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介護付きマンションとは|メリット・デメリットや他施設との違いを解説

介護 マンション

この記事を書いた人
高柳政道 Takayanagi Masamichi
高柳政道 Takayanagi Masamichi
ライター

生協の売り場責任者と保険推進リーダー、その後、メーカー営業として勤務。自身の老後資金不足への危機感からお金の勉強を開始。FP資格を取得した後、得た知識を周囲に還元するためにWebライター・コラムニストとして独立。1級ファイナンシャル・プランニング技能士とCFPの資格を保有し、「終活」「相続」「保険」「投資(iDeco・NISA)」などの分野に精通。老後に安心して暮らすための知識とノウハウに関して、豊富な執筆実績あり。 ▼保有資格 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R) DCプランナー2級

この記事のサマリ
  • 介護マンションは高齢者向けサービスが充実した分譲マンション
  • 所有権を得られるのが老人ホームなどと大きく異なる
  • 介護・医療サービスは直接ではなく、外部の事業者と連携で提供される

ひとくちにマンションと言っても、若年層向けから高齢者向けまでさまざまな種類があります。なかでも高齢者向けに提供されているのが介護付きマンション(シニア向け分譲マンション)です。

今回は介護付きマンションの特徴やメリット・デメリット、介護施設との違いを解説します。

介護付きマンションとは

青空 マンション

介護付きマンションとは、文字通り高齢者が住みやすいように配慮されたマンションのことです。

別名で「シニア向け分譲マンション」とも呼ばれます。

住み心地は一般的なマンションと変わらず、高齢者向けに充実した生活支援が行われるのが特徴的です。

フィットネスジムや温泉などの娯楽施設が併設されている場合もあります。

入居条件・対象者

介護付きマンションには一定の入居条件が設定されています。

マンションにもよりますが、主な対象者は以下のような人です。

  • 年齢が一定以上
  • 自立した生活が送れる

介護付きとはいっても、自立して生活できる人が入居の対象になっています。

これは認知症などになった場合の対応が基本的に行われないためです。また食事・入浴・排泄など施設による提供も行われません。

認知症を発症したなど日常的なケアが必要になった場合は、有料老人ホームなどへの住み替えが必要です。

物件によっては「自立~要介護までの人」「身元引受人がいる」など、独自の基準を設けている場合もあります。

有料老人ホームとの違い

有料老人ホームとの違いとして代表的なのは、所有権の有無です。

介護付きマンションは利用者に所有権があり、自分の資産にできます。一方の有料老人ホームでは入居者は利用券を得る代わり、所有権は得られません。よって第三者へ売却することはできないのです。

サービス内容にも根本的な違いがあります。

有料老人ホームでは介護サービスが直接提供されますが、シニア向けの介護付きマンションでは介護サービスは直接提供されません。

外部の介護・医療事業者との連携で行われます。

サービス付き高齢者向け住宅との違い

介護付きマンションと似たようなサービスに「サービス付き高齢者向け住宅」がありますが、さまざまな点でサービス内容が異なります。

まず、サービス付き高齢者向け住宅は「賃貸借契約」です。

敷金は家賃の2ヶ月分からと、マンションの購入と比べると初期費用が安価です。また住み替えがしやすいメリットがあります。

一方の介護付きマンションは所有権方式であるため、マンションを購入することで所有権が発生します。

なにかトラブルを抱えたとすても簡単には退去する必要はありません。

介護付きマンションのメリット

メリット

マンションが資産として残る

老人ホームに入居することとの大きな違いとして、分譲マンションを購入することになるということがあります。

購入するのですから、当然ながら自分の所有財産になります。若い人が分譲マンションを購入するのと何ら変わりません。

購入後は売却・譲渡・賃貸を自由に行うことができるだけでなく、子どもに相続させることも可能です。

ただし、資産に所有権が発生することはメリットばかりではありません。

所有権者は退去を命じられることはありませんが、逆に言えば隣人トラブルがあった場合、なかなか退去してくれないリスクもあるということです。

もし認知症などが発覚して周囲に迷惑がかかっても、所有権がある入居者の資産である以上は退去の強制はできません。

管理人としても注意はしても、根本的な解決にはならないでしょう。

全面がバリアフリー

介護付き住宅では、建物全体がバリアフリーの構造になっています。車いすや杖による移動がしやすい点がメリットです。

点字による案内も徹底されており、住む人にとってハンディキャップに関係なく生活できる環境が整っています。

管理人の存在

介護付きマンションでは管理人が常駐しています。よって、万が一のトラブルなどが発生した際、管理人にすぐ連絡がつながるようになっています。

マンションによっては管理人以外にフロントが設置されており、「クリーニングの依頼」「タクシーの手配」など、コンシェルジュのように利用できることもあります。

娯楽施設の存在

介護付きマンションのなかには、レストラン・温泉といった飲食・娯楽施設、フィットネスジムなど健康増進のための設備が併設されていることも多くあります。

老後の生活や健康のサポート体制が整っているのがメリットです。

無理に外出することなく、マンション内や近辺だけで衣食住が完結するのは、高齢者には安心につながります。

断熱性が高く、ヒートショックなどが起こりにくい

高齢者にとって日々の生活で脅威な現象の1つに「ヒートショック」があります。

ヒートショックとは、暖かい室内から寒い脱衣所、熱い浴槽と移動することで血圧が乱高下し、脳内出血や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす状態です。

