【Excel版】エンディングノート(終活ノート)

雇用主が定年後の退職者を再雇用するメリットとデメリット

並ぶ初老男性

この記事のサマリ
  • 雇用継続制度には「再雇用制度」「雇用延長制度」などがある
  • 再雇用によって人材不足、若手のスキル不足を補える
  • 一方で若手のモチベーションアップが課題

人材不足が課題の会社にとって、定年退職を迎えた社員は貴重な戦力です。まだ働く意欲を持っている高齢者を雇いたい企業は多いでしょう。

そんな時に会社が労働者に提示できるのが「再雇用制度」です。能力もあって働く気力がある高齢者に、再び現場で活躍してもらうことができます。若手の教育係として配置することで、技術継承も可能です。

今回は、企業が定年退職者を再び雇用する「再雇用制度」について解説します。

定年後も継続雇用できる「再雇用制度」とは?

年金手帳と人形

少子高齢化が進む中で、働く意欲がある高齢者が引き続き活躍できるような就業機会を設けることが、各企業に求められています。その一環として定められている制度が「継続雇用制度」です。

継続雇用制度は雇用している労働者の希望に応じる形で引き続き雇用する制度で、英語では「continued employment system」などと呼ばれています。継続雇用成語は大きく分けて「再雇用制度」「勤務延長制度」に分かれており、今回は雇用延長制度にスポットをあてて紹介します。

再雇用制度は定年後に高齢者の希望に応じて雇用を延長する制度を指し、高齢者雇用安定法では第8条に定年について以下の記載があります。

第八条 事業主がその雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをする場合には、当該定年は、六十歳を下回ることができない。

引用元:e-GOV|高年齢者等の雇用の安定等に関する法律

会社が従業員の定年を規約に載せる場合は、60歳以上であることが法律による原則です。それに加えて、以下の3つのいずれかの措置を講ずることを義務付けられています。

  1. 65歳までの定年の引き上げ
  2. 65歳までの継続雇用制度の導入
  3. 定年の廃止

要するに少なくとも65歳までは雇用が義務づけられる、ということです。なお、再雇用制度は英語で「Reemployment system」などと呼ばれています。

定年後再雇用制度の企業メリット

メリット ボールペン

人材不足の解消

業界によって若い人材の集まり方は異なり、業界全体で人手が深刻に不足していることも珍しくありません。そんな状況で、会社の仕事を知り尽くしたベテランが会社を抜けることは大きな打撃でしょう。

定年前と定年後では体力に差が出るため、企業と労働者の双方が有益になる雇用形態を考える必要はありますが、人材不足が深刻な会社においては再雇用することで貴重な戦力になります。

早期の離職を防げる

企業が長い時間をかけて若い人材を採用したとき、常に気になるのは「早期退職」です。それまでの採用コスト・育成コストが無駄になってしまいます。

早期退職の原因はさまざまですが、1つはイメージとのギャップです。「自分が思っていた仕事と違う……」「思っていたより大変だった」といったギャップが早期の退職を生むことにつながります。

一方で再雇用の人材であれば会社の仕事内容や大変なところも熟知しており、ギャップが原因による早期退職の心配が少ないでしょう。

若手人材に技術を伝えられる

若手社員が即戦力として成長するまでには時間がかかります。経験が豊富なベテランの社員を教育者として再雇用することで現役社員の教育に対する負担が増えることなく、若手社員の早い成長が期待できるでしょう。

採用コストの削減

若手社員の採用には教育もセットとなるので莫大な採用コストがかかりますが。少子高齢の影響で売り手市場が加速していくことが予想されます。

その点、再雇用であれば企業説明会や採用面接などの採用コストはかかりません。入社後の育成コストも必要なく、再雇用後でも即戦力として配置できるでしょう。

国からの助成金を受け取れる

65歳以降も意欲に応じて働き続けられる制度や高齢者が働きやすい職場づくりに対する企業努力を続ける企業に向けて、国から助成金が用意されています。

例えば「65歳超雇用推進助成金」です。

65歳以上への定年の引き上げや高齢者の雇用管理制度の整備など、高齢者の無期雇用への転換を行う事業主に対して助成するもので、実施した措置の内容や定年の引き上げ幅、60歳以上の雇用保険被保険者数に応じて助成金が支給されます。

定年後再雇用制度のデメリット

デメリット ジグソーパズル

65歳までは再雇用が義務

現行の再雇用制度でも、労働者が希望すれば65歳までは必ず雇用することが義務です。仮に優秀な社員でなくとも、本人が希望すれば65歳までは働いてもらう必要があります。

