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介護におけるアセスメントとは|基本になる考え方と記入のポイントを解説

介護 アセスメント

この記事を書いた人
高柳政道 Takayanagi Masamichi
高柳政道 Takayanagi Masamichi
ライター

生協の売り場責任者と保険推進リーダー、その後、メーカー営業として勤務。自身の老後資金不足への危機感からお金の勉強を開始。FP資格を取得した後、得た知識を周囲に還元するためにWebライター・コラムニストとして独立。1級ファイナンシャル・プランニング技能士とCFPの資格を保有し、「終活」「相続」「保険」「投資(iDeco・NISA)」などの分野に精通。老後に安心して暮らすための知識とノウハウに関して、豊富な執筆実績あり。 ▼保有資格 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R) DCプランナー2級

この記事のサマリ
  • アセスメントとは「課題分析」のこと
  • 介護におけるアセスメントは利用者が抱える問題について正確に分析すること
  • 利用者の状況の変化に応じて何度でもアセスメントは行われる
  • 作成する際は本人の希望・要望が特に重視される

介護においては利用者に最適なサービスを提供するため、「アセスメント」という仕事が欠かせません。しかし、介護業界の経験が浅いとアセスメントの意味が分からない場合もあるでしょう。

そこで今回は、介護業界における「アセスメント」の意味と目的・書き方などをご紹介します。介護業界でケアマネージャーを目指したい方は、ぜひ読み進めてみて下さい。

アセスメントとは

アセスメントとは

アセスメントは日本語にすると「課題分析」「評価・査定」のことです。今回紹介する介護福祉分野だけではなく、さまざまな場面で利用されます。

単に評価するだけではなく、評価された結果を分析するところまでがアセスメントの中に含まれています。

介護だけではなく、たとえば看護師のあいだでもアセスメントは重要です。

バイタルサインや診察結果といったデータだけでなく、本人から聞き出した主観的な情報によって問題点を理論的に分析し、看護計画を立案するために利用しています。

介護における「アセスメント」とは

介護 女性

利用者の課題を明確にすること

介護におけるアセスメントは、利用者の課題分析をするために必要な評価・査定のことです。

利用者の状態や生活環境といった情報を分析し、利用者が抱えている課題を明確にするために行います。

事業所が定める様式で記入、あるいはシステムに入力して作成されたアセスメントシートに沿って、介護計画書が作成されます。

モニタリングとの違い

アセスメントの目的は「利用者が自立した日常生活を営めるように支援する上で解決すべき課題の把握」です。

一方のモニタリングの目的は「居宅サービス計画の実施状況の把握」です。似たような言葉でも、意味合いが異なっています。

介護におけるモニタリングではアセスメントをもとに作成されたケアプランが機能しているか、実行して検証することを指します。

利用者の状況は刻一刻と変化しており、モニタリングによって現在の状態を確認して当初のプランで問題ないのかを確認していくのです。

モニタリングの結果、現在のケアプランが不適当と判断されればケアプランの修正が必要です。

介護アセスメントを行う職種は?

アセスメントを行う職種の代表例が「介護支援専門員」であるケアマネージャーです。

要介護者と面談して課題分析を行う際、アセスメントという言葉を用います。

ただし、事業所の方針次第では担当している利用者のアセスメントを一般の介護スタッフが行う場合もあります。

決して「ケアマネージャーだけが知っておくべき知識」ではありません。

サービスの利用中には何度も行われる

アセスメントは1回やれば終わりではなく、利用者に対して何度も行われます。

これは介護期間中に利用者の状態がずっと同じとは限らないためです。要介護度がより重く修正される場合、またはサービスを利用する本人や家族の希望・ニーズが変化することもあるでしょう。

最初にアセスメントが行われるのはサービスの利用開始時点です。介護サービスを受けるには介護計画書(ケアプラン)が必要であり、介護計画書の内容はアセスメントの結果が反映されます。

続いてのタイミングは「利用者の状態が変化したとき」です。要介護度の更新などが行われたときは、介護計画書の見直しの必要性が生じます。そのような変化が起きた際には改めてアセスメントが行われます。

また、ケアプランの見直しに関しては月に1回は訪問して聞き取りを行っています。

アセスメントシートにも種類がある

ひとくちに「アセスメントシート」といっても、さまざまな様式が存在します。利用者の状況を考えて最適な書式を選ぶことが大切です。

介護業界においてのアセスメントシートは、基本的に以下の7種類に分かれています。

  1. 包括的自立支援プログラム
  2. 居宅サービス計画ガイドライン
  3. MDS-HC方式
  4. R4
  5. ケアマネジメント実践記録方式
  6. 日本介護福祉会方式
  7. 日本訪問介護振興財団版方式

