【Excel版】エンディングノート(終活ノート)

無年金や低年金にならないための対策方法

無年金

この記事のサマリ
  • 無年金では老後の生活費や介護費用を支払えない危険がある
  • 年金を受け取るには国民年金保険料を10年以上納付していることが必要
  • 「免除」「猶予」「追納」などの制度を利用することで納付期間と合算が可能

日本に住んでいる20~60歳の人は全員が国民年金に加入します。所定の期間以上に渡って納付ができないと、65歳を迎えても年金を受け取ることができません。

納付期間が10年に満たない方は、将来「無年金」にならないような対策が必要です。

今回は「無年金」の定義と、将来の無年金を回避するための対策について解説します。

無年金とは

無年金とは

無年金とは、文字通り「年金を受給できない状態」のことです。

年金のうち基本部分にあたる「老齢基礎年金」は、国民年金の保険料納付期間と保険料免除期間合計で「10年」以上ある場合で65歳以上に受給できます。

保険料納付期間と免除期間を合わせて10年に満たない場合でも、合算対象期間を加えて10年以上になれば受給が可能です。

しかし、この受給期間のいずれも満たさない場合は年金が支給されない「無年金」になってしまいます。

無年金の人はどれくらいいる?

厚生労働省の令和元年度「後期高齢者医療制度被保険者実態調査」によれば、高齢者の総数は17,859,117人です。そのうち年金収入無しに該当する人は577,811人と、全体の3.23%にもなります。

後期高齢者(75歳以上)に限定すると、518,245人が無年金です。

かつての国民年金保険料は「25年」の納付が必要でしたが、平成29年に現行の10年に短縮されました。老齢基礎年金の支給の対象が拡大していますが、それにもかかわらず無年金者が60万人近くいるのが現状です。

無年金になると介護費用などを自分で用意できない

介護費用

無年金の人は、貯蓄がなくなれば自分で生活ができなくなります。万が一の際に介護費用を用意するには、子どもに頼ることになるでしょう。一体どれくらいの費用がかかるのでしょうか?

介護施設に入居するためには、入居一時金や月額利用料などの費用が必要です。介護用老人ホームで5年分、自立型の施設では10年分を前払いすることになるケースもあります。

あるいは自宅の介護であっても、リフォームや介護ベッドの購入に多額のお金が必要です。生命保険文化センター「平成30年度生命保険に関する全国実態調査」によれば、介護費用にかかる一時的な費用の平均は69万円でした。中には200万円以上かかった人もいます。

介護一時費用

画像引用:生命保険文化センター平成30年度生命保険に関する全国実態調査<速報版>|96P

さらに毎月の介護費用の支払いも必要です。10~15万円かかった人が27.8%でもっとも多く、全体の平均で16.6万円と介護費用の高さがお分かり頂けるでしょう。

年金制度のおさらい

年金制度

「国民年金」「厚生年金」「私的年金」の3階建て

日本の年金制度は、以下のように3階建ての構造です。

年金 図

画像引用:厚生労働省|年金制度の体系図

1階・2階は国民年金・厚生年金といった国が運営する「公的年金」、3階は企業や個人が任意で加入する「私的年金」です。

1階部分は国民年金が位置しており、日本に住む20~60歳の全員が加入する制度です。年金を受け取る時は「基礎年金」と呼ばれます。後述する第2号被保険者にも第3号被保険者にも該当しない人が前述の1号被保険者(国民年金の加入者)に該当します。

基礎年金の受取額は年金保険料の納付月数によって決まりますが、令和2年4月以降に受け取れる満額の受取額は781,700円となっています。(令和3年1月現在)

2階部分は厚生年金です。会社員・公務員など厚生年金に加入している第2号被保険者は、1階部分の国民年金にも自動的に加入することになります。国民年金と違って現役時代の収入で受取額が決まるのが特徴です。

他方、第2号被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の「第3号被保険者」国民年金に加入していますが、金銭的な負担はありません。

最後の3階部分は企業や個人が年金の上乗せのために加入する私的年金です。企業型では「企業型確定拠出年金(DC)」「厚生年金基金」、個人型では「個人型確定拠出年金(iDeCo)」「国民年金基金」の選択肢があります。国民年金にだけ加入する第1号被保険者は将来受け取る年金額が第2号被保険者よりも少なくなりますが、自分の意思でiDeCoなどに加入して受取額を増やすことが可能です。

年金受給のためには国民年金の納付期間が10年以上あること

国民年金に加入して将来に年金を受け取るためには、保険料を10年以上納付する必要があります。原則として65歳から(前倒し・後ろ倒しも可能)老齢基礎年金という名称の年金を受け取ります。

一方の厚生年金は被保険者期間が1ヶ月以上あれば受給が可能です。ただし「老齢基礎年金の受給資格期間を満たしている」という条件も必要なため、老齢基礎年金を10年以上納付していない人は厚生年金を受け取ることができません。

