くはありません。
今回はネットで契約できる海外旅行保険を4つご紹介します。契約期間や加入年齢など、ご自身の状況にあわせて最適な保険を見つける材料にしてください。
World Nomads「Explorer Plan」
「World Nomads」はオーストラリアの元バックパッカーがサービス提供し、世界のバックパッカーの多くが利用している旅行保険です。
World Nomadsで加入できるプランはスタンダードとエクスプローラーの2つがありますが、ミドルシニアの海外移住に際しては医療費が最大12カ月間保障されるエクスプローラーがおすすめです。
ただしWorld Nomadsには日本語サイトがなく、サポートもすべて英語でのやりとりになりますので、英語でのコミュニケーションができる事が条件となります。
画像引用:World Nomadsトップページ
申し込み期限
渡航前・渡航後ともに申し込み可能
年齢上限
65歳未満
最長契約期間
1年間
ジェイアイ傷害火災保険「t@bihoたびほ」
「t@bihoたびほ」はジェイアイ傷害火災保険が提供する海外旅行保険です。
契約期間が31日以内と短いのが難点ですが、加入年齢上限が99歳まで、持病の治療中でも加入できる点はメリットです。
申し込み期限
出発当日まで
年齢上限
99歳未満
最長契約期間
31日間
三井住友海上「ネットde保険@とらべる」
「ネットde保険@とらべる」は三井住友海上が提供する海外旅行保険です。ネットで契約できる海外旅行保険の中でも契約期間が92日間と比較的長めなのが特徴です。
また複数回利用者は5%のリピーター割引(利用条件あり)も適用できるため、頻繁に日本と海外を行き来する場合は保険料をコストダウンできます。
画像引用:三井住友海上「ネットde保険@とらべる」
申し込み期限
出発当日まで
年齢上限
70歳未満
最長契約期間
92日間
ステップイン「ステップイン旅行保険」
最後におすすめするのは、ドイツHanseMerkur社が提供する海外旅行保険「ステップイン」です。本拠地はドイツですが、日本語サポートサービスも充実しています。
最長契約期間は5年間となっており、ネットで契約できる海外旅行保険ではトップクラスの長さのため、海外移住してから日本に帰国する機会が少なくなる人にとってはありがたい保険です。
ただし移住先はEUならびにシェンゲン協定加盟国に限定されます。
画像引用:ステップイン「旅行/短期滞在」
申し込み期限
渡航前・渡航後ともに申し込み可能
年齢上限
60歳未満
最長契約期間
5年間
まとめ
今回は海外移住を検討している方に向けて、民間の生命保険・医療保険の移住時取り扱いについて解説しました。
海外生活を満喫するためには、日頃の健康管理に加えていざというときのための備えが大切です。
万が一病気やケガをした際でも安心して治療に専念できるようにしながら、海外でのハッピーリタイアメント生活を楽しみましょう。