- 何のために資格を取得するか明確にすることが大切
- 自分のキャリアや経験と関係ある資格を選ぶ
- 資格を取得しても絶対に再就職できるとは限らない
定年退職の年齢は65歳が一般的ですが、その後の収入源は年金収入のみになる人も多いでしょう。十分な貯金がない人の場合、再就職でもう一度働くことも検討が必要です。
そこで今回は、定年退職したシニアの再就職で有利になる資格を7つご紹介します。
目次
定年後の再就職に有利なおすすめ資格7選
宅地建物取引士
宅地や建物などの不動産を取引する際には必須の国家資格です。不動産企業では従業員5人に1人の割合で宅地建物取引士を配置する必要があります。
宅地建物取引士には3つの独占業務があるのが特徴です。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書への記名押印
- 契約内容書面への記名押印
これら不動産取引で必須の内容について宅地建物取引士がいないと成り立ちません。
不動産関連の仕事に就く場合は必須ともいえる資格です。
試験合格のために必要な学習時間は300時間程度と「士業」と呼ばれる国家資格のなかでは簡単な部類ですが、合格率は15%前後と簡単に合格できる資格でもありません。
1日1時間の学習時間であれば1年前から計画的に準備する必要があります。
電気工事士
電気工事士はビルやマンションなどの電気設備を工事するのに必要な国家資格です。電気工事士の資格を持っていないと電気設備の配線などの業務を行えません。
シニア世代の仕事としても人気のビルメンテナンスで必須の資格であり、将来を見据えて勉強する価値があります。
第一種と第二種の2種類に分かれていますが、第一種のほう高難易度になっています。まずは二種から取得して実務経験を積み、一種の取得を目指すのが一般的です。
日商簿記(2級以上)
簿記とは、企業や自営業者が日々のお金の出入りを記録して、決算をして報告書にまとめる作業のことです。
簿記資格は「公的資格」に含まれており、国家資格ではないものの経理に関連する資格として事務職では必須資格の1つです。
大きく分けて「日商簿記」「全経簿記」「全商簿記」の3つがありますが、知名度の点でも最優先で取得を検討したいのは日商簿記です。経理や総務のほか、営業関係でも評価が高まるでしょう。
1~3級までの難易度がありますが、3級は難易度が低いため再就職で有利になりません。狙うなら2級以上です。2級でも合格までに必要な学習時間は一般的に300時間といわれており、並の国家資格以上の難易度といえます。
危険物取扱者
危険物取扱者は、消防法に定められた危険物(ガソリンなど)を取り扱うために必要な資格です。
ガソリンや金属粉など火災につながる危険性が高い物質が対象に保管・貯蔵されている場所で管理責任を担うことになります。
甲種・乙種・丙種の3段階に分かれますが、難易度と有効性のバランスがいいのは乙種です。
乙1類~乙6類までありますが、なかでも人気なのは乙種第4類、通称乙4(おつよん)です。ガソリンや灯油などを取扱いできることで、ガソリンスタンドで重宝されるでしょう。
学習時間は一般的に200~250時間程度で、定年後から学習を始めても半年以内に取得することも可能です。
介護関連資格
介護に関する仕事は1つではなく、国家資格から民間資格まで数多くの資格が存在します。
定年後に介護職に就く場合、人材不足から未経験・無資格でも再就職は比較的容易です。まずは簡単な資格を取得して、介護の現場で実績を積むことで上位資格への挑戦権を得られます。
最初は「介護職員初任者研修」を目指すことになるでしょう。介護の基本的な知識があることを証明できる資格で、1ヶ月程度で資格を取得することも可能です。
調理師
定年後に飲食店での再就職を目指す人には有効な資格です。
受験科目は6科目(調理理論、公衆衛生学、食品衛生学、食品学、栄養学、食文化概論)と多く、60%の得点が合格ラインです。一見すると難易度が高いと考えてしまいますが、合格率60%以上と比較的易しい部類です。ただし、飲食店などで2年以上の実務経験が必要です。
調理師免許を取得すると飲食店の営業に必要な食品衛生責任者資格の講習を受ける必要がなくなるメリットもあるため、再就職の他にも将来的に喫茶店などを開業したい人にとっても有力な資格です。
登録販売者
登録販売者は「第2類」「第3類」の医薬品が販売できるようになる資格です。
かつては「薬剤師」「薬種商」しか薬を販売できませんでしたが、新しく医薬品を販売できる専門職として誕生しました。
主な就職先はドラッグストアや薬局、医薬品を扱うホームセンターなどです。ここで販売されている医薬品は多くは第2類か第3類です。登録販売者がいれば薬剤師が不在でも、ほとんどの薬品は販売できます。