参考:日本年金機構:老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法

無年金・低年金にならないための対策

無年金にならないために

保険料を支払えない場合は免除・猶予の申請をする

経済的に年金保険料の支払いが難しい方もいます。経済的な困窮で支払いが難しい場合は「免除」「猶予」の制度を利用可能です。

申請者の所得に応じて、以下の4つの減免のいずれかが適用されます。

  • 全額免除
  • 4分の3免除
  • 半額免除
  • 4分の1免除

これらの免除を受けた期間は受給資格期間と合算できるため、納付済期間と合算して10年以上あれば年金を受け取れます。

もう1つの制度が「保険料納付猶予制度」です。20歳から50歳未満の人で本人・配偶者の所得が一定額以下の人の申請が承認される場合、保険料の納付が猶予されます。

ただし、免除制度では免除金額に応じて受取額が少なくなることに注意が必要です。さらに納付猶予制度では老齢基礎年金の受給資格期間へ参入されるものの、年金額へは反映されません。

免除・猶予それぞれの年金額への反映割合は以下のとおりです。

  1. 全額免除=全額納付した場合の2分の1(平成21年3月分までは3分の1)
  2. 4分の3免除=全額納付した場合の8分の5(平成21年3月分までは2分の1)
  3. 半額免除=全額納付した場合の8分の6(平成21年3月分までは3分の2)
  4. 4分の1免除=全額納付した場合の8分の7(平成21年3月分までは6分の5)
  5. 納付猶予免除=受給資格期間にはカウントされるが、老齢基礎年金の受給額は増えない

出典:日本年金機構|国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度

不整合記録の解消

「第3号被保険者(専業主婦など)」であった人が、配偶者が自営業者になったり基準額以上の収入を得たりすると「第1号被保険者」に切り替わります。1号は3号と異なり、配偶者がいても別々に国民年金保険料の支払いが必要です。

その届け出を忘れる、あるいは知らないと3号のままで保険料の未納になり、年金保険料の未納期間が発生します。これが「不整合記録」です。

不整合記録が発覚したときは最寄りの年金事務所で手続きを行うことで、届け出していない期間を受給資格期間に繰り入れることが可能です。保険料納付期間と繰り入れた期間の合計で10年以上になれば年金を受け取る資格を得られます。

ただし、年金を払わなかった期間分だけ支給される額は減額になるため、満額は受け取れない点には注意が必要です。

3号から1号に切り替わる際、忘れずに申請を行いましょう。

追納を行う

年金保険料の未納期間がある場合や、免除や納付猶予を受けた場合は年金支給額が減額になってしまいます。

この場合、追納制度で後払いが可能です。追納することで老齢基礎年金の年金額を増やせるほか、社会保険料控除が適用されることで所得税・住民税を減額にできます。

追納できるのは、追納が承認された月の前10年以内の免除期間等に限られ、免除・納付猶予・学生納付特例の承認された期間は古い方から納付されるのが原則です。

最寄りの年金事務所で手続きすれば、厚生労働大臣の承認があったうえで納付書が渡されます。

加入期間が不足するなら「任意加入」も検討

60歳までの間に老齢基礎年金の受給資格を満たさない場合、60歳以降70歳まで任意加入が可能です。

任意加入期間は保険料納付済期間などと合わせて10年以上になれば老齢基礎年金を受け取ることができます。

なお、20歳以上60歳未満で支払う国民年金保険料の納付期限は「納付対象月の翌月末月」と決められていますが、納付期限を超えた場合でも2年以内であれば納められます。

追納や2年以内の納付で10年の条件を満たすか確認し、満たすようなら積極的に制度利用を検討しましょう。

無年金・低年金の人の老後資金対策

無年金の対策

リースバック

住んでいる家を売却してから借りることで、家賃を支払って住み続けられるサービスです。不動産の売却と賃貸を組み合わせた仕組みといえます。

売却資金として、まとまった現金を得ることができるのがメリットです。後述するリバースモーゲージと違って借金ではないため、将来的に返済の心配をする必要がありません。

家賃の支払いが発生する代わりに住宅ローン固定資産税、マンションの管理費、修繕積立金などの固定費の支出が必要なくなるのも利点です。

リバースモーゲージ

「今住んでいる家を担保にしてお金を借りるサービス」で、金融機関だけでなく住まいがある自治体が提供していることもあります。

借入金として一括、あるいは毎月分割でお金を受け取ることで安心して老後の生活を送れます。生存期間中の返済は利息のみであり、契約者の死亡後に自宅を処分することで元金を完済するのが原則です。

代表的なデメリットは「長生きすることで返済しきれなくなる」可能性がある点です。長生きすることで長く住み続けた不動産の評価が下がり、死後に売却した時に借り入れた金額を返済できない可能性があります。

どうしても生活できないなら生活保護の申請も視野に

自分が無年金では子どもに金銭的・精神的な負担を強いることになります。どちらの生活も破綻する前に、最後の手段である生活保護を考えることも必要です。

毎月の生活費の扶助のほか「医療扶助」「介護扶助」を受けることも可能で、自分はもちろん、子どもの金銭的な負担も軽減させることができます。

まとめ

今回は「無年金」の定義と対策について解説しました。

無年金や低年金になると自分自身が豊かな老後を送れないだけでなく、「医療費」「介護費用」「葬儀費用」などの支払いで子どもに金銭的な負担を強いることになります。

年金の受給要件を確認し、今のうちから無年金にならないための対策を行いましょう。

3つライター紹介 | 高柳政道 Takayanagi Masamichi
1級ファイナンシャル・プランニング技能士。老後に安心して暮らすための知識とノウハウを紹介いたします。

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