再雇用制度が定められている「高年齢者雇用安定法」は2021年4月1日に改正法が施行され、70歳までの雇用が企業の努力義務になっています。

世代交代ができない可能性

知識や経験が豊富な高齢労働者の再雇用では若い人材の育成が期待できる反面、元部長などの重要な役職の人は再雇用後でも影響力や発言力が残っていることが考えられます。今後主力となるべき若い世代が遠慮・忖度してしまい、新しい意見が出なくなる心配があるかもしれません。

再雇用した社員・若手社員、双方のモチベーション低下

現役世代で要職に就いて活躍した社員を再雇用したとして、現役時代と全く同じパフォーマンスを期待できるかどうかは分かりません。年齢とともに精神的なモチベーションが下がっていくことを考慮して、適切な配置をすることが求められます。

また、必ずしもベテランの再雇用で若手の士気が上がるとは限りません。現役時代に部長などの要職だった社員が「特別社員」「顧問」「相談役」など実質的な幹部待遇で再雇用された場合、数に限りがある管理職のポストが埋まって空かないことを意味しています。

どれだけ実績をあげても昇進できない不満は、若手・中堅社員の転職につながるでしょう。あくまでも現役社員が主戦力となって決定権を持たせることも時には重要となるでしょう。

定年後再雇用制度の流れ

契約

1.対象者への通達・意思確認

対象となる労働者に意思確認するため、企業は再雇用契約の対象者である本人への通達を出し、希望者には再雇用希望申告書の提出を求めます。

この時点で労働者の側が希望しない場合は、定年退職としてそのまま退職手続きに移ります。

2. 対象者と面談・雇用条件の確認

企業が定年を迎える方に対して働きたい意思を確認したら、個別に面談を実施します。一般的には再雇用では契約社員、嘱託社員のような形態に変わるため、必然的に賃金は下がります。

再雇用の条件を双方で確認し、仕事内容や職位、給与などに不満がないことを確認しましょう。さらに現役時代の部下が上司になることもあるため、その点についても本人の理解が必要です。

ただし、給与の見直しに関して再雇用時に極端な賃下げは労働契約法に違反する可能性があります。再雇用社員のモチベーション低下を招くことにもなるため、どのように働きたいのか望む形をヒヤリングし、業務内容に応じて適正な給与設定を行うことが求められます。

3.再雇用の決定

面談等で雇用主、被雇用者のお互いが合意すれば、雇用契約書の手続きに移ります。

なお、再雇用制度では一旦は退職の扱いになるため、企業は退職金を退職時点で支払う必要があります。

実際に再雇用するにあたっては体力が低下することも考慮し、現役世代とは一線を画す柔軟な勤務の導入も検討しましょう。フルタイムだけの勤務形態であれば、時短制度、フレックスタイム制度などの導入も検討します。

再雇用以外の継続雇用制度として「勤務延長制度」もある

拳を合わせる4人

雇用延長制度には、今回紹介した再雇用制度以外にも「勤務延長制度」が存在します。

勤務延長制度は定年の年齢を迎えても退職扱いにせず、そのまま雇用を続ける制度のことです。定年後でも役職や賃金、仕事内容が基本的に変わりません。退職金支払いは延長された勤務が終了したときです。

健康やスキルに問題がない労働者がやりがいを感じやすい制度といえ、モチベーションの低下を防ぐ可能性もあります。

ただし、特定の年齢への到達で賃金の上昇が抑えられる、定年だけを理由として紛争なしで雇用契約が終了になる定年退職のメリットも失われる点がネックです。

まとめ

雇用主が定年後の退職者を再雇用するメリット・デメリットをご理解いただけたでしょうか。

現行の雇用制度では65歳までの継続雇用制度ですが、改正法が施行される2021年4月1日から対象年齢70歳までに引き上げることが企業の努力義務になりました。とはいえ、人材不足の会社においては高齢者の再雇用はメリットが多いため、積極的に検討したいところです。

人材不足と若手の育成に課題がある会社こそ、再雇用制度を上手に活用していきましょう。

また、この記事をお読みいただいた労働者の方向けの「再就職方法」について、以下の記事でも紹介しています。併せてご覧ください。

定年後の再就職方法は4つ|再就職ではこれまでの自分からの意識改革が重要

3つライター紹介 | 高柳政道 Takayanagi Masamichi
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。老後に安心して暮らすための知識とノウハウを紹介いたします。

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