出典:社会福祉法人済世会|冬場に多発!温度差で起こるヒートショック

マンションは鉄筋コンクリート構造ですから、木造と比較して気密性や断熱性が高くなっています。室内の温度変化が起こりにくいため、ヒートショック対策としても有効です。

参考:三和建築株式会社|鉄筋コンクリート住宅の魅力

介護付きマンションのデメリット

デメリット

介護・医療サービスは提供されていない

介護付きマンションは、有料老人ホームや特別養護老人ホームのような介護サービスが直接提供されません。

入居者の条件でも「自立した生活ができる」とあるように、日常生活は自分で行う必要があります。スタッフによる見守りサービスや生活支援がある以外は通常の分譲マンションと変わりません。

別途で外部サービスの利用が必要

介護付きマンションを運営している事業主は、介護事業者(居宅・訪問など)と提携しています。

指定の事業者は、必要に応じて自宅に訪れて介護サービスを提供します。

ただし、以前から利用しているヘルパーがいる場合はそちらを選ぶことも可能です。

医療関係も同様です。地域の病院と連携しており、定期的な健康診断や万が一の際の対応を行っています。

管理費や修繕積立金が必要

入居にあたって、一般的なマンションの購入と同様の費用がかかります。

さまざまな付帯サービスがあることで、若年層向けのマンションよりも高額な購入費用がかかることもあります。

さらに毎月にわたって管理費・修繕積立費・サービスの利用料まで必要です。

これらのコストを払っていけるのか、事前に考える必要があります。

もし購入するお金や維持費のハードルが高いと感じる場合は、賃貸用の物件から選ぶことも検討します。

要介護度が重症化すると住み続けられないリスク

要介護度や認知症の症状が悪化した場合、介護付きマンションでは住み続けられない可能性があります。

もし住み続けられない場合、必要に応じて「介護付き有料老人ホーム」に住む場所を変える検討が必要です。

売却したいときに買い手がつかないリスクがある

終身にわたって居住したいと考えていても、入居後に要介護状態になると自立した生活が送れません。

認知症では周囲に迷惑をかけ、住み続けることが難しくなることもあります。

そこで、有料老人ホームなどへ住み替えの検討が必要です。そのための費用として物件の売却を検討する人も多いでしょう。

ただし、シニア向けの介護付きマンションに限った話ではないですが、必ずしも売却できるとは限りません。

物件数が少なく中古市場が限定的な介護付きマンションでは、欲しいと感じる買い手がつかない事態は十分に考えられます。

介護付きマンションで受けられるサービス内容

マンション コンシェルジュ

介護付きマンションで受けられるサービス内容をまとめると、以下のようになります。

  • フロントサービス(来訪者の取次ぎ、タクシーの手配、クリーニングの対応など)
  • スタッフによる見守りサービス(安否確認)
  • 緊急時対応(医師への連絡など)
  • そのほかオプションは外部サービスと連携

外部サービスと連携するのは「食事サービス」「清掃」「洗濯」「介護サービス」など多岐にわたります。

介護サービスは外部事業者から入浴・排泄の介助、機能訓練、通院時の付き添いなどを受けられます。

東京で代表的な介護付きマンション

介護マンション 東京

デュオセーヌ国立

JR中央線の国立駅最寄りに立地するマンションです。

人工温泉大浴場やビリヤードラウンジ、レストランが併設されており、有人管理体制による24時間見守りサービスなどの健康サポートで安心して居住できます。

1階部分に介護事業所を併設しており、介護サポートを受けられる万全な体制が特長です。

入居者専用のシャトルバスが「立川駅」「協力病院」に停車することで、外出での利便性も高いです。

入居条件 満40歳以上、ご自身で身の回りのことができ、共同生活が可能な方。(入居に関しては審査あり)
販売価格(税込み) 2,998万円~7,098万円
管理費 46,910円~77,840円
※入居者1名増加につき追加ライフサービス費23,000円加算
修繕積立金 8,190円~13,590円
身元引受人 原則必要

外部リンク:デュオセーヌ国立

ダイヤモンドライフ若葉台

京王線相模原線の若葉台駅から徒歩圏内のマンションで、24時間にわたって看護師が常勤しています。

「杏林大学医学部付属病院と連携」「24時間つながるホットライン」など、医療面で安心のサービスが提供されています。

あのタニタ食堂のメニュー提供するダイニング&レストランや、ライブラリーラウンジ(図書館)、麻雀室などユニークな施設も併設されています。

入居条件 満50歳以上、ご自身で身の回りの事ができ、共同生活が可能な方。(入居に関しては審査あり)
販売価格(税込み) 3,338万円~6,326万円
管理費 52,800円〜93,900円
※入居者一名増加につき追加25,000円(月額)
修繕積立金 6,300円〜11,300円
身元引受人 原則必要

外部リンク:ダイヤモンドライフ若葉台

まとめ

今回は介護付きマンションの特徴やメリット・デメリット、介護施設との違いを解説しました。

高齢者が生活しやすいように設計されたマンションであり、所有権を手に入れて資産を得られる点でメリットがあります。

一方で介護サービスや医療サービスは外部との連携に留まるため、認知症が進行した場合等は住み替えを余儀なくされる可能性もあります。

メリット・デメリットを理解して、ご自身に合った施設を探しましょう。


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