接客業の再就職先としてドラッグストアなどを選択する場合に重宝されるでしょう。資格手当が付与されることも多く、年収アップにもつながります。
また医薬品の知識が身につくことで、自分自身の健康管理にも役立ちます。
現在は試験を受けるための実務経験や学歴の条件が撤廃されており、誰でも受験が可能になっています。ただし、単独で売り場に立つには過去5年で2年以上の実務経験が必要です。
定年後の再就職で有利な資格を選ぶポイント
資格を取得する目的を明確にする
資格を取得しようとするとき、目標をしっかりと決めてから選ぶことが大切になります。
目的がはっきりしないまま資格を取ると、そのあとに活かすことができません。
国家資格は数百時間~数千時間の学習時間が必要な資格もあるため、取得後に後悔がないように「本当に時間とお金をかけて取得する価値があるのか」を最初に見極めましょう。
あくまでも「再就職が目的」なのか「独立まで見据えた資格が欲しいのか」あるいは「資格を取得する過程を楽しみたいのか」によっても狙う資格の選択肢は変わります。
「取得しやすい」「働きやすい」資格を狙う
資格を取得するまでに要する時間は、資格によって全く異なります。取得したい資格試験に合格するためにどれだけの時間がかかるかは、最初に把握しておくべきです。
シニアになってから勉強を始める場合、働くために残された時間は限られています。金銭的にもどんどん働いて貯めておきたいでしょうから、取得難易度と働きやすさのバランスが良い資格を狙いたいところです。
ただし、あまりに簡単な資格では資格取得までの時間が短くても再就職では有利になるとはいえません。
可能であれば「業務独占資格」「設置義務資格」を狙う
ひとくちに資格といっても、認定機関によって「国家資格」「公的資格」「民間資格」に分かれています。
一般的に国家資格がもっとも社会的な信用度や知名度が高く、公的資格が続きます。
さらに国家資格は、以下の3つに分けることができます。
- 業務独占資格
- 名称独占資格
- 設置義務資格
独占業務資格で代表的なのは弁護士や税理士、医師などで、その仕事に従事するためには必ず必要になる資格です。
名称独占資格の代表例は「ファイナンシャル・プランニング技能士」「キャリアコンサルタント」などです。たとえばファイナンシャル・プランニング技能士の資格がない人は技能士を名乗ることはできませんが、「ファイナンシャルプランナー」という肩書きで同様の業務を行うことには問題ありません。
最後の設置義務資格は衛生管理者など、一定の事業を行う際に法律で店舗ごとに設置が義務付けられている資格です。
有用性でいえば、国家資格の中でも業務独占資格や設置義務資格を持っていることで再就職につながりやすいといえます。
自分のキャリアや経験を考慮する
資格を勉強する前に、これまでの自分のキャリアや経験を考慮することは大切です。
どれだけ再就職に有利な資格でも、今まで全くチャレンジしたことがないジャンルをイチから勉強すると資格取得は大変になるでしょう。
今までの経験が資格試験の範囲に含まれていれば、勉強時間を短縮することが可能です。
一般的には今までの経験やキャリアを活かせる資格のほうが、再就職には有利になります。ただし「士業」のように、今まで全くの未経験であっても定年後の再就職や起業が可能な資格もあります。
再就職のために資格を得る際の注意点
定年前から準備をすすめる
資格を取得するのは定年退職後でなくても構いません。
ほとんどの資格は勉強してから1年以内に取得できますが、「士業」と呼ばれる難関資格に至っては数年がかりになる場合もあります。国家資格以外でも日商簿記1級などは取得までに数年単位の時間が必要です。
定年退職後から勉強を始めると、実際に目指す職業で働けるまでにかなりの時間を浪費してしまいます。
現役の最中から計画を立てて、できるだけ早い段階から学習を開始しましょう。
資格を取ったら絶対に再就職に有利とは限らない
再就職のために資格を取得する人が覚えておきたいことは、「資格を取得したからといって絶対に再就職で有利になるとは限らない」ということです。
希望する仕事と関係がない資格を取っても評価は上がりません。シニア層は若年層や現役世代と比較して選べる仕事が限られているのが現状ですから、有利になる資格も必然的に絞られてきます。
まとめ
今回は定年退職後のシニアの再就職で有利になる資格を7つご紹介しました。
「独占業務の国家資格」「幅広くニーズがある公的資格」などを取得することで、再就職の就職活動で有利になることが期待できます。
一方で有効な資格は取得までに時間がかかるため、定年退職前の現役世代から計画的に学習を進めましょう。

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