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「数珠を自分で買ってはいけない」は嘘|数珠の買い方と選び方を解説

花と数珠

この記事を書いた人
杉田 Sugita
ライター

IT企業に勤務しながら、ライターとしても活躍中。実父の認知症発症と義母の看取り経験から、介護と終活の重要性に気付き、GoldenYears、その他メディアにて啓蒙活動を行い、幅広い読者に終活の知識を提供している。中小企業の経理や社会保険事務全般に習熟しているため、保険や年金などの分野を得意とする。1969年生まれ。 ▼保有資格 認知症サポーター 終活カウンセラー2級

この記事のサマリ
  • 数珠は仏具の一種(一般的に使われている数珠は略式数珠)
  • 数珠は自分で買って良い
  • 数珠を自分で買うときのポイントを紹介

通夜や葬儀に参列するときには、ほとんどの方が自分の数珠を持参しています。

自分の数珠を持っていない方は、祭壇の前で焼香をする際に気恥ずかしい思いをしてしまうこともあるようです。

大人のたしなみとして数珠は是非とも持っておきたいアイテムのひとつですが、自分で数珠を買ってはいけないという方もいます。

はたして本当に、数珠を自分で買ってはいけないのでしょうか。

今回は「数珠を自分で買ってはいけない」の説を検証しながら、数珠を購入するときに知っておきたいポイントについて解説します。

数珠(じゅず)とは

黒のフォーマルバッグとピンクの数珠

まずは「数珠とは何か」についてあらためて確認しましょう。

数珠(じゅず)とは、小さな珠を輪の形にしたブレスレット状の仏具です。

仏教が生まれる前に古代インドで信仰されていたヒンドゥー教では、数珠の珠を使ってお祈りの回数を数える習慣があり、その習慣が仏教にも受け継がれています。

しかし現代の一般的な仏教徒は、仏式の葬儀や法要のときに数珠を手にかけるだけに留めており、念仏を唱える際に珠の数を数えるような行為はほとんど行われていません。

数珠は念珠(ねんじゅ)とも呼ぶ

「数珠」の名前は、上記での説明のとおり唱えた念仏の数を数えるために使われていたことが由来となっています。

念仏を唱えるときに使う仏具のため、数珠ではなく「念珠(ねんじゅ)」とも呼ぶ方がいますが、いずれも同じものとして扱われます。

数珠の所有は大人としてのマナー

墓参りで手を合わせる男性

葬儀や法要に参列する方が、必ず数珠を持たなくてはいけないわけではありません。

焼香や念仏を唱える際に数珠は必須ではないため、自分が気にさえしなければ数珠がなくてもことは足ります。

しかし、現代の一般的な仏式の葬儀では焼香の際に数珠を手にかけている方が大半なため、数珠の持参は一般常識の範疇だと考えられています。

数珠を持っていない方が焼香のときだけ知人の数珠を借りるシーンも度々目にしますが、葬儀場でゴソゴソと数珠の貸し借りをしている姿は、あまり見た目によろしいものではありません。

若い方ならともかく、常識的な大人のマナーを守ろうとする方でしたら、できるだけ早いうちに自分の数珠を用意しておいた方が良いでしょう。

「数珠を自分で買ってはいけない」は迷信

Falseと書かれた積み木ブロック

自分の数珠を用意しようと思ったときに気になる「数珠を自分で買ってはいけない」の説については、これはまったくの迷信です。

「数珠を自分で買ってはいけない」との考えは、仏教のどの経典にも記されておらず、僧侶が話すどんな法話としても伝えられてはいません。

これから自分の数珠を自分で購入しようとしている方は、安心して自らの購入を検討してください。

自分で買ってはいけないと言われていた理由

それでは、なぜ「数珠を自分で買ってはいけない」の説が囁かれるようになったのでしょうか。

その理由ははっきりしていませんが、理由のひとつとしては、一般の方が数珠を使用するシーンが通夜やお葬式であることが関係していると考えられます。

「数珠=葬儀」を連想させるため、数珠を買う行為は人の不幸を準備する行為だとも捉えられ、縁起が悪いものだとしているのです。

同じような考え方から「喪服・ブラックフォーマルを自分で買ってはいけない」という方もいます。数珠の場合と同じく、喪服やブラックフォーマルを自分で買ってはいけないとの説もまったくの迷信です。

