- 退職後に他社へ再就職した場合は再就職手当を受け取れる
- 再就職手当を受け取るには8つの条件を満たす必要がある
- 申請期限を過ぎると受け取れないため注意が必要
雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)を受給している最中に就職が決まった場合、再就職手当を受け取れるのをご存知でしょうか?
今回は、会社を退職したあとの再就職で受け取れる再就職手当について解説します。
目次
再就職時に手当を受け取れる再就職手当とは
再就職手当とは、いわゆる失業手当と呼ばれる基本手当の受給資格がある方が、正社員などの安定した職業に就職できた場合に支給される手当です。早期に再就職を決めた人ほど多くの手当をもらえることから、ハローワーク就職祝い金などと呼ばれることもあります。
就職だけでなく、自ら事業を開始した場合(起業)も含みます。
支給残日数の全額を受け取れるわけではありませんが、就職先を見つけて給料を受け取れるようになったうえに再就職手当を受け取れるのがメリットです。
65歳まで働ける継続雇用制度について、以下の記事でわかりやすく紹介しています。

再就職手当を受け取る流れ
再就職手当を受け取りたい場合、まずは離職後にハローワークの失業認定セミナーに参加して失業の認定を受けます。その後に転職活動をし、再就職ができた場合はハローワークから再就職手当支給申請書の発行を受けます。
再就職支給申請書の事業主の欄を再就職先の人事担当者に記入してもらい、申請者の欄を自分で埋めてハローワークに提出(郵送)すれば申請手続きは完了です。
再就職手当の受給条件
会社を退職したあとの再就職時、下記の全ての条件を満たす場合に再就職手当が支給されます。
①受給手続き後、7日間の待期期間満了後に就職、又は事業を開始したこと
②就職日の前日までの失業認定を受けた上で、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上あること
③離職した前の事務所に再び就職したものではないこと・また、離職した前の事業所と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業所に就職したこと
④受給資格に係る離職理由により給付制限がある方は、求職申込みをしてから、待期期間満了後の1ヶ月間の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること
⑤1年を超えて勤務することが確実であること
⑥原則として、雇用保険の被保険者になっていること
⑦過去3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと
⑧受給資格決定から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと
待期期間の満了
失業保険では受給手続きから7日は待期期間とされます。この待期期間内に再就職が決まった場合満了となり、再就職手当を受け取れません。
支給残日数が3分の1以上残っていること
失業手当の残日数が3分の1以上残っていることが条件の1つです。3分の1の基準になるのは就職日の前日のため、就職前日に3分の1以上の残日数がない場合は再就職手当を受け取れません。
退職した会社への再雇用ではない
退職した会社に採光用になる場合は再就職手当を受け取れません。退職した会社のグループ企業・取引先であっても同様に対象外のため、注意が必要です。
給付制限がある場合はハローワークの紹介であること
自己都合退職の場合、7日間の待期期間のあとから1ヶ月の間、ハローワークや職業紹介事業者の紹介による就職以外は支給の対象にはなりません。
上記の手当の支給対象外は個人事業主として開業した場合も同様です。ただし、待期期間から1ヶ月を超えれば再就職手当を受け取れます。再就職の日付は、開業届けを税務署に出した日です。
事業を開始したあとは収入が安定しないことが多いため、手間をかけて手続きして受け取る価値があるといえるでしょう。
なお、派遣社員の場合は雇用契約書に「更新の可能性あり」と記載されているケースで受給資格を満たす可能性があります。
1年以上の勤務見込があること
正社員として無期契約を結び、雇用保険に加入することが受給の要件の1つです。1年間限定の契約社員は常用雇用ではないため、再就職手当を受け取れません。
雇用保険の被保険者であること
再就職手当を受け取るためには、再就職した会社で雇用保険に加入することが必要です。
雇用保険の加入条件は以下のとおりで、条件を満たした社員を雇用している事業主に加入義務があります。
31日以上の雇用見込があり、週20時間以上働いている人
求職の申込をした以前の内定ではないこと
ハローワークへの失業の申請の前に内定が決まっていた企業へ就職した場合、原則として再就職手当は支給されません。
過去3年以内に手当を受け取っていないこと
過去3年以内に再就職手当・常用就職支度手当をすでに受け取っている場合は再就職手当を受け取れません。
すぐに離職しないこと
再就職手当の支給要件を満たしていたとしても、支給日の決定までに離職してしまう場合は再就職手当を受け取れません。
再就職手当の申請をすると、申請から約1ヶ月後の雇用状態についてハローワークが転職先に確認を行います。その時点で在籍していれば受給資格の1つを満たすことになります。
受給金額の計算方法
再就職手当の支給額は、下記の計算式をもとに計算されます。
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上ある場合
所定給付日数の支給残日数×70%×基本手当日額
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上ある場合
所定給付日数の支給残日数×60%×基本手当日額
早期の再就職であるほど、より多くの再就職手当を受け取れる仕組みです。
支給残日数
所定の給付日数から就職前日までの支給日数を引いた日数のことです。
所定給付日数が90日で、就職の前日までに60日分の基本手当をすでに受け取っている場合の支給残日数は30日となります。
給付率
再就職手当では、支給残日数によって給付率(支給率)が変わります。
- 支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合:70%
- 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っている場合:60%
基本手当日額
失業前の6ヶ月間の給与合計額を180(日)で割り、給付率を乗算した金額です。
基本手当日額には上限があり、毎年8月1日にある毎月勤労統計の平均給付額によって改訂されます。
令和2年8月1日現在の基本手当日額の上限以下のとおりです。
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60歳以上65歳未満=7,186円
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45歳以上60歳未満=8,370円
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30歳以上45歳未満=7,605円
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30歳未満=6,850円
具体的な支給額のシミュレーション
30年働いた会社を自己都合で退職した正社員60歳の場合でシミュレーションしてみましょう。
所定給付日数は150日で支給残日数が100日、基本手当日額は7,186円であるものとします。
100日×60%×7,186円=431,160円
なお、この金額は非課税です。従来は本業以外で20万円以上の収入があった場合は確定申告が必要ですが、再就職手当は確定申告の必要がありません。
再就職手当が受け取れないケース
支給残日数が不足している
再就職手当の支給条件の1つが所定給付日数の3分の1以上の支給残日数が残っていること、です。
3分の1以上残っているかどうかの判断は、就職前日に残っている残日数で判断します。内定をもらった時点で3分の1以上の日数が残っていても、就職前日の残り具合次第では再就職手当を受け取れない可能性があります。
派遣社員など更新予定がない契約
雇用形態によっては支給条件を満たさず、再就職手当が支給されないことがあります。例えば雇用期間が1年以内に定められた有期雇用契約では再就職手当は受け取れません。
申請期限を過ぎている
再就職手当の申請期間は再就職した日から1ヶ月以内ですが、期限を過ぎていても再就職した日の翌日から2年以内なら申請が可能です。
2年の有効期間のあいだにハローワークに連絡すれば、再就職後1ヶ月を過ぎてから申請しても手当をもらうことができます。
逆に言えば、再就職から2年を過ぎたあとに申込しても期限切れとなり、再就職手当を受け取れません。
まとめ
今回は再雇用・再就職の際に受け取れる手当である再就職手当について解説しました。
再就職において条件を満たしている場合、もらえる手当はしっかりと申請して受け取りたいところです。
まとまった一時金を受け取れる再就職手当は、再就職先で働き始める際の助けになるでしょう。

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