どの書類を採用するかは事業所ごとに異なりますが、一般的に以下のような傾向があります。

  • 施設サービス(介護老人保健施設、介護老人福祉施設)=包括的自立支援プログラムが多い
  • 介護老人保健施設=R4を採用している施設が約2割
  • どのサービスでも2~3割が独自様式を使用している
参考 平成 27 年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査<br /> (平成 29 年度調査) 厚生労働省

特に介護老人福祉施設においては49.3%が包括的自立支援プログラムを採用しています。

包括的自立支援プログラムでは認定調査票とアセスメントが連動しており、ケアマネージャーの主観が入り込みにくい客観的な資料が作れる点に特徴があります。

介護において家族からのアセスメントが必要な理由

老夫婦 人形

アセスメントにおいては利用者本人以外からの聞き取りも必要です。

本人だけから情報を得ると、介護計画には不十分な場合があります。たとえば以下のような状態で本人だけから聞き取りを行っても十分なデータとはいえないでしょう。

  • 認知症のための自分の状況を説明できない
  • 本人の希望と家族の希望が合致していない可能性がある

そこで利用者本人だけでなく、家族や周辺の人に対する情報の聞き取りも重要です。本人が「自分はこういう人間だ」と思っていても、周囲の人の評価が異なる場合もあります。

本人の希望を踏まえたうえで第三者の意見を取り入れることで、具体的なアセスメントが可能です。

アセスメント作成の際のポイント

ポイント

基本情報

本人の基礎になる情報を記載する項目です。「利用者の氏名」「年齢」「性別」などの基本的な情報のほか、日常生活の自立度や障がい者手帳の有無等を記入します。

すでに福祉サービスを利用している場合は、そこの利用計画を作成している職員とも連絡を取っておきましょう。のちのちケアプランを作成する際にスムーズです。

本人の希望・要望

本人の希望や要望が、アセスメントシートのなかでも最も大切な部分です。希望・要望がはっきりしていないアセスメントでは支援の方針が定まりにくいばかりか、支援の方針が利用者の意にそぐわないものになる可能性もあります。

そうなると本末転倒です。

まずは本人の主張に耳を傾け、情報は正確に記載することが求められます。

ご家族情報

介護する人の健康状態や主な介護者の存在、連絡可能な家族の有無と優先順位を記載します。

利用者が認知症のケースでは家族が代弁者になるため、連絡が取れる家族の情報はできる限り詳細な情報を聞いておくことが重要です。

サービスの利用状況

すでに別の在宅介護サービスを利用している場合、その情報を聞き出して入力する項目です。

現在受けているサービス内容をまとめておくと、より質の高い介護が可能になります。・

介護アセスメントシートの書き方

電卓 シート

アセスメントシートは介護サービスの利用者の背景のほか、どのような支援が必要かを簡潔にまとめた用紙のことです。

ここでは、アセスメントシートの書き方の基本的な考え方を紹介します。

利用者を中心に作成する

介護の現場あくまでも主役は利用者本人です。アセスメントにおいても、利用者本人を中心に書くべきです。

くわえてケアマネージャーの考え・主観と、利用者の希望・主観がまざらないように、分けて記載しておくことも求められます。

スタッフもご家族も分かりやすい資料にする

アセスメントシートはケアマネージャー同士、あるいは介護施設内で共有するだけの書類ではありません。

利用者本人や利用者の家族など、介護のプロではない人も目を通すことになる資料です。自分だけが理解すれば良いわけではなく、誰が見ても分かりやすい平易な文章で書くことが求められます。

たとえば介護業界でのみ通じる略語を書いても利用者には通じません。専門用語はできるだけ排除し、誰でも分かりやすい言葉に置き換えましょう。

5W1Hを考えながら文章を書き上げておくことも大切です。

まとめ

今回は、介護業界における「アセスメント」の意味と目的・書き方などをご紹介しました。

ケアプランの作成には利用者の希望や生活状況を把握することが不可欠であり、聞き取りを通じて課題を明らかにすることがアセスメントです。

アセスメントシート作成の際はケアマネージャーの主観と利用者の希望が混ざらないように明確に区別しておくなど、誰が見ても利用者の希望がはっきりわかる資料であることが求められます。


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