そもそも本来の目的からすれば、数珠は葬儀のためだけに用いられるアイテムではありません。

仏教徒が仏様に日々の感謝を伝えるために使用するものですので、数珠を自分で買う行為はむしろ仏様への敬意をあらわす行為でもあります。

自分で数珠を購入するときは

男性用と女性用の数珠

数珠は自分で買っても良いことがわかったら、さっそく自分の数珠を購入する準備にかかりましょう。

以下からは自分で数珠を買うときに知っておきたいポイントについて説明します。

数珠を売っている場所

数珠は仏具専門店やデパートの仏具売り場、フォーマルウェアを扱う洋品店などで購入できます。

またホームセンターや大型ショッピングセンター、100円ショップなどでも購入が可能です。

自分の宗派にあわせた本格的な数珠(本式数珠)を欲しい方は、専門スタッフが常駐している仏具専門店やデパートの仏具売り場での購入がおすすめです。その他の購入場所については、お店に置いてある数珠の価格と品質を見比べて検討してください。

忙しくて買物にもなかなか行けない方は、インターネット通販の利用もおすすめできます。仏具店が運営しているオンラインショップでの購入でしたら、品質的にも安心できます。

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片手数珠が現代の主流

数珠には本式数珠と略式数珠の2種類があります。

本式数珠は珠の数が108珠あり、珠のひとつひとつが煩悩を司る仏様をあらわしていると言われています。葬儀のときなどにお坊さんが手に持っている長い数珠が本式数珠です。

本式数珠は宗派別に形状が少しずつ異なり、携帯もしづらいために普通の方はほとんど所有していません。

現代の一般的な仏教徒が使用している数珠は、宗派関係なく使用できる略式数珠です。片手にかけて使うため片手数珠とも呼ばれています。略式数珠の場合には珠の数は決まっていません。

男性用は大きな珠・女性用は小さな珠

現代では大きい珠の数珠は男性用、小さい珠の数珠は女性用と区別されています。

本来は性別や年齢によって珠の大きさを変える必要はありませんが、男性が小さな珠の数珠を持っていたり、女性が大きな珠の数珠を持っていたりすると、周りの方から借り物を持っていると勘違いされるかもしれません。

周囲にいらぬ誤解を与えないよう、男性用は大きな珠、女性用は小さな珠の数珠を持っておいたほうが無難と言えます。

珠の素材はいろいろ

数珠の珠の素材にはいろいろな種類があります。

もともと数珠の素材は、仏教の経典「無量寿経」に記されている七宝が基本とされていました。

《法華経における七宝の種類》
金・銀・瑪瑙(ラピスラズリ)・瑠璃(水晶)・硨磲(シャコ貝)・真珠・瑰(赤色系の宝玉)

 

《無量寿経における七宝の種類》
金・銀・瑠璃・玻璃・硨磲・珊瑚(サンゴ)・瑪瑙(メノウ)

しかし現代では七宝以外のさまざまな素材から数珠が作られています。黒檀や白檀、ツゲなどの木材や、虎目石やローズクォーツなどの天然石を使った数珠、アクリルやプラスチック素材の数珠もあります。

見た目の印象やお財布と相談し、どのような素材を用いた数珠を購入しても問題ありません。

珠の色に決まりはないが房の色には注意

数珠の色には決まりがないため、どの色を選んでも問題ありません。

しかし地域によっては房の色に決まりがあるため、注意が必要です。

たとえば名古屋や金沢などの一部の地域では、葬儀の際には白い色の房、法事の際には紫色など色のついた房をつけた数珠と使い分けている地域もあります。

数珠を購入する前に家族や親族に聞くか、菩提寺に確認しておくと安心です。

数珠袋も忘れずに購入

好みの数珠を選んで購入する際に、ぜひとも一緒に購入しておきたいアイテムが数珠袋です。

カバンや服のポケットに数珠を入れておくと、房がからまってヨレてしまいます。また珠にも傷がつきやすくなるので、数珠を手に持たないときには専用の数珠袋に入れておいた方が安全です。

数珠の大きさによって数珠袋のサイズが変わるため、数珠と同時に数珠袋も、きちんと数珠が収まるサイズを選んで購入しましょう。

パワーストーンは数珠の代わりにはならない

パワーストーンのブレスレット

パワーストーンで作られたブレスレットを持っている方の中には、そのブレスレットを数珠代わりとして葬儀に持参している方もいるようです。

ですが、パワーストーンのアクセサリーは数珠の代わりにはなりません。

パワーストーンのアクセサリーは自分の運気を上げるために身につけるもの、対して数珠は、仏さまに敬意を払うために使うものです。

それぞれの意味に明確な違いがあるため、見た目が似ていても同じ目的では使用できません。

きちんとした数珠を別途に購入するようにしましょう。

まとめ

今回は数珠の購入について解説しました。

「数珠を自分で買ってはいけない」との説は、まったくの迷信です。

自分自身で、自分の好みの数珠を安心して購入しましょう。